大友克洋:紫綬褒章を受章 アニメ分野では15年ぶり

紫綬褒章を受章した大友克洋さん
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紫綬褒章を受章した大友克洋さん

 「AKIRA」などで知られるマンガ家でアニメーション監督の大友克洋さん(59)が2日、紫綬褒章の受章者に選ばれた。3日発令される。学術・芸術・スポーツで著しい業績を上げた人が対象で、長編アニメ分野での受章は、1998年の高畑勲さん以来15年ぶり。大友さんは「そんな年になったのかな」と笑いながら、「まだ(創作活動が)終わったわけではないので」と次回作への意欲もみせた。

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 受章理由は、マンガ家やアニメの映画監督として長年にわたって優れた作品を数多く発表し、国際的な注目を集めるなど、国の芸術文化の発展に大きく貢献したため。表現方法に新基軸を持ち込み、多くのクリエーターにも影響を与えたとされる、圧倒的な画力(描写)と構図、物語の構築力、鋭い映像感覚も評価された。

 大友さんは1973年にマンガ家としてデビュー。1982年からヤングマガジン(講談社)で連載した自身初の長編作「AKIRA」は、1988年に自ら監督となって劇場版アニメ化し、海外などでも人気を博した。2005年には仏政府が芸術文化の創造に貢献した人に贈る勲章「シュバリエ」を受章している。(毎日新聞デジタル)

 ◇主な一問一答

 −−受章の一報を振り返って一言。

 対象になっているとは知らなかったのでビックリした。そんな年齢になったのかな。まだ(創作活動が)終わったわけではないし、振り返ったことはない。自分の中では淡々とやっているつもり。契機になったのは、「AKIRA」。初めての長い連載で、海外にも出た。またアニメの監督もしたから、大きかったのかな。

 −−海外で注目している国はありますか?

 アジアなどいろいろあるが、(作品が)本当に面白いかといえば、意外にそうでもない。ただ、この業界は誰が出てくるか分からないが、いつかはジャンルをけん引する人が出てくると思う。それがアジア、欧州の可能性もあるので、楽しみでもあるし、期待している。

 −−最近は若い人がなかなか出てこない。

 アニメやマンガは昔、どこか“日陰者”というイメージがあって、だからこそ好きなことができた。ただ、現在は企業の企画も多く、新しい人、変わったことをする人がなかなか入れないので。本当は大きくなったら、そういう人に光を当てるべきと思うが、なかなかうまくいかない。僕らも何とかしたいとは思うが。

 −−大友克洋を目指す若者へ。

 本人がどうやるかだけなので、人によってやり方は違う。よく「学校で教えて」と言われるが、新しいことを生み出す方法は教えようがないし、そのためには努力が必要。努力の仕方は教えられるが、頑張ってもらうしかない。

 −−創作で楽しいこと、苦しいことは?

 考えているときは楽しいが、実際に作っていくと寂しくなっていくのがつらいかな。映画や企画は考えると3年はかかるから(気持ちを)持続させるのが大変だし、やろうとしたことが意外とできないこともある。自分ではもちろん「面白い」と思ってやっているが、客観的には見ることができないから難しい。

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