放送回数1万回を超える長寿ラジオ番組「小沢昭一的こころ」(TBSラジオ)などへの出演や一人芝居や話芸、芸能史研究でも知られた俳優の小沢昭一(おざわ・しょういち)さんが10日午前1時10分、東京都内の自宅で死去した。83歳。
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死去の報を受けて、人間国宝で文化勲章受章の落語家、桂米朝さん(87)が10日、コメントを発表した。(毎日新聞デジタル)
え、小沢昭一が亡くなりましたか…。そうですか…。
彼と私は川柳の会「東京やなぎ句会」の同人でしたが、それ以前に、彼とは正岡容(いるる)の同門でした。演芸評論家であり、作家でもある正岡先生の薫陶を受けた我々は、宴席で居並ぶと、必ずどちらからともなく正岡容作の浪曲をうなったものです。
実は今年の夏(8月9日)、大阪のサンケイホールブリーゼでの私の米寿記念落語会に、東京やなぎ句会のメンバーとの座談の幕が設けられてあり、そこに小沢昭一も来てくれたんです。
その時、すでに彼は体調が悪かったんですが、座談の途中、正岡先生の話題になった時、いきなり彼は大きな声で「毎度皆様おなじみの、あの次郎長に子分はいるが、強いのばっかりそろっちゃいない、中にゃとぼけたやつもあ~るぅ」と、「灰神楽三太郎」の冒頭を唸り、会場を大いに沸かせてくれました。
あれが、彼と会うた最後になってしまいました。あの時はホンマに楽しかったです。また色々と芸談を交そうと思てたのに……、彼がおらんようになって、また寂しさが一つ増えました。
桂米朝