昨年、“100作目の朝ドラ”として注目を集めた連続テレビ小説(朝ドラ)「なつぞら」をはじめ、時代劇「螢草 菜々の剣」、特集ドラマ「マンゴーの樹の下で~ルソン島、戦火の約束~」といったNHKのドラマに次々と起用され、改めてその演技が高く評価された清原果耶さん。ほかにもヒロインを務めた映画「愛唄 -約束のナクヒト-」「デイアンドナイト」が連続公開されるなど、「2019年ブレーク女優」の筆頭に挙げられるほどの活躍を見せた。今年3月に高校卒業を控える清原さんだが、そのあとを追う若手女優が同年代、または下の世代から育ってきている。ここでは、2020年にさらなる飛躍が期待される「10代の才能」を紹介する。
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“大本命”に挙げられるのが清原さんと同じ高校3年生の森七菜さんだ。昨年1月期に放送された連続ドラマ「3年A組-今から皆さんは、人質です-」(日本テレビ系)で注目され、新海誠監督の劇場版アニメ「天気の子」では、ヒロイン陽菜の声優を務めた、伸び盛りの18歳。月刊情報誌「日経トレンディ」(日経BP社)が選ぶ「2020年の顔」にも選ばれ、期待値は抜群に高い。
森さんは2001年8月31日生まれ、大分県出身(生まれは大阪府)の18歳で、2016年に大分県内でスカウトされ、芸能界入りした。2017年に人気グループ「嵐」の櫻井翔さん主演の連続ドラマ「先に生まれただけの僕」(日本テレビ系)で生徒役を務め、同年は、映画「心が叫びたがってるんだ。」にも出演。2018年には、連続ドラマ「獣になれない私たち」(同局系)で田中美佐子さんの高校生時代を演じたことも話題を呼んだが、一般の視聴者に“発見”されたのは、やはり「3年A組」からだろう。
「天気の子」公開を経て、2019年の10月には、映画「男はつらいよ」の主人公・車寅次郎(寅さん)の少年時代を描いたNHKドラマ「少年寅次郎」に、“初代マドンナ”のさとこ役で出演した。制作統括の小松昌代さん(NHKエンタープライズ)は森さんを「イマドキ可憐(かれん)」と表現。さとこが使う山形弁を、普段からしゃべっている言葉のように自分のものに引き寄せてしまう感じから、「この先、彼女はすごいことになるんじゃないか」ととても驚いたといい、「それこそ清原(果耶)さんもすごいと思いますけど、森さんの芯の強さも負けていないと思います」と太鼓判を押していた。
同学年という以外にも清原さんと森さんには共通点があり、森さんは昨年末に開幕した「第98回全国高校サッカー選手権大会」で応援マネジャーを務めているが、前任者は清原さんだった。また、清原さんは朝ドラ「なつぞら」でヒロインの妹を演じたが、森さんも今年春から放送の102作目の朝ドラ「エール」で、二階堂ふみさん扮(ふん)するヒロイン(主人公の妻)の妹役で登場することが決まっている。やはり森さんが“大本命”というのは揺るがないところだろう。
清原さんと森さんの1学年下には、「キリン 午後の紅茶」や「ポッキー」のCMなどで知られる南沙良さんがいる。南さんは2002年6月11日生まれ、神奈川県出身の17歳。2017年に映画「幼な子われらに生まれ」で鮮烈な女優デビューを飾ると、2018年公開の初主演映画「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」の演技が評価され、第43回報知映画賞と第61回ブルーリボン賞の新人賞にも輝いた。
「幼な子われらに生まれ」でメガホンをとった三島有紀子監督は南さんを、「『ヨーイ、スタート!』も知らなかったので、本当にお芝居自体初めてだったんですけど、彼女は反応力が天才的。リアルな感情のぶつかり合いを撮りたいと思ったときに、南さんみたいな反射力というか反応力(は必要)。ちゃんと突き飛ばしたときににらみますしね。そういう反射力がすごくある役者さん」と絶賛していた。
昨年は松坂桃李さん主演の映画「居眠り磐音(いわね)」で時代劇にも初挑戦。今年も春公開予定の映画「もみの家」で不登校の少女役で主演を務め、3月4日に放送されるNHK長野放送局制作の信州発地域ドラマ「ピンぼけの家族」(BSプレミアム)でヒロインを演じるなど、順調に才能を伸ばしている印象を受ける。
南さんと一緒に昨年春、ローティーン向けファッション雑誌「nicola(ニコラ)」(新潮社)の専属モデルを卒業し、現在は「Seventeen(セブンティーン)」(集英社)で“STモデル”として活躍する秋田汐梨さんも、期待の「10代の才能」だ。モデルとして「nicola」から「Seventeen」という歩みは、清原さんとも重なる。
そんな秋田さんは2003年3月19日生まれ、京都府出身の16歳。森さんと同様、昨年は連続ドラマ「3年A組」(日本テレビ系)に出演していたものの、秋田さんが女優として存在感を示したのは、同年9月に公開された映画「惡の華」で、主人公が片思いをするクラスのマドンナを演じたときだ。
撮影当時15歳ながら喜怒哀楽を繊細に表現した秋田さんの演技を、原作者のマンガ家・押見修造さんは「本物だけが持つ迫力みたいなものを感じました」と称賛。また、メガホンをとった井口昇監督は、オーディション時の秋田さんについて、「候補の中でもスバ抜けて演技力があった。皆さん可愛い演技はできるものの、ちょっと怖い、ダークな芝居ができる子は秋田さんしかいなかった」と明かし、主人公・春日高男役の伊藤健太郎さんも「たとえせりふであっても、『ガッカリした』と言われたときはリアルに傷つくくらい胸に刺さった」と共演シーンを振り返るほどだった。
すでに、1月23日深夜からスタートする山田裕貴さん主演の連続ドラマ「ホームルーム」(MBSほか)でヒロインを演じることが決まっている秋田さん。今後の成長次第ではさらなる大役をつかむのではないだろうか。