草刈正雄:「真田太平記」から30年… 「真田丸」父・昌幸役で役者人生の“集大成”に

NHK大河ドラマ「真田丸」で真田昌幸を演じる草刈正雄さん(中央)=NHK提供
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NHK大河ドラマ「真田丸」で真田昌幸を演じる草刈正雄さん(中央)=NHK提供

 俳優の草刈正雄さんが出演する2016年のNHK大河ドラマ「真田丸」が10日、スタートする。演じるのは、主演の堺雅人さん扮(ふん)する真田信繁の父・昌幸。1985~86年に同局で放送された時代劇「真田太平記」で自身も信繁(役名は幸村)を演じた草刈さんは「30年後にお父さんの役ってね、何か因縁めいたものを感じました」と話す。一方で今回の昌幸役を「今までの役者人生でトップといってもいい。集大成みたいな感じがしている」とも語る草刈さんにドラマへの思いを聞いた。

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 ◇昌幸は“食えないやつ” 寝返りも「当たり前のこと」と肯定

 「真田丸」は、戦国時代に信州の小さな領主のもとに生まれた信繁が、家族とともに知恵と勇気と努力で乱世をサバイバルする姿が描かれる。三谷幸喜さんが脚本を手がけ、信繁の兄・信幸(信之)を大泉洋さんが演じるほか、長澤まさみさんや高畑淳子さん、草笛光子さんらが真田家の人々として登場する。

 草刈さんが演じる昌幸は、主人公の信繁(堺さん)の偉大な父。知略軍略に優れ、豊臣秀吉に、油断ならない「表裏比興の者」といわしめた天才武将だ。「表裏比興の者」とは、コロコロといっていることが変わる「老獪(ろうかい)な、食わせもの」という褒め言葉。草刈さんも「北条(氏政)にしても上杉(景勝)にしても、必ずいわれるのが『食えぬやつじゃ』ってせりふで、『俺は食えないやつなんだ』って思いながらやっている」と明かす。

 また草刈さんは「昨日、いっていたことを、今日は『違う』という。一本“線”が通ってない、日本のドラマではあまり描かれない役」と昌幸を位置づけると、「『食えんやつ』といわれて、いろいろと寝返ったりするんですけど、当時は当たり前のことだったんじゃないかって思うんですよね」と敵方への寝返りも理解し、「生き残るためにとにかく必死で、役者にとってはとても面白い時代。そういうことを思いながらやっている」と肯定する。

 ◇スタジオに丹波哲郎が降臨? 今度の昌幸は「田舎のおやじ」

 草刈さんが思い描く「昌幸像」に影響を与えたのが「真田太平記」で昌幸を演じた丹波哲郎さんだ。草刈さんは「豪快で、とにかく明るくて、存在感があって、圧倒されていました」と回顧する。その昌幸を自分が演じると決まった時、丹波さんの役の印象とどう向き合うか考えたといい、「実は策を考えるときにクルミを使うのは『真田太平記』のまねをしていて、考えごとをする時に家臣と囲碁をするのも取り入れてはいるんですけれど。とにかく一時、丹波さんが頭から離れなくて、今でもときどき“降りてきて”、『ちゃんとやっているか?』って言っているような気がして、スタジオに丹波さんの気配を感じるんですよね」と苦笑する。

 三谷さんが手がけた脚本には、昌幸の「いろいろな面が出ている」という草刈さん。「読んでいると、昌幸は教育熱心な面があって、息子2人と話すシーンが結構ある。一方で、子供に泣きついたりもしますし、そういったところがとても人間味があってね、面白い人物だなって思いましたね」としみじみ。さらに「豪快でありながら喜怒哀楽が激しい。がらっぱちでね。洗練されてない“田舎のおやじ”って感じを気に入っている。こんな魅力的なキャラクターを演じられるって本当に役者冥利に尽きるつきる。役者続けて良よかったなって思える役です」とうれしそうに話していた。

 ◇“2人の息子”とも息もぴったり 2話のラスト「奇跡的にいいシーンに」

 そんな草刈さんに、堺さんと大泉さんの“2人の息子”について聞くと「2人とも今まで見せたことないような顔をしていて、ドキッとしますよね。あの大泉洋がくそ真面目まじめな顔してやっているんですからね(笑い)。これからがすごく楽しみ」と“親バカ”ぶりを発揮。3人での演技も「初めからからうまくいった」といい、「最初に撮ったのが難しいシーンだったんですけど、奇跡的にいいシーンになったと僕は思った。2話のラスト、くじ引きするシーンなんですけど、あれでこの親子は大丈夫と思った。3人でモニターを見た時に、爆笑して、2人も手応えを感じたんじゃないのかな」と自画自賛した。

 また草刈さんは、ほかの真田家の人々とも「会った瞬間から家族になった」と自信をのぞかせる。「今回の真田家はスキンシップが多いんですけど、高畑さんがいきなりハグしてきたり、どこか西洋的。そういうところは新鮮かなって思っている。盛り上がり過ぎちゃって逆に抑えなくちゃいけないところも出てきている」とにやり。役を通じては「真田家は代々教育がよくされている」と感じたといい、「大体どこかでブレた息子が出てくるんですけど、戦国を生き残る策というのを信玄公(武田信玄)から幸隆(昌幸の父)、昌幸、信繁(幸村)ってうまく受け継がれていて、教育は大事だなって思いました」としみじみと話していた。

 「真田丸」は10日からNHK総合で毎週日曜午後8時ほかで放送。初回は15分拡大版。

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