世界で7700万人の個人情報が流出したとされるソニーのネットワークサービス「プレイステーションネットワーク(PSN)」の不正アクセス問題。これまでテレビゲーム機によるネットワークサービスはパソコンに比べ、高い安全性が売りになっていたが、今回狙われたのは、家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)3」を通じて各ユーザーから集められた個人情報。絶対と思われていた“安全”の基盤が揺らいだことになり、今後の家庭用ゲーム業界のネット戦略にも大きな影響を与えそうだ。
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ゲーム業界に精通している立命館大学映像学部の新清士講師は「ソニーからの情報がないこともあるがお手上げ」と話しながらも「しかしこれだけのデータを奪われたということは、高度な知識を持つ技術者が、(情報を管理する)サーバーに直接攻撃をしたのだろう」と推測する。PSNは、約60カ国・地域に会員を持ち、世界の各地域ごとにサーバーを置いて管理し、ゲームのためのサーバーと個人情報管理のサーバーを別々にしているのは分かっているが、サーバーの配置など詳細な仕組みなどについては安全上の観点から極秘とされており、今回、ハッカーがどのようにして対象のサーバーを見つけ出せたかは不明で、さらに外から侵入できたことについても関係者らは一様に首をかしげる。
ただ今回、全会員のデータが奪われた可能性があることから、ある有力ゲーム会社の社員は「一元に近い形で個人情報が管理されていたのだろう。(日米欧などの)各地域ごとに管理していたら、全データは奪われないはず。お粗末と言われても仕方ない」と情報管理のあり方に疑問を投げかける。いずれにしろ、ウイルスが侵入しやすく個人情報流出の温床ともなりやすいパソコンに対し、これまで安全性が強調されてきたテレビゲーム機も今回の一件で同じような危機にさらされかねないことを示した。
ソニーは経営戦略の一環として、携帯ゲーム機と家庭用ゲーム機を連動させたネットワーク配信を重視する姿勢を打ち出しているが、今回の一件がその戦略にどのような影響を与えるかは計り知れない。同じようにゲーム機を使ったネットワーク配信を手掛けるライバル他社も今回の事態を無視することはできないだろう。(毎日新聞デジタル)
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