星守る犬:“泣けるマンガ”が西田敏行主演で映画化 北海道で40万本のひまわりに囲まれ撮影

「道立サンピラーパーク」で映画「星守る犬」の撮影を行った西田敏行さん(左)と秋田犬のハッピー
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「道立サンピラーパーク」で映画「星守る犬」の撮影を行った西田敏行さん(左)と秋田犬のハッピー

 村上たかしさんのマンガ「星守る犬」(双葉社)が西田敏行さん主演で映画化されることになり、このほど北海道名寄市の40万本が咲き乱れるひまわり畑で撮影が行われた。「星守る犬」は中年男性「おとうさん」と飼い犬の「ハッピー」の足跡をたどりながら、生きることやきずなについて考えさせる感動作で、「釣りバカ日誌」などコメディー作への出演が多い西田さんは「この役は、ごく平均的な中年・老人像なので、コメディーと違いアドリブのやりようがなく、没個性というか、(それが)逆に至難の業で、最近の自分にはユニークな役でやりがいがあり、クリエーティブな気持ちを触発されました。ご覧の通り、ハッピーとも、もう心が通じ合ってるでしょ!」と撮影初日から秋田犬のハッピーとじゃれ合いながら、息もぴったりの様子だった。

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 「星守る犬」は、コミックスが09年夏に発売されると、TBS系の情報番組「王様のブランチ」で「とにかく泣ける」「今年一番の感動作」として話題を呼び、雑誌「ダ・ヴィンチ」の「BOOK OF THE YEAR 2009」で「泣けた本」と「読者が選ぶプラチナ本」第1位とダブル受賞したのをはじめ、「このマンガがすごい!2010」の「オトコ編」第4位、「このマンガを読め!2010」の第5位、「紀伊国屋書店キノベス‘09」第3位などを獲得。現在までに販売部数が31万部を超えるベストセラーになっており、大手配給やテレビ局のほぼ全社や多数の制作プロダクションなど合計20数社から映像化のオファーが殺到したという。主演の西田さんは、原作を読んで「無償の愛を注いでくれる犬(ハッピー)と旅をして、人生の終着点に向かっていく話ですが、寂しさ・切なさ・愛おしさで、マンガなのに泣いてしまいました」と話している。

 タイトルの「星守る犬」は、「犬がもの欲しそうに星を見続けている姿から、手に入らないものを求めること」を意味している。山中に放置された自動車の車内から中年男性とその飼い犬の遺体が発見された。男性の遺体が死後半年経過しているのに対し、犬の遺体は死後1カ月しか経過していないという検視結果が……。身元不明の遺体を引き取った市役所の福祉課勤務の青年が調べ始めると、失業、離婚、一家離散、ホームレス……などを経験した「おとうさん」が、たった1匹そばに残った愛犬ハッピーとボロボロの車で旅に出たこと、その旅の行く末が明らかになっていく……というストーリー。市役所に勤務する青年・奥津に玉山鉄二さん、ひょんなことから奥津と出会い、無理やり同行する少女・有希(ゆき)には川島海荷さん。このほか余貴美子さん、岸本加世子さん、藤竜也さん、三浦友和さんなど実力派が脇を固める。

 「犯人に告ぐ」(07年)や「イキガミ」(08年)などを手がけた瀧本智行監督がメガホンをとった。瀧本監督は原作の表紙になった象徴的なシーン「ひまわり畑の中のハッピー」を撮るため、東京から1000キロ以上北上し、ロケハンした末に名寄市にある67.6ヘクタールの広大な公園「道立サンピラーパーク」にたどりついた。「シナリオ制作から半年、ようやくこの日を迎えることができました。ひまわり畑は、全国で5カ所を回りましたが、最後に見たここ名寄のひまわり畑が一番原作のイメージに近かったです。原作は、犬と人間のきずなの話。ユーモラスで、切なさや心から涙する部分が魅力で、それを体現できるのは、西田さんしかいないと思いました。以前から尊敬している俳優さんで、映画5作目でようやく一緒に仕事ができて、とても光栄です」と、喜びを隠しきれない様子だった。

 8月末まで名寄市や石狩市ほか北海道でロケをし、9月上旬から下旬にかけては青森県弘前市から岩手県遠野市、宮城県東松島市、福島県いわき市と東北地方を南下、「おとうさんとハッピーの旅」を逆回りでロードムービーのようにロケ撮影を行っていくという。その後、東京都内で撮影し、12月には再び北海道で冬編パートを撮影しクランクアップとなる。11年夏に全国東宝系で公開予定。(毎日新聞デジタル)

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