注目映画紹介:「ラスト・ナイツ」 紀里谷和明監督ハリウッド進出作 騎士の潔さと美しい映像に感涙

映画「ラスト・ナイツ」のワンシーン (C)2015 Luka Productions
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映画「ラスト・ナイツ」のワンシーン (C)2015 Luka Productions

 映画「CASSHERN」(2004年)や「GOEMON」(09年)などを手がけた紀里谷和明監督のハリウッド進出作となる「ラスト・ナイツ」が14日に公開される。「忠臣蔵」がモチーフという今作は、ある封建国家を舞台に、主君を死に追いやれた騎士たちが命を懸けて敵討ちする姿を描く。英俳優クライブ・オーウェンさんや米俳優モーガン・フリーマンさん、日本からは伊原剛志さんら全17カ国のキャストとスタッフが集結し、壮大なドラマを生み出した。騎士たちの気高さやスピード感あふれる殺陣アクションに圧倒される。

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 よこしまな政治がはびこる封建的な帝国で、ある日、権力欲にとりつかれた大臣のギザモット(アクセル・ヘニーさん)への賄賂(わいろ)を断ったバルトーク卿(フリーマンさん)は大臣に刀を向け反逆罪に問われてしまう。その結果、バルトーク卿は自身の愛弟子にして後継者として信頼するライデン(オーウェンさん)による斬首という死罪を言い渡される。断固拒否するライデンだがバルトーク卿に諭され処刑を実行。1年後、騎士たちは身分を隠し報復の機会を待ち続けていたが、隊長であるライデンは酒に溺れる生活を送っており……というストーリー。

 映画の基になっている「忠臣蔵」から設定や演出は大きく変えられてはいるが、その精神は薄れることなく作品に込められている。架空の国を舞台に多種多様な人種のキャストが出演。建築物や衣装などはエキゾチックな世界観を持ち、ダークな風合いの幻想的な映像美とマッチし、リアリティーとファンタジックな雰囲気をバランスよく表現している。騎士たちによるアクションシーンはCGではなく俳優が生身で演じており、スロー映像なども使わずスピード感あるバトルが生々しい。ライデン役のオーウェンさん、バルトーク卿を演じたフリーマンさんが骨太で重みのある芝居で物語に深みを与え、見る者をくぎ付けにする。あだ討ちの発端となる事件部分はテンポが遅めな印象も受けるが、全体を通して壮大な仕掛けとエンターテインメント性は十分。時代劇がモチーフではあるが、新感覚アクションとして楽しめる。14日からTOHOシネマズ新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

 <プロフィル>

 えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。

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