Aqua Timez:「音楽の素晴らしさを周りに教えてもらった」 1年ぶりにシングル発売

1年ぶりにシングル「MASK」を発売したAqua Timez
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1年ぶりにシングル「MASK」を発売したAqua Timez

 5人組バンド「Aqua Timez(アクア タイムズ)」が約1年ぶりのシングル「MASK」を2月22日にリリースした。11年3月の東日本大震災を機に、福島県出身のメンバーを含む5人が、音楽やバンドのことを見つめ直す中で完成させたのが今作。それぞれの音楽への思い、今回の新曲などについて聞いた。(水白京/毎日新聞デジタル)

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 −−06年7月にTASSHI(タッシー)さんが加入して現在の5人になったそうですが、その当時のエピソードは?

 TASSHI:僕はずっと別のバンドをやってたんですけど、音楽の道をあきらめて、正社員として真っ当に働こうと気持ちを切り替えた直後だったんです。で、そのときはOKP−STAR(オーケーピースター)から電話をもらって、大介とOKP−STARと天ぷら屋さんにお昼ごはんを食べに行ったんですけど、いきなり「どうなの?」って迫られて(笑い)。結局3日で(会社を)辞めて、加入したんです。

 −−今回、リリース期間が少し空いたわけですが、その間に東日本大震災があり、福島県出身の大介さんとOKP-STARさんをはじめ、皆さんもいろいろ思うことがあったのでは?

 OKP−STAR:最初は無力というか、音楽より(生きるのに)必要なものはあるし、自分たちのやってることを疑ってしまったこともあったんですけど、自分たちが信じてやっている音楽を自分たちが疑ったら終わりだなってやっと思えるようになってきて。(地元の福島県)いわき市に帰ったりすると、ホントにみんな元気でやってるし、元に戻ってきてる部分もあるので、長い時間かけて応援できたらなって思います。

 大介:うちの実家(富岡町)は(福島第1)原発から距離が近いので、震災後は戻れていないんですけど、復興に向かってる中で、やっぱり音楽のように気持ちを助けてくれるものが必要だっていうのは感じてきていて、音楽で日本を元気にしたいという気持ちは以前よりすごく強くなったというか。だから、震災後もずっと曲作りをしてきて、やっと1枚のCDにして出せるのは素直にうれしいです。

 TASSHI:大ちゃん(大介さん)のお兄さんが、震災直後、避難所で僕らのアルバム「カルペ・ディエム」を聴いてくれてたみたいで、「すごく力がわいた」って言ってくれて。あと、彼の地元の福島の中学校を訪問して、アコースティックの演奏で曲を届けたときがあったんですけど、最初はおとなしかった中学生がすごく喜んでくれたり。音楽って人を勇気づけたり優しい気持ちになれたりするし、そういう音楽の素晴らしさを、恥ずかしながら周りの人に教えてもらった気もしていて……。

 −−そんな中で生まれたのが新曲「MASK(マスク)」ということなんですね。

 太志:音楽もそうだし、人との向き合い方も“素直”っていうあり方以上のものはないのかなというのが僕の結論ではありますね。社会の中でも、オブラートに包んだ言い方をするのが必要なときもあると思うけど、そればかりしてると物事の本質が分からなくなる。音楽に対しても「俺、ホントはどんなのをやりたいんだろう」って心の底で感じてることを自分で認めてあげないといけないというか。それと例えば、嫌いだった人と話をしてみたらウマが合ったりっていうこともあるわけで、触れ合ってみないと自分も相手も“MASK”を取れないし、それ(取ること)はそんなに怖いことじゃないかもしれないよっていうメッセージもありますね。

 大介:俺らも演奏する側として、(MASKを)かぶせないでストレートに表現したかったんですね。武骨でもいいから、みんなで感情を出そうって。おのおのが思いのたけをぶつけたっていう感じです。

 OKP−STAR:僕は結構、人見知りなところがありまして、“MASK"をかぶってることが多いんですけど、もったいないことをして生きてきたなって思ってます、今。これは、(MASKを)取らないといけないなって気づかされました。もう、今日はとってますから(笑い)。

 mayuko:そんな簡単な(笑い)。でも、改めて太志の歌詞はいいなって思いました。リリースが久しぶりというのもあったんですけど、これでまた新しいスタートが切れるなって確信が持てる曲になりました。

 −−3曲目の「1980」についてですが、この曲のラップやミクスチャーの要素は、太志さんのルーツにあるものですか?

 太志:そうですね。ラップミュージックがすごく好きで、それは5人の中では僕だけなんです。でも、全員がルーツが違うっていうのが僕らの個性だと思っていて。その人のオリジナルで音を鳴らしてくれてるし、それがクリエートってものなのかなって。

 mayuko:私はジャズを聴きに行くのが好きなので、そういうテイストをいっぱい盛り込んじゃえと思って。だから、一人だけブルースとかジャズのピアノみたいな感じになってるんですけど、それが今までにないマッチングになったかなと思います。

 −−エネルギッシュな1枚になりましたね。今後の展望は?

 太志:作品を残すことがすごく大事だし、今の僕たちを聴いてほしいので、リリースはたくさんしたい。で、やっぱりライブのためにバンドをやってるんじゃないかっていうぐらいの気持ちがあるので、新しい曲を持って全国のみんなに会いに行きたいです。

 <プロフィル>

 太志(ボーカル)、OKP−STAR(ベース)、大介(ギター)、mayuko(キーボード)、TASSHI(ドラム)の5人編成バンド。06年4月にミニアルバム「七色の落書き」でメジャーデビュー。08年にはシングル「虹」(ドラマ「ごくせん」主題歌)をリリース。初めてハマったポップカルチャーは、太志さんがテレビアニメ「キャプテン翼」。「『キャプテン翼』の翼くんにあこがれて、幼稚園のころからサッカー少年でした。おばあちゃんが「日射病にならないようにヘルメットをかぶりなさい」っていってなぜか野球のヘルメットをかぶってサッカーをしてました(笑い)」。紅一点のmayukoさんは「ピアノ」。「3歳のときからクラシックピアノを習っていて、当時はそれがすごく楽しくて。最終的には先生が厳しすぎてだんだん嫌になっちゃったんですけど、それでも12~13年続けたので、今思えばよかったです」と話した。

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