映画「サッドティー」「鬼灯さん家のアネキ」などを手がける今泉力哉監督の最新作「知らない、ふたり」が、9日から全国順次公開された。女性ファッション誌「Zipper(ジッパー)」(祥伝社)など「青文字系」と呼ばれる雑誌で人気のモデルで女優の青柳文子さん、韓国の人気男性グループ「NU’EST(ニューイースト)」のレンさん、女優の木南晴夏さんらが出演し、等身大の男女の複雑な恋愛模様を描いた群像劇だ。自身は「好きになったら絶対に相手に思いを伝えるタイプ」というが、今回は「伝えないというのが脚本のベース」と語る今泉監督に、最新作への思いや出演者たちの魅力を聞いた。
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映画は、人との接点を避けて生活している靴職人見習いの韓国人青年レオン(レンさん)と、同じ店で働き、ひそかにレオンに思いを寄せる日本人女性の小風(青柳さん)を中心に、7人の男女の思いが絡み合い、すれ違う群像劇を描いている。今作のスタートは「『ニューイーストで何か映画を撮ってくれ』という企画だった」という今泉監督。メンバーとは数時間話し込んで、キャラクターを作り上げたという。さらに「他の出演者と話していたら、好きという思いを伝えないっていう人もいっぱいいるよね、確かに」と、自身の考えとは違う発想が今回の脚本のベースになったという。
主人公を演じたレンさんについて、今泉監督は「真っすぐ。(グループにいながら)一人でいられる特殊な雰囲気があった」と説明し、韓国語と日本語の言葉の壁についても「いつも言葉に頼りすぎているのが課題だった。今回はあえて言葉に頼らないチャレンジをした。こっちが困ることはなかった」と明かす。青柳さんについては「可愛いだけじゃなくて、もともと役者をやっていた人とは違う自由度がある。公園に行っても、勝手に物を拾っていじったり。撮られ慣れている」と、その魅力を明かした。
「映画は虚構なんですけど、自分は映画での嘘への許容が、人より狭い」という今泉監督。映画作りでは、不自然なハッピーエンドは作らず、「自分一人では考えないこと。一人の人間が考えられることは限られている。例えば、現場のアクシデントで、みんなが思っていたよりも面白くなったりする」と、こだわりを明かす。今作についても「大きな流れとかはあるけれど、根本的なこと、細かいことは解決していない。『結局あの2人はどうなるんだろうね?』と見る人が考えられる作品です。恋愛で両思い、2人の思いが一緒ということはないと思う。それをいろんな形で描いている」といい、「本はベース。自由だなと思えるシーンが好き、役者さんが芝居じゃなく、生きている感じがするシーンが好きです」と語った。
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