真田丸:“無名武将”をフィーチャー その狙いとは

「真田丸」の第8回「調略」の一場面=NHK提供
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「真田丸」の第8回「調略」の一場面=NHK提供

 NHK大河ドラマ「真田丸」は28日放送の第8回「調略」で、堺雅人さんが演じる主人公・真田信繁が初めて調略に挑戦する姿が描かれる。調略をする相手は、武田家の重臣・高坂弾正の息子で、武田家滅亡後は上杉景勝に仕えた春日信達だ。父に比べると知名度は高くない武将だが、第8回では大きく取り上げられ、その存在は、信繁にとって一つの転機にもなる。第8回の見どころを紹介しつつ、“無名”な信達をフィーチャーする狙いを探った。

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 ◇初の調略で苦悩

 「真田丸」は、真田幸村の名でも知られている戦国時代の人気武将・真田信繁を堺さんが演じ、戦国時代に信州の小さな領主のもとに生まれた信繁が、家族とともに知恵と勇気と努力で乱世を生き抜く姿を描いている。三谷幸喜さんが2004年放送の「新選組!」以来、12年ぶりに大河ドラマの脚本を手がけ、長澤まさみさんや大泉洋さん、草刈正雄さんらが出演している。第8回で大きく取り上げられる春日信達は、女性ファッション誌でイケダン(イケている旦那さん)としても人気の俳優の前川泰之さんが演じる。

 信繁(堺さん)に信達(前川さん)の調略を信繁に命じたのは、真田家を率いる父昌幸(草刈さん)だ。真田家は本能寺の変によってあるじを失い、北条、徳川が侵攻しようとする中、昌幸は生き残りのために奮闘する。そんな中、昌幸は、自分と同じ武田家の元家臣で上杉に仕える春日信達に目を付け、信達を北条に寝返らさせ、それを手土産に北条に近づこうとする。信繁は叔父の信尹(栗原英雄さん)と共に信達を調略することになる。昌幸の策略の本当の狙いは、信繁にも知らされておらず、信達は策略の“犠牲者”になってしまい、信繁は苦悩することになる。

 ◇時代に翻弄される悲しみ

 制作統括の屋敷陽太郎チーフプロデューサー(CP)は、第8回について「信繁が調略に初めて挑戦し、成長する姿を描いている。この調略は信繁の一つの転機となる。また、時代に翻弄(ほんろう)される信達の悲しみも見せたかった」と説明。信達は有名な武将ではないものの、ドラマでは、信繁が戦国時代の厳しさを学ぶきっかけになる人物として登場する。また、武田家の滅亡によって、真田家と同じくあるじを失い、時代の荒波に巻き込まれる信達の悲しみも描かれる。そのため、1話をまるまる使って大きく取り上げたようだ。

 誠実すぎて“犠牲者”になってしまう信達を演じる前川さん。屋敷CPは、前川さんの起用理由について「誠実で爽やか。イケダンとしても人気がある。誠実な人柄が信達にうってつけと感じた」と説明。前川さんの哀愁漂う演技も見どころとなっている。

 ◇真田家はリーマンショック後の零細企業

 第8回では、昌幸が真田家を存続させるために仕掛ける大胆な策略も明らかになる。昌幸は知将ではあるが、その策略は冷徹で卑劣にも見えるかもしれない。屋敷CPは「真田家はリーマンショック後の零細企業のような状態で、昌幸は必死。ひきょうにも見えるかもしれないが、昌幸は生きていくのが精いっぱいなので、生きていくために何とかしなくてはいけない。真剣なんです」と話す。

 またドラマでは、武将たちのだまし合いをじっくり描いてはいるが、泥臭く、生々しく見えるわけではない。屋敷CPは「堺さんや草刈さんが清潔感があるからかもしれませんね」と分析する。

 第8回は信繁にとって転機にもなる重要なエピソードとなる。また、今後、信繁がどのように成長して、戦国時代を生き抜いていくかが注目される。放送はNHK総合で毎週日曜午後8時ほか。

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