シンガー・ソングライターのMs.OOJA(ミス オオジャ)さんが、会員数200万人の女性向けサイトとコラボしたカバーアルバム「WOMAN 2~Love Song Covers~」を26日にリリースする。iTunesチャートで1位を獲得した「WOMAN~Love Song Covers~」のシリーズ3作目で、本人と同世代のアラサー女性からリクエストを募って収録曲をセレクト。Every Little Thingの「Time goes by」や大黒摩季さんの「ら・ら・ら」、UAさんの「情熱」など多彩な楽曲をアコースティックサウンドでカバーし、同世代女性だけでなく多く人の背中を押すようなアルバムに仕上がっている。
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−−今回のカバーアルバムは、何をコンセプトに楽曲をセレクトしたのでしょうか?
サイトを通じて私と同世代の女子からのリクエストを集めたことで、私自身も好きでよく聴いていた曲やなじみのある楽曲が多数集まりました。その中から「泣けるカバーアルバム」をコンセプトに楽曲をセレクトしました。大人になると強くいなくちゃいけないとか、我慢するすべを覚えて、泣く機会がどんどん少なくなっていきます。そんな大人の女性のために、心を許して思い切り涙を流せる場所を、音楽で作ってあげたらなという思いで制作しました。
たとえば岡本真夜さんの「Alone」は、ファンの方から歌ってほしいと直接手紙をいただいたことがあって。とても悲しい曲ですが、それを私の歌声で聴いて思い切り泣きたいと。なので今回は、絶対に入れたいと思っていました。
−−涙を流すとデトックスになるといいますからね。
はい。「涙活」という言葉もあるくらいで。涙を我慢するとストレスがたまるし、ずっと気を張っていることになるので、このアルバムでリフレッシュして、気持ちをリセットしてもらえたらいいなと思います。耳元で歌っているような感じとか、癒やし感のあるアコースティックなアレンジを心がけたので、より聴いてくれる方のそばにいるということを感じてもらえたらうれしいです。
−−My Little Loverの「Hello,Again~昔からある場所~」はラテンっぽいアレンジで、the brilliant greenの「There will be love there−愛のある場所−」はレゲエのアレンジでと、原曲とは違った雰囲気で聴かせてますね。
名曲をベースに私の歌で聴いてもらうということで、新しい一面も見てもらえるんじゃないかと思いますね。カバーはデビュー前からたくさん歌っていて、カバーアルバムとは別にシングルのカップリングには毎回カバーを収録しています。カバーに対して期待を寄せてくれているファンの方も多いので、その点でもみなさんに喜んでいただけるものになったと思います。
−−でもシンガー・ソングライターとしては、オリジナルに期待してほしいというのも正直あるのでは?
それももちろんありますけど、それとは違ったベクトルで、カバーには純粋に歌手としての歌いがいを感じています。その歌声というところに期待を寄せてくれている方がたくさんいるのは、歌い手冥利(みょうり)に尽きると思っていますね。
名曲に対する思い入れはみなさんそれぞれで持っていらっしゃるので、カバー曲を歌うことにはプレッシャーもありますし、決して簡単なことではりません。それだけに、そういうものに挑戦する機会をいただけているのは、本当にうれしいことだと思っています。
−−Ms.OOJAさんの声はシルキーボイスと呼ばれ、とても太くて強く、深みを持っていますね。リスナーのみなさんは、その声に背中を押されたいと感じているのでは?
そんなふうに思ってもらえたらうれしいです。私自身、働きながら音楽活動を続け、28歳で遅咲きのデビューをしたわけですが、そうした私自身のさまざまな経験を背負った声が、皆さんの背中を押せるのだとしたらそれは素晴らしいことだと思います。
−−32歳になられたそうですが、30代になってどんな変化がありましたか?
肩の荷が下りた気がしました。20代は、まだ失敗しても許されるけれど、やはり未熟な部分が多いので、がむしゃらにやらなければいけないという気持ちがあって。28歳でデビューするまでは本当に葛藤の日々で。デパートの店員をはじめ、いろいろな仕事をして働きながらデビューを夢見て活動を続け、その中で自分の足で歩くことを覚え、メジャーデビューしたことで大きな自信を得ることができました。だから30代になったときは、修業期間が終わったみたいな、やっと大人に仲間入りができたという感覚でしたね。
−−Ms.OOJAさんの歌声は、これまでの人生みたいなものもしっかり背負っているんでしょうね。
生きざまっていうか。アーティストというのは、そういうものだと思います。オリジナル曲なら歌詞やサウンドで表現できますが、それをカバーで表現するのは本当に難しくて。でもそれを感じていただけたら、すごくうれしいですね。
−−アラサー女子というのは最近、仕事もバリバリやって結婚もまだあきらめてなくてみたいな……。
どうでしょうねえ。結婚は、私もまだあきらめてないですし(笑い)。自立している方が多いので、自分磨きにお金をかけたり、おいしいものを食べに行ったり、自分で楽しみを見つけてそこに価値を見いだしていく世代なのかなって思います。
リクエストを募ったサイトでは、アラサー女子を集めた女子会イベントを開催していて、そこで歌わせていただいたのですが……。集まっていた皆さんは、すごくオシャレで美しくて大人っぽく見えましたが、その内にはきっともろい部分もたくさん持っているのだと思います。強さとはかなさみたいなものが同居しているような世代なのかなと思いました。
そんなみんなと同じような経験を持つ私だからこそ、働いている人の大変さも分かりますし、30代を迎える女子の持つモヤモヤした気持ちも分かるし。夢に向かって足を止めなければ、夢は必ずかなうんだということとか、私自身が体感したものをメッセージとして皆さんに届けていけたらと思っています。アラサー女子に限らず、多くの人の心に響くアルバムになったと思うので、ぜひたくさんの人に聴いてほしいですね。
−−では最後に来年、2015年はどういう年にしたいですか?
2013年は少しもがいていて、何かを確立させたいという思いでがむしゃらに進んでいました。2014年は、壁を一つ乗り越えて、少し道が開けた感じです。自分がやっていくべきものが見え、一歩前進することができたと思っています。そして2015年は、デビュー5周年イヤーに入ります。インディーズ時代から数えると10年目、歌を志した17歳のときからでは、15年目になります。そう考えると5年おきに大きな変化があったわけなので、これからの1年間を新たな区切りとして、あとで思い起こせるような年にするために、もっと頑張っていきたいと思っています!
<プロフィル>
1982年10月28日生まれ、三重県出身。高校卒業後、名古屋のクラブを中心に音楽活動を開始し、インディーズアルバム「Ms.OOJA」で注目を集めた。2011年にシングル「It’s OK」でメジャーデビュー。12年のシングル「Be…」が配信で100万ダウンロードを記録するなど人気に。美空ひばりさん、宇多田ヒカルさん、DREAMS COME TRUEの吉田美和さん、松任谷由実さんらが持つヒーリング効果のある「1/fゆらぎ声」を持っているという。
(インタビュー・文・撮影:榑林史章)
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