1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦めマンガを紹介する「はじめの1巻」。今回は、思いがけず女子高の講師となった19歳の天才学者と、個性的な生徒たちとの学園生活を描いた竹葉久美子さんのマンガ「やさしいセカイのつくりかた」(アスキー・メディアワークス)です。(毎日新聞デジタル)
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19歳の天才学者・朝永悠はある日、米大学院での研究を資金不足から打ち切られ、帰国する。彼は日本で女子高の非常勤講師の職を得るが、出勤初日から、数学の才能をひた隠しにしている武藤葵、雑誌の読者モデル経験のある草壁ハルカら生徒たちに振り回され、慣れない講師生活をスタートさせる……というラブコメディー。
この「やさセカ」は、著者・竹葉先生の初連載作品、初コミックス。“萌え”でおなじみの“電撃レーベル”としては、かなり異色の少女漫画テイストな本作。繊細な絵柄と新人離れした完成度で、男性だけでなく女性にも幅広く読んでいただいているようです。
実は担当である僕も、コミックスのカバー袖コメントをもらって初めて知りましたが、先生はマンガ家をあきらめて就職活動をされていたそうです。掲載誌の「電撃大王ジェネシス」という新雑誌企画がなかったら、形になっていなかったかもしれない作品−−そういう意味では何か“持っている”作品なのかもしれませんね。
このカバーが気になったあなたは、ぜひご覧になってください! きっと気に入ってもらえると思います☆
悠は、目的の前に障害があるなら解決策を考え、それを実行する。理論で追い込むセリフには「なるほど」とうなずいてしまう。そういうところは学者らしいのに、葵が望む形で数学の才能を発現できないか画策したり、モデルを続けたいハルカのために「やりがいを感じるならリスクを負ってでも続けろ」と熱く語ったり。天才で周りの大人から理解されず育った悠だからこそ、手を差し伸べてくれる存在の大切さを知っている。
どうやって社会と折り合いをつけようか、迷った時に読んでほしい漫画です。
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