NHK連続テレビ小説「あさが来た」の“五代さま”こと五代友厚役でブレークしたディーン・フジオカさん主演の映画「NINJA THE MONSTER」(落合賢監督)が20日から公開される。五代役で、紳士的で温厚なイメージが定着した感があるフジオカさんだが、今作では忍者に扮(ふん)しアクションを披露。新たな魅力を見せてくれる。昨年夏に、カナダのファンタジア国際映画祭でワールドプレミアが行われ、アジア数カ国での配給が決定しているという注目作だ。
ウナギノボリ
ついにクライマックス!「不適切にもほどがある!」
戦国の世が終わり、幕府による「忍者禁止令」によって、もはや“忍び”は存在しないと思われていた時代。長野藩の救済を請うために、幸姫(森川葵さん)ら一行は江戸に向かっていた。そこへ突然、“もののけ”が現れる。幸姫を救ったのは、忍びであることを隠した伝蔵(フジオカさん)だった。からくも生き残った幸姫と、彼女に仕える長右衛門(和田聰宏さん)は、伝蔵とともに江戸への旅を続けるが……という展開。
「超高速!参勤交代」(2014年)で脚本を担当した土橋章宏さんによる脚本を、「太秦ライムライト」(13年)の落合監督が映像化した。「太秦ライムライト」は現代劇ながら、正統派の殺陣シーンをふんだんに盛り込み、時代劇ファンを喜ばせた落合監督。今作では、SFチックなもののけの描写や、満天の星の下での伝蔵と幸姫のファンタジックかつロマンチックなシーン、さらに、伝蔵の殺陣シーンではオリジナリティーあふれる刀さばきを盛り込み、新感覚の時代劇に仕上げている。
その、伝蔵役のフジオカさんはといえば、今作ではハッとさせられるほどのアクションを見せてくれる。殺陣のシーンは殺陣師の元で稽古(けいこ)に励み、フジオカさん自らがこなしたといい、通常の時代劇とは一味違う刀さばきも、自身の中国武術の経験を生かし、落合監督に進言したものだという。その一方で、幸姫に向ける憂いを帯びたまなざしや、幸姫を肩に担ぐシーンでは色気と男らしさをアピール。ロン毛を束ねたヘアスタイルも違和感なくなじみ、フジオカさんの新たな魅力に触れられる作品になっている。20日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほかで1週間限定公開。(りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションを経てフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。
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