THE BAWDIES:新曲「THE SEVEN SEAS」は広い世界観を持ったラブソング

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 4人組バンド「THE BAWDIES(ザ・ボウディーズ)」が、ニューシングル「THE SEVEN SEAS」を20日にリリースした。バンドの新境地を感じさせるすがすがしい雰囲気のミディアムナンバーで、俳優の向井理さんが出演する「PENTAX Q7」のCMソングとしてもすでにおなじみだ。1月にリリースした最新アルバム「1−2−3」がオリコン週間ランキングの2位を記録し、今後の動向がますます注目されるメンバーに、バンド結成前の秘話や新曲の話を聞いた。(水白京/毎日新聞デジタル)

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 −−大学時代、1960年代の時代感を経験するために、タイトな服装とマッシュルームカットで生活するという“鎖国時代”を4人で過ごしたそうですが、そのときのエピソードは?

 JIMさん:マッシュルームも細身の格好も、今の時代ではあまりはやりではないので、電車とかに乗ってるとけっこう指をさされることが多くて……。当時、(お笑いコンビの)アンガールズが出てきたかなぐらいのときで、あとはバナナマンの日村(勇紀)さんとかふかわりょうさんとか……。なので、マッシュルームっていうとお笑いのイメージに直結していくんです。それで女子高生とかに指をさされて、“アンガールズ”“ふかわりょう”っていう単語が聞こえてきて恥ずかしい思いをするという。その後、カシャッて写真を撮られて(笑い)。

 MARCYさん:もともと髪が多かったし、長くて、マッシュルームにするのが嫌だったんです。でもROYに知り合いの美容院に連れて行かれて、無理やりマッシュルームにさせられて……。俺、くせっ毛で、けっこう髪を下ろしたりするのが大変なんですよ。それを1年以上続けてて、「そろそろやめていいですか」ってROYに言ってやめた記憶はあります(笑い)。

 TAXMANさん:僕は居酒屋でバイトをしていて、(バイト仲間は)同世代が多くて仲よくはなるんですけど、僕らはサークルとかに入ってなかったんで、大学生の飲み会のノリとかにまったくついていけないというか。あと、バイト上がりに店で好きな曲をかけていいんですよ。それで僕らの好きな60年代の曲をかけると「なんか古着屋みたいな曲だね」みたいに言われたり。そういう浮いてた感じはあって、大変でしたね。

 −−なるほど。では新曲「THE SEVEN SEAS」についてお聞きしたいのですが、この曲は向井理さん出演の「PENTAX Q7」のCM曲としても話題ですね。どんなイメージで制作をしていったんですか?

 ROYさん:レコーディングや作曲の時期が、全国全県を回ったけっこう過酷なツアーの最中で、ライブで常に120%振り切った状態で日々を過ごしていたので、どこかで安まる場所がほしかったっていうのはあると思うんです。逆に、楽曲を制作をしているときが心のオアシスだったり、光に包まれるような気持ちになれたんですね。そういう中から生まれた楽曲だから、こういう光が差し込んだような、温かい曲が生まれたのかなと思います。

 TAXMANさん:ツアーでずっと気を張ってる中、この曲が緊張感をほぐしてくれる存在になって、いいバランスがそこで保てたというか。キラキラしたものを作ってやろうと狙って作ったんじゃなく、素直に自分たちが求めていた音が出てきたという状況でした。

 −−歌詞についてはどうですか。

 ROYさん:ラブソングではあるんですけど、今までと違うのは、世界観の広さ。人生を通しての深い愛情だったり、広い世界観を持ったラブソングです。僕らが過酷なツアーの中で経験した、光に包まれる感覚や心が開かれていく瞬間というのが表現されていて、広い意味での愛情、世界中を包み込むような光という意味で、タイトルは“七つの海”ですけど、世界中(の海)という大きな意味を持っているので、「THE SEVEN SEAS」にしました。

 −−実際にCMでこの曲が流れてきたときの印象は? また反響はありましたか?

 MARCYさん:僕はCM曲をやらしてもらうっていうことを別に親とかにも言ってないんですけど、たまたま見た親がすごい感動したみたいで(笑い)。それで連絡が来たり、遠い親戚とかも、俺とは知らずにTHE BAWDIESを知ってるっていう人がけっこういるらしくて、やっぱり(CMの)影響力ってホントにすごいんだなって。

 JIMさん:ずっとライブハウスでやってきて、音楽好きな人に音楽を届けて共有してきたバンドなので、いわゆる興味がない人、それこそ僕のことを「アンガールズじゃね?」って言った人たちも聴いていると思うとドキドキするし、うれしく思いますね。

 −−最近はチャートも好調な中、今後の展望は?

 ROYさん:僕らは昔のブラックミュージックのエネルギーや熱量を伝えたいバンドで、僕らのフィルターを通してルーツミュージックの大切さに気づいてもらうっていうことに力を入れてやってきたし、今もその最中だと思います。それが評価されるというのは、機械的なものではなくて、人間の放つ熱量で伝えていく音楽が現代では新鮮で(心に)刺さったのかなって。来年は結成10年、デビュー5周年ということもあるので、原点に戻るというか、ロックンロールの素晴らしさを、年代問わずしっかり届けていけるような活動をしたいなと思ってます。

 <プロフィル>

 ボーカル&ベースのROY(RYO WATANABE)さん、ギターのJIM(YOSHIHIKO KIMURA)さんとTAXMAN(TAKU FUNAYAMA)さん、ドラムのMARCY(MASAHIKO YAMAGUCHI)さんで2004年に結成。09年にアルバム「THIS IS MY STORY」でメジャーデビュー。JIMさんが初めてハマッたポップカルチャーは、「ドラゴンクエスト2」のゲーム。「幼稚園のころ、俺を眠らせたあとに母親が『ドラクエ2』をやってたんですよ。それで、僕がトイレか何かで起きたときにそれを見て、“何やってんの?”って言って教えてもらって。字も読めないのに触るのが楽しかったんでしょうね。なので、『ドラクエ2』でひらがなを覚えられたんです」と話した。

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