キンプリ:想定外のヒットでできた新作 菱田監督と西Pが語る熱いファンへの思い

劇場版アニメ「KING OF PRISM -PRIDE the HERO-」を手がけたエイベックス・ピクチャーズの西浩子プロデューサー(左)と菱田正和監督
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劇場版アニメ「KING OF PRISM -PRIDE the HERO-」を手がけたエイベックス・ピクチャーズの西浩子プロデューサー(左)と菱田正和監督

 “応援上映”も話題になった劇場版アニメ「KING OF PRISM by PrettyRhythm」(略称・キンプリ、菱田正和監督)の新作「KING OF PRISM -PRIDE the HERO-」が10日、公開される。応援上映が話題になり多くのメディアでも取り上げられた「キンプリ」だが、そもそも昨年1月の公開時は小規模なスタートだった。熱心なファンの応援もあって、ヒットし、新作が製作されることになった。「想定外」だったというヒット、熱いファンの反応、新作について菱田監督と同作を手がけたエイベックス・ピクチャーズの西浩子プロデューサーに聞いた。

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 ◇多くのメディアも取り上げたキンプリ現象

 「キンプリ」は、2013年4月~14年3月に放送された女児向けテレビアニメ「プリティーリズム・レインボーライブ」のスピンオフで、男性キャラクターの神浜コウジ、速水ヒロ、仁科カヅキたちが歌とショーに懸ける姿を描いている。昨年1月に公開され、わずか14館の公開という小規模でのスタートだったが、延べ上演館数が100館以上にまで拡大。映像に合わせて、観客が声を上げたり、サイリウムを振ったりして楽しめる応援上映が「めざましテレビ」(フジテレビ系)や「ニュース シブ5時」(NHK総合)などでも取り上げられるなど話題になった。

 西プロデューサーにとって「キンプリ」のヒットは「想定外」だったという。応援上映が注目を集め、同作を取り上げるメディアも急増した。そもそも「キンプリ」の製作が発表された15年10月の会見を取材したのはMANTANWEBを含めて数えるほどのメディアだったが、菱田監督や西プロデューサーはすっかり“時の人”になった。しかし、西プロデューサーは「私の生活は変わりませんよ」、菱田監督も「僕も何にも変わらない」と話す。

 ◇新作は「これを抱えたまま棺おけには入れない」

 西プロデューサーによると、そもそも「キンプリ」は2部構成だったが、ひとまず第1部である前作「キンプリ」のみが製作できることになったという。菱田監督の頭の中には今回、公開される新作に当たる第2部の構想があったものの、製作できるかは分からない状態だった。しかし、「想定外」のヒットを受けて、新作の製作が決まった。

 ヒット作の新作となると、ファンの期待値が高まるが、菱田監督は「プレッシャーよりも、新作を作ることができる喜びが大きい。そもそも2部構成なので、第2部を見せられないことが嫌だった。これを抱えたまま棺おけには入れないという気持ちだった」と明かす。

 ◇エリートと呼ばれるファンが支えてくれた

 「プリティーリズム」時代からの熱心なファンの存在もあり、「キンプリ」はヒットした。ファンがSNSなどで“布教活動”を行い、菱田監督や西プロデューサー、声優陣はファンの思いに応えるために、全国各地に赴き、舞台あいさつを行った。西プロデューサーは「忘れられないのが、舞台あいさつの後、菱田監督のファンが出待ちしていたことですね。『なるちゃん(『プリティーリズム・レインボーライブ』の主人公・彩瀬なる)たちを幸せにしてください!』と言われたのですが、本当にびっくりしました」と振り返る。

 菱田監督は一部のファンには“アイドル”のような人気だ。舞台あいさつなどでも、菱田監督が「キンプリ」や「プリティーリズム」について語り出すと、ファンから歓声が上がることもあり、「みんなとしゃべりたいんですよ。昔からのファンの人はいっぱいしゃべりたいことがある。僕もそれをしゃべっているだけですよ。『プリティーリズム』の1作目から熱烈に応援してくれるエリートと呼ばれるファンが支えてくれてきた。その人たちがいなければ『キンプリ』はなかった」と話す。

 ◇応援上映も想定外の盛り上がり

 「キンプリ」は応援上映も「想定外」の盛り上がりを見せた。西プロデューサーは「最初の応援上映で、初回でも『苦手な食べ物は?』というせりふに対して『ピーマン!』と叫んでいる人がいた」と当時の驚きを明かす。

 応援上映が行われたのは「キンプリ」が初めてではない。14年3月公開の「劇場版 プリティーリズム・オールスターセレクション プリズムショー☆ベストテン」で初めて行われ、15年3月公開の「劇場版プリパラ み~んなあつまれ!プリズムツアーズ」でも実施された。菱田監督は「もっと参加できるようにしたのが『キンプリ』だった。ただ、予想を大きく超える反応で、新しい形になった。回を重ねるごとにスキルが上がっていった」と喜ぶ。

 ◇「ありがとう!」はこっちのせりふ

 新作が公開されることについて、菱田監督は「ファンから『ありがとう!』と言われるけど、『ありがとう!』はこっちの言葉です」と感謝の言葉を語る。新作は、コウジが巨額の負債を返すためにハリウッドで映画音楽制作に、カヅキがストリート系としての自らの原点を見つめ直し、ヒロが己を高めるため特訓に打ち込む中、4年に1度のプリズムキングカップが開幕する。

 菱田監督は「全部詰め込んだ。やりきりました」、西プロデューサーも「後悔はないです」と自信を見せる。新作もファンの期待に応え、大きな盛り上がりを見せてくれそうだ。

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