お笑いコンビ「千原兄弟」の千原せいじさん(40)や「ザ・プラン9」の浅越ゴエさん(36)ら吉本芸人たちが16日、「エネルギー・トーク・ライブin東京」に登場。原子力発電で出る高レベル放射性廃棄物などの地層処分の安全性などについて学んだ千原さんは「『怖い』と言っているだけではなく、理解していくと安全なんだなということが分かった」と語り、浅越さんは「(地層処分する)地下の安定性は、公務員(の安定性)を超えた」とジョークも交えて、分かりやすく話していた。
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イベントは、原子力発電の使用済み燃料をリサイクルする過程で出る「高レベル放射性廃棄物」を安全で確実に地層処分するために設立された「原子力発電環境整備機構(NUMO)」のキャンペーンの一環で開催。地層処分について一般により身近に感じてもらうため、吉本興業とタイアップし、千原さんらと“高学歴芸人”のお笑いコンビ「田畑藤本」を起用。司会はフリーアナウンサーの福沢朗さん(47)とむかいさとこさん(35)が務め、イベントには約200人の観客が集まった。
イベントでは、千原さんらが日本や世界のエネルギー事情や、原子力発電の使用済み燃料の95%が再利用できること、残りの5%が高レベル放射性廃棄物と呼ばれることなどを学び、「田畑藤本」が、青森県六ケ所村で、液体状の高レベル放射性廃棄物をガラス固化して貯蔵管理する「日本原燃」の再処理施設を取材した映像を上映。また、原子力発電に関心のある俳優の辰巳琢郎さん(52)とタレントの乾貴美子さん(35)、NUMOの武田精悦理事が参加して、地層処分の方法や安全性などについてトークを行った。
原子力安全研究協会の杤山修(とちやま・おさむ)処分システム安全研究所長は、地層処分について、「(廃棄物を)自然に委ねて、自然の法則に任せれば安全という状態にすること」と説明。地層処分は、ガラス固化体を厚さ約20センチの鉄の容器「オーバーパック」に収めて地下水と触れないようにし、周りに水分を通しにくく放射性物質を吸着する「ベントナイト」と呼ばれる緩衝材を敷き詰める「人工バリア」と、ものを溶かしにくく金属を腐食させにくい地下深部の特性による「天然バリア」で放射能を生活環境から長期にわたって隔離するもので、国際的に採用が決まっており、日本では地下300メートルより深い地層に処分することが決定している。杤山所長は宇宙処分や海洋底処分などよりも「最も問題点が少なく、実現の可能性がある」と解説した。
地層処分について千原さんは「大変安全ということが分かりました」と納得の様子で、処分場所を公募している現状を「どこかで誰かが(処分を)しなきゃいけないから、ちゃんと考えよう」とコメント。乾さんは「最初は『怖い』の一言だったけど安全性が頭で理解できるようになった」と話し、浅越さんは「身近な問題。(舞台を照らす照明の)この光からも廃棄物が出ているんだと考えなきゃいけない」と語った。また辰巳さんは「(原子力の)いいことも悪いことも言ってほしい」と要望し、「エネルギーに対する認識を改めて考えなければいけない」とコメントした。
NUMOのキャンペーン「いま、考えよう! 放射性廃棄物の地層処分」は、新聞やテレビ広告のほか、原子力発電に関する街頭インタビューなどを展開。吉本興業とタイアップした「エネルギー・トーク・ライブ」は25日に「イムズホール」(福岡市中央区)、11月3日に「ミッドランドホール」(名古屋市中村区)、同月13日に「仙台国際センター」(仙台市青葉区)、同月21日に「ステラホール」(大阪市北区)、同月27日に「NTTクレドホール」(広島市中区)で行われる。また各5都市では同日に地層処分について学べる参加型イベント「来て! 見て! 答えて! なるほどエネルギー」も開催される。(毎日新聞デジタル)