70年代に実在したガールズバンド「ランナウェイズ」の結成から成功、挫折までを描く青春映画だ。当時平均年齢16歳だった彼女たちは、それまで男性のものだったロックを開拓した女性バンドの先駆け的な存在となった。映画では彼女たちの音楽にかける情熱や現実の壁にぶつかる姿を生々しく描き出す。熱いロックの時代を感じさせてくれる作品だ。
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75年、米ロサンゼルス。ジョーン(クリステン・スチュワートさん)はエレキギターに革ジャン姿でロックスターを夢見る15歳の女の子だった。だが、ギター教室で「女にはエレキは教えられない」といわれるような時代。なかなかメンバーが集まらない。そんな中、音楽プロデューサーのフォーリーと運命の出会いを果たす。フォーリーはガールズバンドに可能性を感じ、バンドの華としてルックスのいいシェリー(ダコタ・ファニングさん)をクラブでスカウトするなどメンバーを集めてくれ、トレーラーハウスでの練習が始まった。彼女たちはツアーもこなし、日本にも進出し、人気はピークを迎えるが、セクシーなシェリーばかりが注目され、ジョーンをはじめメンバーとの間に亀裂が入ってしまう。その上、家族とのあつれきを抱えていたシェリーはドラッグにおぼれ……というストーリー。
やっとのことで結成されたガールズバンドだったが、売れるに従ってメンバーの間に溝ができる。少女たち相手に、音楽業界特有の大人の思惑がからむ。よくあるバンドの裏話といえばそうだが、妙に胸を熱くさせるのはなぜか。それは、元祖ガールズバンドとしてその道を開拓していく力強い姿を、彼女たちに見るからなのか。それともここに10代の友情と亀裂という普遍的なものを見るからなのか。とにかく、この時代の女の子たちは背伸びをして大人になりたがっていた。そんな彼女たちの心情と成長していくバンドの姿を映画では丁寧に追った。音楽にかけるジョーンの熱い気持ち、愛に飢えたボーカル、シェリーのさびしさ。スチュワートさんとファニングさんらバンドメンバーを演じたメンバーは、代表曲「チェリー・ボム」を実際に歌っているほか、演奏もマスターし、迫力あるライブシーンを作り上げたという。デビッド・ボウイ、セックス・ピストルズら当時の音楽が映像を彩る。シネクイント(東京都渋谷区)、横浜ブルク13(横浜市中区)ほか全国順次公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
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