趣里:映画「東京の日」に主演 プレッシャーも「自分が決めた道」

映画「東京の日」で主演を務める趣里さん
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映画「東京の日」で主演を務める趣里さん

 女優の趣里さんが主演を務める映画「東京の日」(池田千尋監督)が31日から公開される。映画は、上京してきたワケあり女とカフェでアルバイトする男が東京で共同生活を送る姿を描いた作品で、趣里さんはワケあり女のアカリ役を演じている。趣里さんに今作の撮影エピソードなどについて聞いた。

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 ◇監督からのオファーは「役者として純粋にうれしかった」

 映画は、池田監督が自身初の演劇作品「東京の空」「東京の歌」の世界観を掘り下げたオリジナル企画。勢いだけで上京してきたワケあり女・アカリがカフェでアルバイトする優柔不断な男・本田(佐々木大介さん)と出会い、共同生活を送る……というストーリーだ。主人公のアカリ役のオファーを受けた趣里さんは、「(池田監督とは)以前にドラマでご一緒して、そのときに『一緒に映画作ろうね』といっていたので、実現するんだと分かって本当にうれしかった。絶対やりたいと思った」と当時の心境を明かし、「企画があって、呼んでいただけるということは、役者として、お芝居をやっている者として、純粋にうれしかった」と喜びを語る。

 アカリは勢いで上京してきたという芯の強い女性、というひとくせある役どころだ。趣里さんは「時間を共に過ごしてきていない、彼氏でもない人と生活する、ということがまず(普通は)ない。そこが難解でした。アカリは、自分の感覚ではありえないことをやっちゃう子なので……」と役作りの苦労を楽しそうに振り返る。

 ◇「心が折れそうな時もある」

 意志が強く、ときに他人にもはっきりモノをいうアカリは自分とは異なる、と趣里さんは語る。「あまりそう見られないんですけど、(自分は)発散するタイプじゃなく、抱えてしまいがち。アカリは自らアクションを起こす子だけれど、私は、嫌なことがあってもアクションを起こすタイプではないので……。嫌だから(地元を)飛び出すとか、勇気が持てなくて、できないタイプです」と自身と比較しながら主人公のキャラクターを表現する。とはいえ、それが演じる上での楽しさにつながることもあったという。「全然違う子だなあと思って、楽しかったです。『何を考えてるか分からない!』といったり、(アカリは)すごいなあと思って」と笑顔で語る。

 とはいえ、似ているところもある。「意志の強さとか、一本の芯があるところは、自分にもあるのかな、と……(笑い)。誰にもブレさせない一本の芯、というのは持っていないといけないと思うので、そこはアカリという女性を通して出せたかな、と思います」と明かす。ちなみに、アカリと違って趣里さんは嫌なことがあったときにどう発散しているのか、と聞くと、「時の流れに身を任せ、みたいな感じになっています」と笑顔で語る。

 難役に挑戦した今作。俳優の水谷豊さんと元キャンディーズで女優の伊藤蘭さんという、表現者の両親を持つ趣里さんだが、両親からのアドバイスなどはあるのだろうか。趣里さんは「特にないですね。これま での作品も見てもらっていますし、いろんな話はしますけど」と明かす。両親のことをプレッシャーに感じることは?と聞くと「もちろんあります」としつつ、「心が折れそうなときもありますけど、でもそれは自分で決めた道ですので」ときっぱり。「そこでどう自分が頑張るか、どう認められていくかということだと思っているので」と力を込める。

 ◇憧れの香川京子との共演

 共演には本田役の佐々木さんのほか、2人を見守る人生の先輩役でベテラン女優の香川京子さん、アカリが世話になるスナックのママ・ハルミ役で渡辺真起子さんが出演している。中でも思い出深いのは「憧れの人」という香川さんとの共演だ。「小津(安二郎監督)さんの映画を見て、すごく感銘を受けてきた方だったので。お会いできて感動的で、すごくいい時間を過ごせた」と興奮した面持ちで語った。また、かつて舞台で共演した渡辺さんについても「すてきな方だなと。お芝居もそうだし、作品に対する関わり方とか……。真起子さんみたいになりたいなと思う」と目を輝かせる。

 今後挑戦してみたい役は、「何でもやってみたい」と意欲的だ。「自分の持っている世界をどう出せるか。その作品の中に溶け込めるような(演技がしたい)」と前を向いた。映画「東京の日」は31日公開。

 ◇プロフィル

 1990年生まれ、東京都出身。2013年に「おとぎ話みたい」(山戸結希監督)、14年に「恋につきもの」(一見正隆監督)で主演。

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