注目映画紹介:「オオカミ少女と黒王子」 二階堂ふみ・山崎賢人W主演 恋に目覚める女子の心の揺れにキュン

「オオカミ少女と黒王子」のワンシーン (C)八田鮎子/集英社 (C)2016 映画「オオカミ少女と黒王子」製作委員会
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「オオカミ少女と黒王子」のワンシーン (C)八田鮎子/集英社 (C)2016 映画「オオカミ少女と黒王子」製作委員会

 八田鮎子さんの大ヒット少女マンガを実写映画化した「オオカミ少女と黒王子」(廣木隆一監督)が28日から公開される。彼氏のふりをしてもらったことで巻き起こった、奥手な女子とドS男子の恋愛の行方を丁寧に描き出した。国内外で評価の高い実力派女優、二階堂ふみさんと最近の活躍が目覚ましい山崎賢人さんのダブル主演。

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 高校1年生の篠原エリカ(二階堂さん)は、恋愛経験豊富な友だちに見えを張って「彼氏がいる」とうそをついてしまい、街で偶然見かけたイケメン男子を撮った写真を友達に見せてしまった。しかし、その男子は学校で人気の佐田恭也(山崎さん)で、友達は騒然。恭也に事実を打ち明けると、彼氏の振りをしてくれるというが、実は“ドSな黒王子”だった。恭也に「俺の犬になれ」と言われてコキ使われるエリカだったが……というストーリー。

 恋に恋する少女が次第に可愛くなっていくさまがほほ笑ましく、笑ったり、泣いたりとコロコロ変わる表情が可愛らしい。人物の心情を風景に溶け込ませるという臨場感あふれる演出で、観客はエリカの揺れ動く感情にすっかり共感させられながら、うそから始まった本気の恋の行方を見守っていくことになる。時に違う男子とデートしたり、クラスの男子に思いを寄せられたりしながら、自分の本心に気づいていくエリカ。一方の黒王子こと恭也は「恋愛ごっこ」をバカにしながらも、エリカの優しさに触れて、少しずつ感情が目覚めていく。友達にカッコつけたい10代が自分の気持ちに素直になるって、なかなか勇気がいるもの。心の葛藤を抱えながら日々成長していく2人の姿がすがすがしい。これまでの友達と距離ができたとき、寂しさとともに自分の気持ちに気づいていく2人の姿が頼もしく見える。

 原宿、水族館、カフェ、神戸の街などデートのロケーションもバラエティー豊かで、同世代なら行ってみたくなるだろう。二階堂さんが、少女マンガ原作の恋愛ものに挑んでいるのも新鮮で、ドS王子に振り回されながら徐々に好きになっていく心のひだを繊細に演じた。「ストロボ・エッジ」(2015年)など、マンガ原作の映画化も手がけたことがある廣木監督の作品。廣木監督の作品は、6月11日に有村架純さん主演の「夏美のホタル」も公開予定だ。今作の主題歌は、3人組バンド「back number」の「僕の名前を」。28日から新宿バルト9(東京都新宿区)ほかで公開。(キョーコ/フリーライター)

 <プロフィル>

 キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。今作の主題歌、気に入りました。

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