4人組バンド「THE BAWDIES(ザ・ボゥディーズ)」が、10月31日にニューシングル「LEMONADE」をリリースした。前作「ROCK ME BABY」が向井理さん主演ドラマ「ハングリー!」(関西テレビ・フジテレビ系)の主題歌に起用されるなど、最近は幅広く活動中。そんなバンドのボーカル&ベース「ROY(ロイ)」さんに、新曲の話やロックンロールへの思いを聞いた。(水白京/毎日新聞デジタル)
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−−メンバーのJIM(ジム)さんとMARCY(マーシー)さんは小学校から、TAXMAN(タックスマン)さんは高校からの同級生だそうですね。
成長過程が似ているので、四つ子みたいな感覚なんです。1人がカッコいい、面白いと思ったもの、おいしいと思ったものは必ずみんなに当てはまるんですよ。一緒にいて会話は尽きないですし、楽しくてしょうがないです。
−−高校時代、JIMさんとCDショップで「THE SONICS」(米国の60年代のガレージパンクバンド)の曲が流れているのを聴いてバンド結成を志したそうですが、それほど衝撃的だったんですか?
サウンドがすごく生々しいんです。それを僕らは“裸足感”や“裸感”っていうんですけど、裸のまままっすぐ突っ走る潔さや人間くささというか。60年代っていろんなものが発達している途中で、音の厚みや迫力は人間の熱量でしか伝えられない。だからこそ振り切ってるんですね。そこにかなり影響を受けて、自分たちが感じたこの熱を伝えられたら、今の若い人も衝撃を受けるに違いないって。でも表面上だけで彼らのバックボーンを知らなければ本物にはなれないと思って、じゃあ彼らの愛したルーツを聴いてみようと。それが50年代後半~70年代のリズム&ブルースやファンク、ソウル、ロックンロール、つまりブラックミュージックだったんです。
−−実際の結成はその3年後だったそうですが、その理由は?
60年代のもののよさを現代の人に理解してもらうには、その時代感も含めて自分たちの骨や血にならない限り、そんなサウンドは出せないと思って、3年は自分たちの色を出すカバーはやらない、オリジナルは作らない、コピーだけをやり続ける、音楽も現代のものを聴かない……。それこそ「ビートルズ」や「ローリング・ストーンズ」に夢中になった英国の若者のような状況を作り込んだんです。僕たちはそれを“鎖国時代”と呼んでるんですけど、マッシュルームカットとタイトな洋服で、4人で大学に行って。けっこう異様な光景で、仲間は増えなかったですけどね(笑い)。
−−THE BAWDIESとしてのオリジナル楽曲も全編英語詞ですが、英語はもともと得意だったんですか。
母親が70年代に米国に住んでいて、向こうで生活する時期が長かった人なので、小さいころはずっと英語でしゃべりかけてくれてたり、あと70年代のソウル……テンプテーションズやアレサ・フランクリン、レイ・チャールズとかを聴かせてくれてたんです。それはあとで母から聞いて分かったことで、記憶はあんまりないんですけど、だから今、自分がやっている音楽も、どこか懐かしさや入りやすさというものがあったんだと思いますね。
−−前作「ROCK ME BABY」はドラマ「ハングリー!」の主題歌になりましたが、そのことで何か変化はありましたか?
ロックンロールを日本のポピュラーミュージックの一つに加えたいっていうのが僕らの夢で、そういう意味では大きな一歩だったと思います。自分たちのスタイルは曲げずにロックンロールを幅広い人に届けるっていうサウンドを目指して作って、結果それを評価してもらえたので、すごく自信にもつながりました。
−−約9カ月ぶりの新曲「LEMONADE」はどんなイメージで制作したんですか。
映画「アメリカン・グラフィティ」(73年)や50~60年代のアメリカのティーンエージャーみたいな、すぐ物事にまっすぐになってしまうような青春模様を描きたいと思いつつ、“青春=甘酸っぱい”に引っ掛けて、アメリカの家庭はレモネードを飲んでいるイメージがあったので、タイトルを「LEMONADE」にしたんです。歌詞も「アメリカン・グラフィティ」のようなまっすぐな恋愛模様というか。自分もそうだったと思うし、ほかに何も考えられないほど夢中になってしまって、どうしようもないっていう感覚を思い出しながら書きました。
−−シングルとしては初のミディアムナンバーですね。
ミドルナンバーですけど、元気にスキップしてほしいという気持ちが強かったので、踊りたくなる、ウキウキするっていうのを意識しながら作りました。ワクワクしたんだったら、それを行動にして進んでほしいっていうのが僕らのメッセージです。
−−ところで、ツアーで全国を回る中で出合った絶品グルメがあるとか。
一番感動したのは香川の讃岐うどん。しょうゆと、すだちやレモンだけで食べるやつで。けっこう(好みは)シブいとこにいくんです。すしだとカリフォルニアロールより赤身の握りとか。実は父ちゃんが板前なんですよ。和食の職人で、けっこう厳しくて、“侍テイスト”の人で。なので、父ちゃんがメチャメチャ“和”で、母ちゃんがアメリカンな人で、その間が僕なんです。父親からは(味覚のほかに)、器用じゃなくてもいいけど、自分の愛したものを貫くというか、一つのことをやり続けろみたいないことを教えてもらって。そんな両親のどちらの要素も(自分の中に)あるんだと思いますね。
<プロフィル>
ボーカル&ベースのROY(RYO WATANABE)さん、ギターのJIM(YOSHIHIKO KIMURA)さんとTAXMAN(TAKU FUNAYAMA)さん、ドラムのMARCY(MASAHIKO YAMAGUCHI)さんで04年に結成。09年にアルバム「THIS IS MY STORY」でメジャーデビュー。ROYさんが初めてハマッたポップカルチャーは、マンガ「スラムダンク」。「それまではすごく冷めている性格というか、人前であまりしゃべったりしたくなかったんです。でも小4で『スラムダンク』を読んでバスケをやりたいと思ったし、バスケを始めてから夢中になるっていうことを覚えて、それを続けることで自信も生まれてきたり。あと、プラス思考でカッコいいマンガのキャラクターの影響もすごく大きくて、中学からは性格が(それまでと)真逆になってメチャメチャ明るくなりました」と話した。
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