注目映画紹介:「ONE PIECE FILM Z」 劇場版初の新世界編 男の戦い描く

「ONE PIECE FILM Z」の一場面 (C)尾田栄一郎/2012「ワンピース」製作委員会
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「ONE PIECE FILM Z」の一場面 (C)尾田栄一郎/2012「ワンピース」製作委員会

 累計2億8000万部以上を発行している大ヒットマンガの12作目となる劇場版アニメ「ONE PIECE FILM Z」(長峯達也監督)が15日に公開される。原作者の尾田栄一郎さんが総合プロデューサーを務め、劇場版では初めて、2年間の修業を積んだ主人公・ルフィら「麦わらの一味」を描く「新世界編」を舞台にした話題作だ。

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 今回の劇場版で描かれるのは、「新世界編」の魚人島のエピソードと、現在「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中のパンクハザード島のエピソードの間に位置する物語。すべての海賊抹殺をたくらむ伝説の元海軍大将・ゼットは、配下の“NEO海軍”を率いて、古代兵器にも匹敵するといわれるエネルギー「ダイナ岩」を強奪。ルフィら「麦わらの一味」の前に立ちはだかる……というストーリーだ。

 「SMAP×SMAP」や「ほこ×たて」など多くのヒット番組を手がける放送作家の鈴木おさむさんが脚本を担当。また、ゲスト声優に女優の篠原涼子さんと俳優の香川照之さんを起用したことでも話題を集めている。さらに、集英社の雑誌モデル企画として、佐々木希さん、田中美保さん、西内まりやさんらもアフレコに参加している。

 09年の「STRONG WORLD」に続いて尾田さんが製作に携わっており、オリジナル作品ながら、原作とのかかわりを強く感じさせる作りだ。特に、原作の魅力の一つでもある悲哀を帯びた“男の戦い”に重点が置かれており、見応えは十分。「ONE PIECE」に詳しくない人でも単純に楽しめるが、随所に見える伏線にはファンならニヤリとさせられるはず。“ファン代表”をうたう鈴木さんだからこその脚本だといえるだろう。また、ゼットが右腕に装着している巨大な武器「スマッシャー」を発射すると「ガコン」という音とともに薬きょうが下に落ちるシーンが丁寧に描かれるなど、アニメファンがぐっとくるような演出も盛り込まれている。

 キャストでは、メーンの敵役となるゼットを演じた声優の大塚芳忠さんの存在感が圧倒的で、ベテランならではの深みと渋さを感じさせた。ゲスト声優陣もそれぞれ好演しており、特にゼットの部下「ビンズ」役の香川さんは、本職の声優たちと遜色(そんしょく)ない演技で、意外なところでは西内さんが演じた「マリンばあちゃん」がよかった。

 入場者特典としてコミックス「第千巻」などが入った「海賊の宝袋」がもらえるのもファンにはうれしいサービスだ。大スクリーンでルフィたちの新たな冒険を楽しみたい。15日から丸の内TOEI(東京都中央区)ほか全国で公開。(毎日新聞デジタル)

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