椎名桔平：桐谷健太と初タッグ　「メガバンク最終決戦」の舞台裏

　俳優の椎名桔平さんが主演するドラマ「連続ドラマW　メガバンク最終決戦」（WOWOW）が、14日からスタートする。機能不全に陥ったメガバンクを救うため奔走する“スーパー銀行員”を演じる椎名さんに、初回放送を前に、作品の魅力や撮影舞台裏を聞いた。

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　◇すご腕ディラーで専務　“変わり種”銀行員に

　ドラマは、「銭の戦争」シリーズの著者で、5000億円の日本株を運用した経験を持つ波多野聖さんの小説「メガバンク絶滅戦争」（新潮社）が原作。巨大な負債を抱えたメガバンク「東西帝都EFG銀行」（TEFG）を立て直すため、椎名さん演じる主人公のすご腕ディーラー・桂光義が、桐谷健太さん演じる部下の二瓶正平と買収合戦や社内の陰謀に立ち向かっていく姿を描く。

　物語の舞台となるTEFGは、帝都銀行、東西銀行、EFG銀行が合併して誕生したメガバンク。出身銀行ごとのヒエラルキーが強く残り、帝都出身者が中核を担う中、桂は東西出身でありながら、ディーラーとしての手腕を買われて専務にまで昇り詰めた男だ。

　椎名さんは、過去に映画「金融腐食列島 呪縛」（1999年）で銀行員を演じているが、今回演じる桂を「変わり種」だといい、「本流の帝都出身ではないのに、経営陣の一角にいる。そして、ディーリングルームのリーダーとしていまだに為替をやっている。非常に珍しい存在なんじゃないかなと思います」と語る。

　そのため、桂を演じる上で、「経営者然とするのだけはやめよう。ディーラーとして戦ってきた側面をきちんとキャラクターに生かさなければいけない」と考えたという。椎名さん自身、「賭けごとはあまりやらない」と語るが、リアリティーを出すため、「本を読んだり、ネットを見たりして勉強しました。それから、知り合いの銀行に行って、支店長からいろいろ見聞きしたり、お話を聞かせていただいたりしましたね」と明かす。

　また、桂という人物像を「桂は運がよかったんだと思うんですが、生き残れなかった人間たちのことを背負って生きている。そういう人間というのは、どこかバランスがおかしくて、何かを犠牲にしていなきゃいけないなって思うんですよね」といい、「桂は結婚していないし、自宅もガランとした高層マンション。どこか、孤独と引き換えに仕事にまい進するというか、勝負に打ち勝ってきたところがあるのかな、と。そういう人間を作れればいいなと思って演じていました」と役作りを語った。

　◇ノンフィクションに近いドラマ

　物語が進む中で、そんな桂と銀行を救うためタッグを組むこととなるのが、桐谷さん演じる総務部員・二瓶正平。EFG銀行の前身の銀行であり、TEFG内で“最下層"と位置づけられている名京銀行出身だが、ヒエラルキーに屈することなく、生真面目に仕事をしている。

　椎名さんは、桐谷さんと今回が初共演だが、「明るいし、素直だし、僕は会った瞬間好きになりました」と好印象で、「一緒にいると話が盛り上がって、会話が終わらないんですよね」と相性もばっちり。地方ロケでは、一緒にカラオケにも行ったといい、「みんなでご飯を食べに行ったあと、その流れで行ったんですが、『そういや（auのCMで）歌ってるよね。聴きたいな』って話したら、一生懸命歌ってくれましたよ。うれしかったですね」と笑顔で明かす。

　さらに、桐谷さんについて「お芝居もいいですよ」と太鼓判を押し、「二瓶って、ちょっと悲しいところもある役柄なんですけどね。台本を読んだだけでも、ぐっと苦しくなるようなシーンもたくさんあって。出来上がった作品でも、きっといい芝居をしていると思いますね」と期待を寄せる。その上で、自身の演技も「二瓶たち社員に見せる姿と、経営者として対外的に見せる姿の、全く異なる二面性をうまく人格化すれば、桂がとても魅力的になると思って演じました」と語る。

　「桂は、クールなキャラクターなんですが、徐々に見えていなかった部分が出てくる。それが、銀行に対しての思いにつながっていくんだと思うんですが、僕自身、人間味がある方が役として魅力的だな、と思ったので、いくつか提案もさせてもらいました。そういう中で、『あ、桂って、こういう面もあるんだな』などと、楽しんでいただけるような役になっているんじゃないかな」とアピールする。

　そして、作品の魅力について、「ノンフィクションに近いドラマ。人間関係とともに、我々が知る由もないメガバンクの内幕がエンターテインメントとして描かれています。非常に硬質で、力強い、スケールが大きい作品になっていますので、最後まで見ていただけたら」とメッセージを送った。

　「メガバンク最終決戦」は14日からWOWOWプライムで毎週日曜午後10時に放送。全6話で第1話は無料放送。