青木志貴の魔王式随想:二宮飛鳥がくれたシンセカイの鍵

声を担当した二宮飛鳥の柱と並んでポーズをとる青木志貴さん
1 / 14
声を担当した二宮飛鳥の柱と並んでポーズをとる青木志貴さん

 人気ゲーム「アイドルマスターシンデレラガールズ」の二宮飛鳥役などで知られる新人声優の青木志貴さん。自身を「ボク」と呼ぶ“ボクっ娘”で、“魔王”のニックネームで「League of Legends」などのオンラインゲームをがっつりやり込むコアゲーマーという異色の経歴も併せ持つ青木さんが、その独自の視点で自身の歩みやさまざまな思いを語ります。

ウナギノボリ

 ◇

 はじめましての方は、はじめまして! そうでない方はいつもありがとうございます! 青木志貴です!

 まず、このコラムで初めてボクを知ってくださった方へ向けて、簡単に自己紹介をさせてください。

 三木プロダクション所属の新人声優、青木志貴と申します! 趣味はゲーム(特にオンラインゲーム)とコスプレ、歌うこと。好きなものはおうちと猫、オカルト系全般(本とか映画とか…)とハイスペックPCです!

 声優をメインとしてお仕事をさせていただけるようになったのはまだまだ最近のことで、それまではゲーマーとしていろいろなネットの生番組や雑誌の読者モデル、舞台なんかに出演したりしていました。

 小さい頃からの夢だった声優としてお仕事をいただけるようになったわけですが、まだまだ未熟な新人ですので、アニメのお仕事をたくさん増やしていきたいです!

 あとは歌うことも好きなのでライブをしたり、何よりゲームが大好きなので、自分の大好きなゲーム作品にいつか出演できたらうれしいなあと思っております!

 さて、今回お話しするのは、ボクがCV(キャラクターボイス)を担当させていただいている「アイドルマスターシンデレラガールズ」に登場する「二宮飛鳥」との出会いについて。初回からいきなり飛鳥ちゃんについて!?と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、彼女はボクにとってとても大切な人物なのです。

 飛鳥ちゃんと出会ったのは昨年の終わり頃だったと思います。それまでもいくつかの作品のオーディションを受けてきましたが、やはり声優というのは厳しい世界。とくに舞台経験はあっても声優としてのお仕事の経験が少なく、かといって養成所などに通っていたわけでもないボクにとっては本当に厳しい世界です。

 2015年が始まったばかりの頃のこと。かなり良いところまでいって「受かるのでは!?」と思ったオーディションがありました。期待が膨らむ中、最後の最後で今回はダメでしたと連絡を受けたとき、自分の中で何かが崩れたような気がしたんですね。まさに心が折れるといいますか(笑)。

 今となっては、「こんな厳しい世界でそううまくはいかねーよな~」って思い出して笑えるくらいにはなりましたが、当時は期待していただけに本当にショックだったんです。

 年齢的にもどんどん厳しくなる声優というお仕事。2015年でオーディションに受からなかったらこの仕事は諦めようと考え、事務所にもそう伝えていました。

 そんな2015年の終わり、飛鳥ちゃんがボクの元にやってきてくれたのです。今思えば本当に奇跡といいますか……。

 実はボク、二宮飛鳥のオーディションを受ける予定ではなかったのです。ですが、この飛鳥ちゃんのオーディション原稿を見たマネジャーさんが、雰囲気なのかせりふのせいなのか「なんか青木っぽい」と思ってくださったらしく、ボクにもオーディションのお話をくださいました。

 この時マネジャーさんがボクという存在を思い出してくれなければ、ボクは飛鳥ちゃんに出会うこともなく、ボクはただの引きこもりゲーム廃人になっていたかもしれません(苦笑)。

 二宮飛鳥ちゃんは14歳でいわゆる中二病と呼ばれる部類の女の子。そしてボク好みのクールでツンツンしてそうな外見! ボク自身「魔王」というあだ名で呼ばれ、中二病大好き!な人間なので、飛鳥ちゃんのオーディション原稿をいただいたときはとてもわくわくしました。

 そして何より、今の日常から抜け出したいと願っている飛鳥ちゃんが、その時の自分と少し重なって見えたんです。そんな出来事があって臨んだオーディションだったのですが、以前期待してダメだったオーディションの件があったので、この飛鳥ちゃんのオーディションはまさか自分が受かるなんてみじんも思っていませんでした。むしろ「自分なんかが受かるわけない、期待するだけ無駄なんだ…」って卑屈になっていた部分もあります(笑い)。

 オーディションが終わったあとマネージャーさんに「オーディション、だめだと思います」と話していたくらいだったので、「決まりました」と連絡をいただいた時は夢かと思って二度寝しました!

 そうして飛鳥ちゃんと歩む日々が始まったのですが、正直声優としての経験が浅く、代表作もないボク。飛鳥ちゃんの担当プロデューサーの皆様はCV発表のとき、とても心配されたと思います。誰だこれ、大丈夫か?って(笑い)。まだまだ未熟でえたいの知れない新人に不満を持った方も、たくさんいると思います。

 発表前、ボクもわくわくというよりは不安の方が圧倒的に大きかったです。

 そして迎えた2016年1月31日。CV発表の日。皆様からの温かい激励の言葉がたくさん届きました。夢のようでした。「ああ、本当にボクに飛鳥ちゃんの声を預けていただけるんだ」と、この時初めて実感しました。

 それと同時に、この「二宮飛鳥」という女の子はこんなにも愛されているんだとわかり、さらにプレッシャーを感じましたが、それ以上に、もっとプロデューサーの皆様に喜んでいただけるように、飛鳥ちゃんが愛されるように頑張ろう!と強く思ったんです。

 そんなこんながありまして、飛鳥ちゃんとの出会いはボクにとって本当に忘れられない出来事になったんです! “非日常”を求め、外の世界に踏み出したいと願う飛鳥ちゃん。むしろ、飛鳥ちゃんの求めた非日常、そして外の世界へとボクを導いてくれたのは彼女でした。

 そしてボクが歌わせていただいた飛鳥ちゃんのデビューシングル、「共鳴世界の存在論」に、こんな歌詞があります。

 「シンセカイの鍵をそっとまわしたなら さぁ、ボクと共に」

 まさに。どうしようもない日常で溺れかけていたボクにシンセカイの鍵をくれたのは彼女で、「共に」と手をとってボクをいざなってくれたのも彼女だったのです。

 ◇プロフィル

 あおき・しき=1月14日生まれ。162センチ、AB型。「アイドルマスターシンデレラガールズ」の二宮飛鳥役など。声優、タレントと多方面で活動中。ゲーマーとしても「魔王」の愛称を持つコアゲーマー。

写真を見る全 14 枚

アニメ 最新記事