高橋一生:「おんな城主 直虎」複雑な“政次”への愛情語る「よしよししてあげたい」

NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」で小野但馬守政次を演じている高橋一生さん=NHK提供
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NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」で小野但馬守政次を演じている高橋一生さん=NHK提供

 女優の柴咲コウさんが主演を務めているNHK大河ドラマおんな城主 直虎」で、井伊家筆頭家老であり今川家の目付でもある小野但馬守政次を演じている高橋一生さん。7日放送の第18回「あるいは裏切りという名の鶴」では、これまで直虎に虎松の後見を降りるように迫るなど厳しい態度を見せていた政次が、実は一人で矢面に立って井伊家を守ろうとしてきたことが明らかになるなど、前半の大きな山場となった。高橋さんに、演じている政次への思いなどを聞いた。

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 ◇政次に寄り添いたい

 「おんな城主 直虎」は56作目の大河ドラマで、森下佳子さん脚本のオリジナル作品。幕末の大老・井伊直弼の先祖で、徳川家康の重臣・井伊直政の養母にあたる主人公・直虎が、男の名で家督を継ぎ、今川、武田、徳川が領地を狙う中、仲間と力を合わせて国を治め、幼い世継ぎの命を守りながら、生き延びていくストーリー。第18回では、当主としての心得が記された書物を読んだ直虎は、その中の「敵を欺くには、まず味方から」という一文を見て、実は政次がこれまで矢面に立って井伊を守ろうとしてきたことに気づき、政次のもとを訪ねる……というストーリーだった。

 直虎や周囲の人間から裏切り者として見られていた政次。高橋さんはどのような思いで演じていたのか。高橋さんは「(政次は)裏切ってはいなかったでしょうけど、『結果的に裏切った』という感覚は持っているはず」といい、「誰もが家とか好きな人とか、何かを守ろうとしている。いろんな見地に立てば、善悪二元論でいえるのかというと、そうじゃない」と語る。

 そんな政次について、高橋さんは「いつも裏表を使い分けなくてはいけない、複雑な人間に仕上がってしまっている」としつつ、「僕は“よしよし”してあげたいですね(笑い)。頑張っていこうな、と。なるべく(政次に)寄り添いながらお芝居をしていたいなと思います」と役への愛情を表現する。

 ◇柴咲コウとは“ごっこ遊び”じゃない瞬間を共有できた

 第18回で直虎から、自分なら井伊をどう守っていくのかと問われた政次は、「(周囲の敵と)戦わない道」を選ぶという答えを絞り出す。「直虎とは、政次の今、考え得るベストの方向で向き合ったんだと思います。ベストな形で本音を言いつつ、家老として、目付として、いろんな見地から総合して『戦わない道を選ぶ』という一言を出したんじゃないかと思っています」と高橋さん。

 これが直虎としっかり向き合えたシーンになったという。「お芝居って、せりふの応酬ではないと思っています。言葉の間だったり呼吸だったりを、僕は一番大事にしたい」と語り、「お芝居ってどこまでいっても“ごっこ遊び”だと、見ている方たちは思うかもしれないけれど、そうじゃない瞬間を求めているのが俳優だと思う。そういう瞬間が、柴咲さんとは確かにあったんじゃないかなと思っています」と充実した表情を見せる。

 「すごく器用に見られるんですよ、最近よく、『なんでもこなせますね』って。そのたびに小さく傷ついてるんですけど(笑い)」と高橋さんは心情を語る。本当はあまり器用なタイプではなく、「誰かの人間性にジャンプする(飛び込む)って、できない」という。

 「高尚にするわけではないですが、(芝居は)ある種、シャーマニズム(祖先の霊などと巫女=シャーマンを通して心を通わせる原始宗教の一種)みたいなものも入っているんじゃないかと思っていて。(演じる人物を自分の中に)下ろすというか、その瞬間を常に待っている感じがするんです。だから、周りの皆さんに役を作ってもらっている感じです。今回だったら三浦(春馬)さんだったり、柴咲さんだったり、井伊や今川の皆さんだったりに、お芝居を振られて、それに返している……。すごくそんな感じがするんです」と持論を展開した。政次を演じる高橋さんの今後の演技にも注目したい。

 NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」は、NHK総合で毎週日曜午後8時ほかで放送。

 <プロフィル>

たかはし・いっせい 1980年12月9日生まれ、東京都出身。NHK大河ドラマは「元禄繚乱」(99年)、「新選組!」(2004年)、「風林火山」(07年)、「軍師官兵衛」(14年)に続き「おんな城主 直虎」で5作目の出演となる。今年1月期に放送された「カルテット」(TBS系)が話題に。10月にスタートするNHK連続テレビ小説「わろてんか」に出演する。

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