女優の瀬戸朝香さんが日本語吹き替え版の声優を務めた劇場版アニメ「リトルプリンス 星の王子さまと私」(マーク・オズボーン監督)が公開中だ。今作で、瀬戸さんが演じたのは、主人公である9歳の少女の母親という役どころ。今回が、アニメ声優初挑戦で「とても難しい作業でしたが、手応えを感じました」と語る瀬戸さんに、アフレコの舞台裏や自身も子を持つ母の視点から役に込めた思いを聞いた。
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今作がアニメ声優デビューとなった瀬戸さんは、「アニメの口の動きにせりふを合わせることは、実際に自分が演じているのとは違う難しさを感じました」と苦労を語り、「感情を優先させるとズレてしまうし。とにかくアニメの動きに合わせないことには始まらないので、まずはそこに注力しました。その上で、感情を込めるところなどにチェックを入れて、今回は割と台本にいろいろ書き込みましたね」とアフレコの舞台裏を明かす。
一方で、母親役を演じることで「共感する部分も多かったです」と話す瀬戸さん。仕事で家を空けることが多いものの、子育てには「勉強第一」と考えて、子供の将来のために日々の宿題をリスト化して与える“教育ママ”を演じたが、「一見、しばりすぎているようにも見えますが、そこには母親の大きな愛情があります」と語る。
「自ら勉強を必死にやる子供はあまりいないと思いますが、それも子供のためを思ってのこと。親としては勝負でもある。私自身も仕事をしながら子育てしているので、その大変さが分かります。自分が常に子供のそばにいてあげられない分、細かくリストを作って。後悔しないためにも、今やらなきゃダメでしょって……」と役に感情移入する。
そういった役柄への理解からか、瀬戸さんが演じる母親の声は、子供を律するようなキビキビとした口調でありながら、決して冷たさはなく、温かく包み込むような優しさにあふれている。
「監督からも『ただ強いだけ、厳しいだけの声ではなく、その裏には愛情がある雰囲気を出してほしい』といわれていました。台本を読んで、自分なりに気持ちを考えて、アフレコに臨んだんですが、一番最初に予告編の声を撮ったときに、監督が『役の声にピッタリだ』とおっしゃってくださって。それで自信がつきました」と笑顔を見せる。
「たぶん子供がいなかったら、役柄の気持ちをちゃんと理解することは私にとって難しかったと思います。ただのうるさいお母さんだなって思ってしまっていたかも……」と語り、実生活を役に生かせたこともあり、「手応えを感じました。勉強にもなったし、あとは楽しみながら演じることができました」と充実した時間を過ごしたようだ。
その上で、今作について「大人の方が見て、いろいろ考えさせられる部分があったり、感動できる場面があって。見終わったあとに満足いく作品に仕上がっています」と瀬戸さんは胸を張る。
「誰もが知っている『星の王子さま』のその後を描いた話で、みんな興味がある作品だと思いますし、実際、その期待を裏切らない作品になっています。ぜひ家族や恋人、友だち……いろんな方と一緒に見ていただきたい」とアピールし、自身も「子供を連れて見に行きたいと思っています」と声を弾ませる。
今回、初挑戦したアニメ吹き替えについて、改めて「冒険だった」と振り返った瀬戸さん。「この仕事って、いつも新鮮な気持ちで新しいことに挑戦させてもらえたりもするので、今後もどういうお仕事、どういう役をいただけるか。未知なんですけど、それを楽しみにしていきたい」と語り、「だから老けていられないっていうか。背中を押してもらっているような気がします」とさらなる“冒険”に意欲を見せていた。
次回は、2人の子供たちと過ごす日常や、多忙な日々を過ごしながらも変わらない美しさの秘訣(ひけつ)を聞く。
<プロフィル>
せと・あさか。1976年12月12日生まれ、愛知県出身。92年に映画「湾岸バッド・ボーイ・ブルー」で女優デビュー。その後、CMやドラマで注目を集め、連続ドラマ「Missダイヤモンド」(テレビ朝日系)で主演。代表作に、「Age,35 恋しくて」(フジテレビ系)、「晴れ着、ここ一番」(NHK)、「離婚弁護士2 ~ハンサムウーマン~」(フジテレビ系)、「となりの芝生」(TBS系)などがある。現在、多数のCMキャラクターも務めている。
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