尾野真千子:2年ごしの映画公開に歓喜 見どころは「今まで見せたことがない」熱唱顔

「ハンマー(48億のブルース)」に出演した尾野真千子さん
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「ハンマー(48億のブルース)」に出演した尾野真千子さん

 女優の尾野真千子さんが、1995年に解散したパンクバンド「THE BLUE HEARTS」の楽曲を、6人の監督がそれぞれ自由な解釈で映像化したオムニバス映画「ブルーハーツが聴こえる」(公開中)の「ハンマー(48億のブルース)」(飯塚健監督)で主演を務めた。一緒に住んで3年になる彼氏の浮気現場を目撃し、いらだつ女性を演じた尾野さんは、ブルーハーツの歌を基に映画を撮るという企画に「芝居と音楽が一緒にできればいいな。そういうのやってみたいなと思っていた」と笑顔。尾野さんに見どころを聞いた。

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 映画は、2015年のブルーハーツのバンド結成30周年を機に企画され、公開まで2年間を経て、満を持しての全国公開となる。「ハンマー(48億のブルース)」は、和家具のアンティークショップに勤める28歳の一希(いつき、尾野さん)が、浮気した劇団員の彼氏に怒りや不安をぶつけることができずに葛藤を抱え込んでいたが、職場の先輩の久保(東京03の角田晃広さん)と、店に入り浸っているバンドガール女子高生2人組・奏(萩原みのりさん)、結(伊藤沙莉さん)の助けを借りて、自分の殻をぶち壊す姿を描く。

 尾野さんは、映画の公開に「良かった。本当に良かった!  120、200パーセント全力で作っているので、みんなに見てもらいたい。いろんなことを感じてもらいたいとか、ひとつのきっかけになればいいなとか、いろんな思いがある」と、喜びを爆発させた。公開が決まったときは「私たちのメンバーは『やりました!』『やるぞやるぞ!』『みんなで宣伝がんばりましょう』とかLINEで喜び合いましたね」と笑顔を見せた。

 一番印象に残っているシーンは「4人でブルーハーツの歌を歌ったとき。とっても熱唱しています。たぶん今まで見せたことがないくらいの熱唱だった」。音声は使っていないが、マイクで歌ったり、ハンマーに持ち替えて歌ったりと、いろいろなパターンを撮影したといい、「のどは意外と強いです。カラオケ大好き!  意外と(プライベートと)近いかもしれないですね。全身全部使って歌います」と明かした。

 メガホンを取った飯塚監督の印象は「はじめはとても不安でしたね。台本読みのときから、私たちの声とテンポに合わせて、(せりふが)変わっていった」と明かしたが、「そうすることによって、私たちは芝居がやりやすくなるし感情を向けやすくなる。どうなるか分からないから、いつでも動かされる態勢でいなきゃ。『明日は何があるんだろ』とワクワクする感じだった」と、撮影を振り返った。

 自身の役柄については「新しいことに進んでいいのか、だめなのか、さまよっている人。さまようことが普通だと思います」といい、「私が演じたい一希のように、しょうもないことで、前に進んでいいのか分からない人たちがいると思うんですけれど、あの歌を聴いて、この映画を見て、『ちょっと一回何かを壊してみるか』と思ってくれれば、私がハンマーを振り下ろした意味がある」と熱をこめて語っていた。

<プロフィル>

 おの・まちこ 1981年11月4日生まれ、奈良県出身。TOM company所属。中学生の頃、河瀬直美監督に見いだされ、「萌の朱雀」(97年)で主演デビュー、同作が第50回カンヌ国際映画祭でカメラ・ドールを受賞し、自身も他の海外映画祭などで主演女優賞を受賞。2007年、再び河瀬監督とタッグを組んだ「殯(もがり)の森」がカンヌ国際映画祭グランプリに輝き評価を高める。NHK連続テレビ小説「カーネーション」(11~12年)では主演を務める。主な映画出演作に「クライマーズ・ハイ」(08年、原田眞人監督)、「外事警察 その男に騙されるな」(12年、堀切園健太郎監督)、「探偵はBARにいる2」(13年、橋本一監督)、「きみはいい子」(15年、呉美保監督)、「ミュージアム」(16年、大友啓史監督)などがある。

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