水崎綾女:映画&ドラマ「進撃の巨人」出演 「母性とエレンへの乙女心の両面が見せられたと思う」

dTVのオリジナルドラマ「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN  反撃の狼煙」と映画版にも出演している水崎綾女さん
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dTVのオリジナルドラマ「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN  反撃の狼煙」と映画版にも出演している水崎綾女さん

 女優の水崎綾女さんが出演するオリジナルドラマ「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN 反撃の狼煙」が、動画配信サービス「dTV」で15日から配信が始まった。ドラマは諫山創さんの人気マンガを実写化した映画「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」(樋口真嗣監督)と連動し、兵士の姿や立体機動装置の発明秘話はじめ映画では描き切れなかったエピソードを全3話で描く。隊長のハンジ役の石原さとみさんはじめ映画版のキャストのほか、ドラマオリジナルの新キャラクター役で平岡祐太さんも出演。映画版とドラマ版の第3話「自由への旅立ち」にヒアナ役で出演している水崎さんに聞いた。

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 ◇原作人気の高さにプレッシャーを感じる

 実写版「進撃の巨人」への出演オファーがあった際、水崎さんは「『進撃の巨人』というタイトルはものすごく有名なので知っていたのですが、いつか読もうかなと思っていた」と原作は未読だったといい、「そのタイミングでこのお話をいただきました」と振り返る。気になる作品でありながら未読だった理由について、「単行本でまとめて読みたいので、連載が(単行)本になるまで待っているタイプ」と明かし、さらに、「単行本になっても1巻だけではすぐ続きを知りたくなってしまうので、5巻とか10巻ぐらい出てから読むんです」という。

 原作を読み始める前は「“巨人が進撃する話”なのかなとか、“巨人の国の話”なのかなとか、『ガリバー』みたいな話なのかなとか、いろいろ楽しみにはしていた(笑い)」と想像をふくらませていたというが、実際に読み始めると、「線の太さだったり、絵から結構インパクトがあったりして、読み進めるにつれてどんどんはまっていき、1日で(発売されている)全巻を読み終わってしまい、早く新刊出ないかなと思っていた」と魅力にどっぷりとはまったと打ち明ける。

 原作の面白さのとりこになったことで、「(出演が)決まったときのプレッシャーよりも、読み終わってからこの世界観に自分が入れるのかな」と水崎さんは不安を感じたといい、「世界的に人気の作品というのをどんどん知っていき、どうしよう、どうしようみたいな感じでした」と当時の心境を振り返る。

 原作のマンガが好きだという水崎さんにはまったポップカルチャーを聞くと、「『新世紀エヴァンゲリオン』とか、『修羅の門』や『海皇紀』など川原(正敏)先生の作品のような男くさいのが結構好き」と意外な一面を見せる。「18歳の頃からアニメなどを見だして、なんで今まで見てこなかったんだろうと思ったぐらい、アニメやマンガから学ぶことが多い」といい、「はやっているものはストーリーもちゃんとできていますし、人間性だったり、各キャラクターがしっかりしてたりするので、もっと早く見ていれば人生変わったのかな」と思いをはせる。そして、「『修羅の門』と『修羅の刻』は実写をやりたい(出演したい)なと思いながらもメインは男だし……ともんもんとしながら見ていました(笑い)」とちゃめっ気たっぷりに語る。

 ◇ロケ地の雰囲気が役作りに好影響

 映画オリジナルキャラクターであるヒアナを演じる水崎さん。「原作のキャラだと、役作りのしやすさもある分、逆に演じにくいという部分もあると思う」と持論を展開し、「(原作ものでオリジナルの登場人物を演じることが)私はやりやすかったと感じた」と打ち明ける。

 役作りについては、「(ヒアナは原作に)いない人物なので、世界観にさえマッチしていれば、どういうキャラクターを演じてもいいので、そのへんは自由にやらせていただけたと思います」と切り出し、「ヒアナはシングルマザーで娘の養育費のために志願して戦うという設定だったので、(『進撃の巨人』の世界観に)いそうだからスムーズに(役へと)入れた」という。さらに、ロケ地となった「軍艦島のパワーがすごくて、ただの廃虚ではないというか、念や思いというものがすごく詰まっている土地だなと感じた」と印象を語り、「怖いところでもあったし、ただならぬパワーも感じたりと、そういうものがあったからこそ、役作りにうまくつなげられたのかなと思う」とロケ地の環境が好影響を与えたことを説明する。

 ◇得意のアクションを封じて新境地で勝負

 水崎さんといえば、特撮ドラマ「特命戦隊ゴーバスターズ」や映画「赤×ピンク」(2014年)、「KIRI~『職業・殺し屋。』~外伝」(15年)をはじめ、アクションのイメージが強いが、「ヒアナはシングルマザーという設定があったので、アクションはなかった」と水崎さん。「本編の撮影前に監督と話したとき、『アクションができるのを知っているけれど、今回、アクションはありません』と言われた」ことを明かし、「ちょっと残念な気持ちもありましたが、もともと特撮出身だったりするので、それで呼んでもらえたのかと思ったら、違うところでというのはうれしいし、ありがたいと思いました」と喜ぶ。そして、「ツイッターやブログにはファンの方からアクションに期待するコメントが来ていたのですが、いい意味で期待を裏切ることができるのでは」と自信をのぞかせる。

 そうはいってもアクションへのこだわりもあり、「『進撃の巨人』でアクションをしていたらどうなっていたのか、どういう位置でどういうキャラクターになっていたかなどは考えました」と水崎さん。アクションが得意なあまり、撮影前のカメラテストでは「アクションをしてきたのが体にしみついていて、どうしてもアクションの演技のようにリアクションが早くなったりとかキレがよ過ぎちゃう(笑い)」と思わぬ悩みを告白。続けて、「強い役を演じることが多く、あまり守られる役やか弱い役はやったことなかったので、監督に『3秒ぐらいリアクションを遅らせてください』と言われました」といい、「ヒアナは蚤(のみ)の心臓だけど子どものためというのがあり、ただ弱いだけじゃなく母性は出しつつ、巨人を怖がるというバランスが難しかった」と振り返る。

 試行錯誤をくり返していく中で、「やりたいんだけれどやれないとか、子どものことを守りたいと思っているけれど、巨人が怖くて足が動かないとか抑えの演技を今回はしたかな」と水崎さんは着地点を見つけ、「エレンに対してミカサというキャラクターがいて、ミカサは強い女性なので、その対極として母性という点では強いけれどミカサとは違うバランスで見せられたらいいと思い、そういう感じに演じられたかなと思っています」と力説する。

 ◇ドラマと映画で見せる違った面に注目

 ドラマ版では武田梨奈さん演じるリルと話し合うシーンで、水崎さんの胸を強調したようなカットが印象的だ。「(第3話を担当した)西村(喜廣)監督のせいです」と水崎さんは笑いながら語り、「Aカメは顔、Bカメは(胸)……みたいな感じでした」と言って再び笑う。自身の出演シーンについて、「映画でヒアナが出るシーンは、母性で包まれているようなシーンになればいいと思いながらやっていたので、ちょっとホッと一息つけるようなシーンになっているとは思います」といい、「映画ではヒアナというキャラクターはエレン以外とあまり話さないのですが、dTVではフクシとリルに対して母としてのアドバイスをするなど、違う一面が見られるのでは」と説明する。

 映画と連動したオリジナルドラマで、登場人物のバックボーンを深めていく。「映画が“ザ・進撃の巨人”の世界観なので、見ていてすごくハラハラすると思う」と映画の作風を説明した上で、「dTVのドラマ版はコミカルなお芝居も含め、そういうところも見てもらえると思うので、また何か違った感覚で見られるのがいいなと思う」とドラマ版の魅力を語る。続けて「dTVのオリジナルドラマは、映画では描けなかったそれぞれのキャラクターの違った一面だったり、ドラマにしか出てこないキャラクターもいたり、前編で暴かれなかった秘密も見られたりするので、そこもチェックしてほしい」とアピールする。そして、「ヒアナは切ない女性というか娘のために戦っているので、その母性とエレンに対しての乙女心の両面が見せられたらと思っているので、よろしくお願いします!」とメッセージを送った。オリジナルドラマは全3話がdTVで配信中。

 <プロフィル>

 1989年4月26日生まれ、兵庫県出身。2004年に第29回ホリプロタレントスカウトキャラバン・ベストグラビア賞を受賞しデビュー。07年にドラマ「キューティーハニー THE LIVE」(テレビ東京系)で青いキューティーハニーの早乙女ミキ役を、12年には特撮ドラマ「特命戦隊ゴーバスターズ(テレビ朝日系)で敵役のエスケイプを演じる。主な出演作に、映画「ユダ」(13年)、「トイレの花子さん 新劇場版」(13年)、「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」(15年)、ドラマ「相棒 season13」(テレビ朝日系)、「DOCTORS2 最強の名医」(テレビ朝日系)など。

 (インタビュー・文・撮影:遠藤政樹)

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