最近テレビやCMでちょくちょく見かけるけれど、実はあんまりよく知らない……。そんな、今さら聞けない“ネクストブレーク芸人”の基礎知識を、本人の言葉を交えて紹介。今回はお笑いコンビ「コロコロチキチキペッパーズ」(コロチキ)をピックアップする。声優ばりのさわやかな高い声で「やっべえぞ!」と口にするフレーズで注目を集め、数々のバラエティー番組に出演し、人気急上昇。コント日本一を決める「キングオブコント2015」(TBS系)の8代目キングの座を勝ち取った。コロチキのネタ作りの秘密、コンビ名の由来や、キングオブコントへの思いなどを聞いた。
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1984年12月23日生まれ、京都府出身のナダルさんと、91年9月21日生まれ、大阪府出身の西野創人さんのお笑いコンビ。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属で、ともに養成所「NSC大阪校」の33期生で今年芸歴5年目。初めはそれぞれ違うコンビで活動していたが、2014年にコンビを結成し、コロコロチキチキペッパーズとしては今年で4年目となる。
芸名の由来は、60組ほどが出演する若手のライブなどで目立つため、西野さんが「長い名前だと目に付く。けれど、長いと覚えてもらいづらいので、略せる名前、コロチキってなるからいい」と思いついて命名した。言葉の意味はなく2人が「ニュアンスが強い」「かわいい感じ。漢字はかっこいいけれど、カタカナでポップな方がいい」として選んだ言葉だった。別のコンビ名候補として「西野はネトネトしゃべるし、僕も団子みたいなんで」という理由で、ナダルさんが「みたらし」という名前を提案したが、じゃんけんでナダルさんが負けて、不採用となった。
西野さんがお笑い芸人を目指したのは、学生時代に打ち込んでいた野球が、大学進学をあきらめたことでできなくなり「フリーターになるくらいなら、中学校の時に文化祭でやった漫才を思い出して、芸人になりたいと思った」からという。養成所の入学金は「おばあちゃんが頑張って集めてくれた」といい、「おばあちゃんがいなかったらナダルさんに会ってなかった」と感謝している。
一方、ナダルさんは「もともと水族館の飼育員として働きたかったけれど、面接とかがへたくそで、倍率高くて行けなかった」ことから、漬物店で働きながら消防士を目指すなどしたが、最終的に友人に「芸人になればいい」と勧められて、養成所に入学した。
ナダルさんは、年下の西野さんについて「ネタのことを考えるのがめっちゃすごいと思う。24歳で、年の割にしっかりとしている」と信頼を寄せる。西野さんはナダルさんに対し「本人が思い描いている“芸人ビジョン”の通りには進んでいないけれど、面白くなっていくのがすごいなと思う」と尊敬しているものの、コンビ結成当初は「予想以上に(ナダルさんが)ネタとか覚えてくれなかったんですよ。キングオブコント優勝なんて本気で頭になかった。まずちゃんと(コントが)できるのかというレベルで、最初はめっちゃキレてたんですよ」と当時の不穏なコンビ仲を明かす。
解散の危機は、結成して約1カ月後。ナダルさんが西野さんに「西野の足を引っ張ってるから解散しよう」と伝えたという。きっかけは「芸人の先輩に『バイトでもうかっている』っていう話をして、辞めろと言われた。自分でもバイトばっかりやっているって意識もあったし、親にも反対されていたから」というが、西野さんに「簡単な気持ちでコンビを組もうなんて言っていない。どこの人か分からない先輩に言われたからって解散するなんて納得いかない」と怒られ、さらに「次のキングオブコント(2012年)で、1回戦に受かったら(解散を)考え直して」と熱烈に説得され、見事1回戦を勝ち抜き、解散を免れた。西野さんは「それで優勝までいっていたらすごいですが、そこまでだった。2回戦で落ちた」と振り返った。
ネタは2人で作っているが、コントの軸は西野さんが考える。優勝したキングオブコントで披露したネタは5分くらいですぐに思いついたものだったという。優勝の決め手となったのは、2本目のネタ「卓球」。卓球の試合前、先輩役のナダルさんが、緊張する後輩役の西野さんを励ますが、試合では西野さんが2人組ユニット「SURFACE(サーフィス)」(10年解散)の楽曲「さぁ」に合わせて調子を上げ、ナダルさんの出る幕がなくなってしまう……という内容だ。
「卓球のネタは結成1年目くらいで作った。ひまつぶしでアニメソング特集をユーチューブで見ていて、あの曲を見つけた」と誕生秘話を明かす西野さん。しかし、当時は全くウケず、その後しばらくはやらないで“封印”していたという。しかし、単独ライブを行う際に、ナダルさんが「卓球ネタをやりたい」と西野さんに訴えて“復活”。「練習しているうちに、西野が変なポーズを加えて、さらにめっちゃ面白くなった」といい、西野さんも「こんな感じで笑ってくれるなら、やってもいいかな」と乗り気になったという。
ナダルさんが気に入ってヒットしたネタは他にもあり、ナダルさんを有名にした「やっべえぞ!」というフレーズのネタも、西野さんが「ちょうどリズムネタが人気の時で、僕も『やっべえぞ!』を考えついたときに、同時にリズムネタも考えていた。どっちにしようかというときに、ナダルさんの意見も聞かなきゃなと思って(『やっべえぞ!』を採用した)」と振り返った。
キングオブコント王者となってからの仕事量をナダルさんは「30倍。睡眠時間が、寝られて3、4時間になった」と急増したことを話し、バラエティー番組をはじめ、テレビでもイベントでも引っ張りだこ。最近では、公開中の映画「田沼旅館の奇跡」(井手比左士監督)の宣伝大使に就任し、舞台あいさつなどでPR活動も行っている。
ライバルと感じている芸人を聞くと、「今出てきている(とにかく明るい)安村さんとか、あばれる君とか。でも、やっぱり自分自身ですかね」というナダルさん。西野さんは「ライバルというか、上を見るようにしている。『あの人と一緒に肩を並べて仕事できるようになりたい』という形」だといい、あこがれは「『オードリー』の若林(正恭)さんとか、『バナナマン』の設楽(統)さん」という。
今後やってみたい仕事についてはナダルさんは「映画に出てみたい。大物と言われる女優さんと共演したい」といい、俳優業にも興味を持っている様子。西野さんは、バラエティー番組を挙げ、「ナダルさんに催眠術をかける企画。ナダルさんを見て、ケラケラと笑いたい」とコメント。一方、ナダルさんは「いろんな大自然の中でロケをしたい。ジャングルで釣りとか」と目を輝かせ、西野さんを嫌がらせていた。