マンガ質問状:「ハルロック」 斬新な電子工作は作者の“あったらいいな”が出発点

「ハルロック」3巻のカバー
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「ハルロック」3巻のカバー

 話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、電子工作をテーマとした西餅さんの「ハルロック」です。「モーニング」(講談社)編集部の平野遼太さんに作品の魅力を聞きました。

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 −−この作品の魅力は?

 「ハルロック」は、電子工作にしか興味のない女子大生・晴ちゃん。そんな晴ちゃんに解体されたい(?)という願望を持つ幼なじみ・六君、そして小学生にして“先輩”と呼ばれる天才少年・うに君など、個性的なキャラクターたちが、電子工作を用いて、身の周りの“あったらいいな”を発明していくお話です。

 彼らが作る発明品は、留守中に猫が自分の行動をツイッターでつぶやいて教えてくる「ねこったー」、運動しないと開かない食料棚、呼ぶと返事をするリモコン、ひったくり防止バッグなど、民間人がロケットで(宇宙)旅行せんばかりの現代に、身の周り半径5メートルの願望に基づいたものばかり。思わず欲しくなってしまうような、かゆいところに手の届く発明品のオンパレードです。

 また、「ハルロック」に出てくる発明品は、電子工作の知識さえあれば、理論上作ることが可能です。実際、上記の「ねこったー」は電子工作メーカーのイベント「Maker Faire Tokyo 2014」で制作、販売され、話題を呼びました。

 −−作品が生まれたきっかけは?

 女子大生と電子工作というアイデアは、特にきっかけがあったわけではなく、ぼんやりと生まれたものでした。ただ、そのギャップが面白いと思ったし、憧れというか萌(も)えのようなものを感じまして。また、間抜けな発明、“なぜそれを作っちゃった?”と笑えるようなものが好きで。そんな中で、理系女子がいろいろ話題だったのでということも、あと押しになったかなとも思います。

 −−“猫ツイッター”など斬新な工作のアイデアはどのように生まれたのでしょうか?

 とにかく作家の西餅先生が、日常生活で“あったらいいな”と思うことが出発点です。実際、西餅さんは結構な愛猫家です。

 −−今後の展開は?

 おかしな発明品を作り続けてきた晴ちゃんですが、ついには学生ながら会社を作ってしまいました。電子工作でニッチな発明品を作るハードウェア・スタートアップ企業「SUMi」を立ち上げ、周りの人たちに支えられながら、趣味だったものをビジネスにしていきます。第1弾製品は「お風呂掃除ロボ」。好き勝手に作っていた今までと違い、ビジネスとして成立させるための葛藤も盛り込んでいきます。

 −−読者へ一言お願いします。

 会社になっても、半径5メートル以内の“あったらいいな”を実現する、という基本コンセプトは変わりません。面白くておかしくて、でもかゆいところに手が届く、そんな発明品の数々をお楽しみいただければと思います! 個性派キャラたちの熱い(?)人間模様にもご注目ください!

 講談社モーニング編集部 平野遼太

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