吉柳咲良:ピーターパン、「天気の子」の凪くんが初ヒロイン 大きな可能性を秘めた15歳の素顔

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映画「初恋ロスタイム」でヒロインを演じている吉柳咲良さん

 ボーカル・ダンスユニット「M!LK(ミルク)」の板垣瑞生さんの映画初主演作となる「初恋ロスタイム」(河合勇人監督)で、初のヒロイン役を演じている吉柳咲良(きりゅう・さくら)さん。2016年の第41回ホリプロタレントスカウトキャラバン「PURE GIRL 2016」において、歴代最年少の12歳でグランプリを受賞。翌2017年にはミュージカル「ピーターパン」の10代目ピーターパン役に抜てきされ、今年7月に公開され大ヒット中の劇場版アニメ「天気の子」(新海誠監督)ではヒロイン陽菜の弟、凪の声を担当するなど話題作に次々と出演している。そんな注目株の15歳、吉柳さんが編集部を来訪。“初恋”について、目指す女優像などについて聞いた。

 ◇初恋はまだ…

 映画は、仁科裕貴さんの同名小説(KADOKAWA)が原作。主人公の浪人生・相葉孝司(板垣さん)は、ある日「世界の人、モノ、車……。あらゆるものが突然静止する」という不思議な現象に遭遇する。時刻は12時15分。1人だけなぜか動くことができ、学校を出て街に繰り出した孝司は、自分のほかにもう1人動くことができる篠宮時音(吉柳さん)と出会う。2人は、毎日12時15分に1時間だけ起きる、その不思議な時間を「ロスタイム」と名付け、楽しむようになっていく。しかし、“ロスタイム”には、ある秘密が隠されていた……というストーリー。竹内涼真さんが青年医師役、石橋杏奈さんが青年医師の妻役で出演している。 中学3年生の吉柳さんは、今作に出演が決まって「まさに青春という爽やかなラブストーリーに参加できるのが自分にとって新しい感じがして。いままでない役だったし、憧れの女子高生の制服が着られてうれしかったです」と憧れの高校生役を喜んでいる。

 時が止まるシーンの撮影は、「役柄的には等身大の自分で時音を演じられたとは思うんですけど、時間が止まるっていう現実とはかけ離れたすごいことで、その中で自分は普通に歩いているというのが不思議な感覚でした」と明かす。

 「周りのエキストラの方々が、ぴたっと止まっている中で歩いているのが、ああ、これが時間が止まるということなんだなって。本当だったらこういうふうにものは見えているんだなということが体験できて、新しい感覚だな、と思って。一つ一つが新鮮な感じでした」と振り返る。

 もし時が止まったら何をしたいか、と聞くと「まず、外に出て、止まっている人たちがどういう状況でどんな表情をしているのかなっていうのを見たい。もしかしたら自転車からコケて転ぶ途中の人がいるかもしれないし、いろんな人たちの止まっている瞬間をちょっと見てみたいと思いますね」と話し、劇中のように人助けも「見つけたらおそらく、やれる限りはしようとするとは思います」と語る。

 タイトルにちなんで自身の初恋は?と聞くと「まだ、ないですね(笑い)。もうちょっと大人になったら、『あれが恋だったのかもしれない』と思えるかもしれないですけど、今は友達に対する好きと何が違うんだ、『恋とはなんぞや?』というところにいるので。恋というものを大人の方から学んでから、もうちょっとたって、もう一度初恋とはなんだったのか考えようと思います(笑い)」と屈託のない笑顔で語った。

 ◇理想の女優は…

 「天気の子」「ピーターパン」など注目される作品に立て続けに出演している吉柳さん。「『天気の子』の公開日が、「ピーターパン」の今年の初日より早かったので、凪くんを見てくれたたくさんの方が『凪くん、良かった』と言ってくださって、それがきっかけで『ピーターパン』を見に来てくださる方も多かったです。『ピーターパン』で凪くんとはちょっと違う男の子を演じている私を見て、『すごかった』とか『楽しかった』と言ってくださる方もいて、本当にすてきな作品ばかりに私は出合わせていただいているなと思います」と相乗効果もあったようだ。

 吉柳さんは、理想の女優像について「いろんな作品に出ることはもちろんなんですけれど、そのたびにこの役、この人がやっていたんだ、こっちの役もそうだったんだって気づかれないくらい、全然違う役柄でも、ぴったりとはまっているような人になりたいと思っています」と語る。

 具体的には、「デビューのきっかけになったのも石原さとみさんですし、石原さとみさんに影響を受けてこのお芝居の世界に入ったので、ずっと尊敬している先輩です」と事務所の先輩、石原さとみさんが目標であることを公言している。

 ホリプロタレントスカウトキャラバンでグランプリを取った際に、「石原さんが『今、この瞬間に人生が180度変わって、これから大変になると思うけど、大変なときにどれだけ自分の周りの人が助けてくれるか、忙しくなったときに変わらず接してくれた友達だとか支えてくれた家族のことは絶対に忘れないでほしい』というふうに言ってくださって。本当に今、それを実感しています、周りの方に助けていただかなければ、今、こういうところにいられなかったと思うので、感謝の気持ちを忘れないことが大事なんだなと学びました」と石原さんの言葉をかみしめている。

 吉柳さんはミュージカルで美声も披露しており、歌の実力もなかなかなもの。大きな可能性を秘めた15歳の今後の活躍がますます楽しみだ。

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