注目映画紹介:「S-最後の警官- 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE」 海上でのスリリングな最終決戦 

映画「S-最後の警官-奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE」のビジュアル(C)2015「S-最後の警官-奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE」製作委員会(C)小森陽一、藤堂 裕/小学館
1 / 7
映画「S-最後の警官-奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE」のビジュアル(C)2015「S-最後の警官-奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE」製作委員会(C)小森陽一、藤堂 裕/小学館

 俳優の向井理さんが主演の連続ドラマ「S-最後の警官-」(TBS系)の劇場版「S-最後の警官-奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE」(平野俊一郎監督)が29日、公開される。向井さんが扮(ふん)する主人公・神御蔵一號(かみくら・いちご)が所属する「警察庁特殊急襲捜査班」(NPS)と綾野剛さん演じる一號のライバル・蘇我伊織が所属する「警視庁特殊部隊」(SAT)、そして“海神(ポセイドン)”こと「海上保安庁特殊警備隊」(SST)がそれぞれの使命と信念のもと、日本壊滅という未曽有(みぞう)の事態を回避するため、オダギリジョーさん演じる一號と蘇我の宿敵・正木圭吾らテロリストに立ち向かう。

ウナギノボリ

 「S-最後の警官-」は、「海猿」「DOG×POLICE」の小森陽一さんが原作、藤堂裕さんが作画を担当し、ビッグコミック(小学館)で連載中の人気マンガ。2014年1月期に放送された連続ドラマでは、プロボクサーを引退し、警察官になった異色の経歴を持つ一號が、犯人の「制圧」ではなく「確保」を目的とした警察庁の組織・特殊急襲捜査班(NPS)を舞台に、天才的な狙撃力を誇る特殊部隊(SAT)のスナイパー・蘇我らと時に反目、時に協力し合いながらも、日本の治安を守るため奮闘する姿を描いた。

 劇場版は、バスジャック事件が発生し、現場へと急行した一號らNPSメンバーに、もう一つの事件発生の連絡が入る。それは、日本全土を燃やし尽くすほどの核燃料を載せた巨大輸送船が何者かによって乗っ取られたというもの。両事件の首謀者の名前は国際テロリストの正木圭吾で、一號らNPSメンバーは蘇我が所属するSAT、青木崇高さん演じる倉田勝一郎率いるSSTと共闘し、自身の野望のため次々と要求を突きつけ、輸送船を東京湾内へと進める正木の「確保」に乗り出す……というストーリー。これまで謎の多かった正木の真の目的や“素顔”も明らかにされる。

 NPS隊長の香椎秀樹(大森南朋さん)、NPSの女性スナイパー・林イルマ(新垣結衣さん)、一號の幼なじみの棟方ゆづる(吹石一恵さん)らおなじみのメンバーも登場。互いに実力を認めながらも考えの違いからくる一號と蘇我のライバル関係や煮え切らない一號とゆづるの恋の行方、イルマの失態と復活、倉田と息子との絆などをちりばめながら、海上での「最終決戦」へと向かう、息をつかせぬ展開に目を奪われる。中でも、一際存在感を放つのがオダギリさんの演技で、見ている側が歯ぎしりするほどの正木の憎たらしさとロウソクの炎のように揺れ動く感情表現、時折のぞかせる狂気は、一號と蘇我の“2大看板”が若干霞むほど。ラストに用意されたなりふり構わぬ肉弾戦と日本壊滅へのカウントダウン、二つの局面で同時進行するスリリングな攻防は、連続ドラマから続く同シリーズの最大の見せ場で、思わず手に汗握ってしまった。29日からTOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほか全国で公開。(山岸睦郎/毎日新聞デジタル)

写真を見る全 7 枚

映画 最新記事