菜々緒:悪女キャラで独自路線を確立 「大きな誇り」

映画「グラスホッパー」に出演する菜々緒さん
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映画「グラスホッパー」に出演する菜々緒さん

 女優でモデルの菜々緒さんが出演する映画「グラスホッパー」(瀧本智行監督)が7日、公開初日を迎える。これまでも映画やドラマでヒール役を多数こなしてきた菜々緒さんが今回演じるのは、主人公の気弱な元教師を執拗(しつよう)に追いつめる“裏社会のヤンキーセレブ”という役どころ。“悪女”のイメージが定着した現状への率直な思いを聞いた。

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 「グラスホッパー」は、生田斗真さん演じる主人公の鈴木が、殺された恋人の復讐(ふくしゅう)のため裏組織に潜入したことで、凶悪な住人たちの争いに巻き込まれていくサスペンス。菜々緒さんは、表向きは健康美容食品を扱う会社の女性社員でありながら、実は裏社会を牛耳る組織のボスの腹心で、鈴木を恐怖で支配する比与子役で出演している。

 ◇悪女キャラ1人1人に「愛情込めて」

 映画「白ゆき姫殺人事件」では、主人公の平凡な女性会社員の彼氏を横どりする同僚、ドラマ「ファースト・クラス」シリーズ(フジテレビ系)では、周囲の人間を利用価値で判断するエディター、出演中のドラマ「サイレーン 刑事×彼女×完全悪女」(関西テレビ・フジテレビ系)でも謎深き殺人鬼を演じている菜々緒さん。

 今回の役柄も含め、悪女役が続いていることで「そのイメージが強いみたいで、業界の人でも『菜々緒さんって本当にああいう人なんですか?』って実際の私と重ねている人も多いようです」と苦笑するが、演じることに抵抗はなく、「いいとか、悪いとか、あまりそういう感覚はないんです。むしろ、どちらかというと、うれしい」と明かす。

 「悪女ってこれまで、あまりフィーチャーされることはなかったと思うんですが、私が演じることで注目していただいて、変な話、悪女ブームみたいになって。そういう新しい立ち位置が確立できたことはすごくうれしいことだなって」と充実感をにじませる。

 演じる役柄も悪女とはいえ、画一的ではない。「1人1人、別の人間なので、愛情を込めて、メリハリをつけて演じているつもりです。だから慣れるという感覚はないですね。今回は、優しさが全くない女性だったので、悪い部分を全面に押し出して、振り切って演じさせていただきました」とやりがいを語る。

 ◇今後も「私にしかできないことを」

 そして、今回の役どころでは、生田さん演じる鈴木を素手で殴ったり、銃で脅すという激しいアクションシーンにも挑戦。「銃を扱うことは初めてだったので、大きな音や強い光にひるんでしまいました。目をつぶりそうになるのを必死にこらえて。それから、鈴木を追うシーンも多かったので、ヒールで走るわ、転ぶわ、はいずり回るわ……で大変でした」とまさに体当たりで比与子を演じた。

 その迫真の演技は、「テスト(撮影)のときに、生田さんが、私から殴られるシーンで、すごくおびえていらして(笑い)」と語るほど。「たぶん、私が女性なので、アクションの加減がわからないんじゃないかって、心配してらしたと思うんですけど。とても『すみません』っていう感じでした」と恐縮しながらも、「いい緊張感が漂っている現場でした。見応えのある作品に仕上がったので、ぜひ何度も見ていただきたいです」とアピールする。

 「こういった悪女役を『菜々緒にしか演じられないよね』と言ってもらえることは、私にとって大きな誇り」と改めて語る菜々緒さん。だが、自身の素顔については「悪女的要素はあまりないですよ」とパブリックイメージを否定する。

 「今の立ち居地もそうですが、私にしかできないことを今後もしていきたい。それで、名を残すということもすごく大事なこと。明確なビジョンは立てていませんが、目の前のものをガムシャラに取り組んでいくことが大切だなと思います。今後も枠にとらわれずに、新しいことも開拓していきたい」と力強く語りつつ、「でも、普段の私はいたって普通。できれば、悪い要素はないように生きていきたいです」と笑いながら話していた。

 <プロフィル>

 ななお。1988年10月28日生まれ、埼玉県出身。2009年に「第7回ミス東京ガールズコレクショングランプリ」に輝き、12年に連続ドラマ「主に泣いてます」(フジテレビ系)に主演して女優デビュー。主な出演映画に、「白ゆき姫殺人事件」(14年)、「神様はバリにいる」、「エイプリルフールズ」(ともに15年)などがある。現在、連続ドラマ「サイレーン 刑事×彼女×完全悪女」(関西テレビ・フジテレビ系)に出演中。来年1月30日には映画「さらば あぶない刑事」の公開が控えている。

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