「定休日じゃないです。人がいないだけです」「生産量日本一なのに知られていない」−−。島根や広島など中四国の各県の観光PRで、“自虐的”なキャッチフレーズやタレントやアニメを起用したユーモアあふれるキャンペーンを展開し、話題となっている。(毎日新聞デジタル)
あなたにオススメ
“あの頃”のジャンプ:実写ドラマ化も話題「ウイングマン」 1983年を振り返る
島根県は、11年に「日本で47番目に有名な県」「砂丘はありません」など自虐フレーズと「負けるな!しまね県」のコピーが書かれたカレンダーを販売、すぐに売り切れるなど大反響を呼んだ。カレンダーは、同県で活動をしていたアニメクリエーターのFLOGMANさんの人気作「秘密結社 鷹の爪」のキャラクターの一人「吉田くん」が島根県吉田村(現・雲南市)出身と設定されていることから、08年に「しまねSuper大使」に任命されたことをきっかけに製作された。「秘密結社 鷹の爪×しまね県 スーパーデラックスカレンダー」には吉田くんはじめ、同作のキャラクターと自虐コメントが描かれて人気となり、12年度版も2日に販売終了した。
広島県は、3月から始めた観光キャンペーン「おしい!広島県」を展開している。同県出身タレント、有吉弘行さんが県観光大使に就任し、記者会見で「おしい!広島県」を発表し、大混乱に陥るという動画が話題となった。「おしい」は「おいしい」一歩手前というコンセプトで、特設サイトでは、三原市の特産広島レモンは「生産量日本一なのに知られていない」、厳島神社を造営した平清盛は「大河ドラマの主役をゲットしたのに源氏の方が人気……」など豊富な観光資産や特産品に自虐的なひねりを加えて紹介している。
四国に渡って、香川県は11年10月から同県出身の俳優、要潤さんが副知事を演じ、県名を特産の「うどん県」に改名するという動画が全国的に話題となった。その後、郵便事業会社(東京都千代田区)に“副知事”の要さんが「『うどん県』という宛名で郵便物が届くようにしてください」と要望するパフォーマンスを展開するなどユニークな企画を展開している。「うどん県。それだけじゃない香川県」をキャッチフレーズに、特産のうどんを入り口にして、それ以外の県の魅力をアピールしていく戦略だ。4月から、要さんが県産食材のレシピを紹介する動画「副知事 要の台所」がスタートし、県産アスパラガス「さぬきのめざめ」を取り上げている。
高知県では、10年にNHK大河ドラマ「龍馬伝」が放送され、坂本龍馬ブームが起こったが、その後も観光イベント「志国高知 龍馬ふるさと博」を開催するなど龍馬を押し出した観光戦略を展開している。11年10月に観光特使に任命したタレントの大橋巨泉さんが提案した「昔は『ローマの休日』、今や『リョーマの休日』」というキャッチフレーズをもとに、観光キャンペーン「リョーマの休日」を4月からスタート。「わざわざ行こう!志国高知へ」というやや自虐的なサブタイトルを付け、尾崎正直知事が龍馬にふんしたポスターやパンフレットを製作。「RYOMA」の「R」は「ロマンの休日」など、五つのテーマの観光プランを提案。さまざまな特典を受けることができる「龍馬パスポート」を発行し、人気を集めている。