ダンダダン
第8話「なんかモヤモヤするじゃんよ」
11月21日(木)放送分
人気アニメ「ガンダム」シリーズの最新作「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」(村瀬修功監督)が5月21日に公開される。「閃光のハサウェイ」は映像化不可能とも言われてきたが、3DCGによるモビルスーツ(MS)戦など新たな表現で見事に映像化した。「ガンダム」シリーズを手がけるサンライズは、手描きを中心としたMS戦の最高峰とも呼ばれる「機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)」など、これまでも“最高”を更新してきたが、サンライズの小形尚弘プロデューサーは「閃光のハサウェイ」は「これまでやってきたことを壊して、新しいものができた」「一つのターニングポイントになった」と自信を見せる。小形プロデューサーに制作の裏側を聞いた。
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「閃光のハサウェイ」は、富野由悠季総監督が1989~90年に発表した小説で、1988年公開の映画「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」(富野監督)のその後を描いた。宇宙世紀0105年を舞台に、第二次ネオ・ジオン戦争で苦い別離を経験したブライト・ノアの息子ハサウェイ・ノアが新型MS・Ξ(クスィー)ガンダムを駆って、地球連邦政府に反旗を翻す。アニメは「虐殺器官」の村瀬さんが監督を務める。全3部作。公開劇場全館で劇場限定版ブルーレイディスクが5月21日に発売される。
「閃光のハサウェイ」は名作ではあるが、映像化が不可能とも言われてきた。同作に登場するΞガンダム、ペーネロペーの形状が複雑で、MS戦の表現が手描きでは難しいのが、理由の一つだった。「ガンダム」シリーズは、手描きのMS戦が魅力の一つにはなっているが、「閃光のハサウェイ」は、3DCGを駆使することで新たな表現に挑戦した。
「手描きで動かすことは不可能ですね。原画ができても動画が割れない。今回、力感のあるシーンは手描きですが、基本は3DCGで作っています。『ガンダム』はこれまで手描きのアクションの気持ちよさを追求してきたので、映像的なチャレンジでした。Ξガンダム、ペーネロペーはミノフスキー・フライトによって重力下で自由に動き回ることもあり、3Dで表現することが正解と考えました。3Dだからこその動き、光源による影の変化など表現ができたと思います」
3DCGによるΞガンダム、ペーネロペーの独特の浮遊感が心地よくもある。
「微妙に動いたり、パースが変わるのは、手描きが一番苦手な部分ですが、3Dによって、空間を使った動きも表現できました。重力下で飛べないメッサーが落ちていくシーン、Ξガンダム、ペーネロペーが自由に動くシーンなど上下の動きにもこだわりました」
小形プロデューサーは「一つのターニングポイントになった」と自信を見せる。
「今までの『ガンダム』にはなかった戦闘シーンができたと思います。3D、手描きは手法であって、出来上がったものが格好よければよいと思います。日本のアニメは手描きの技術が優れています。それをさらに生かすために3Dも使っていかないといけません。そういう意味でも『ガンダム』にとって一つのターニングポイントになった作品です。『UC』の時は手描きの頂点を目指しましたが、これまでやってきたことを一度壊して、新しいものができたと思います」
「閃光のハサウェイ」を手がける村瀬監督はこれまで「機動戦士ガンダムF91」「機動戦士Vガンダム」などで作画監督を務め、「機動戦士ガンダムUC」の絵コンテを担当。「新機動戦記ガンダムW」のキャラクターデザインを担当したことでも知られている。小形プロデューサーは、村瀬監督を「自分の中で世界で5本の指に入るアニメーター」と絶賛する。
「『閃光のハサウェイ』を一番いいものにしたかった。だから、村瀬監督なんです。ビジュアルセンスが、これまでのサンライズアニメの枠を超えています。実写思考と言いますか、現場も途中からアニメを作る感覚ではなかったです。『閃光のハサウェイ』は、群像劇ではなく、ハサウェイ、ギギ、ケネスの3人の心情にスポットを当てています。村瀬監督は『虐殺器官』もそうでしたが、心情を深く描くのがうまい。ただ、大変でした。オッケーがなかなかでない。3Dはトライ&エラーを繰り返し、時間もすごくかかりました。監督の頭の中には、我々一般人が想像もできないような映像があるんです」
小形プロデューサーが「生頼範義さんの後を継げるのは彼くらいかも」と絶賛するpablo uchidaさんをキャラクターデザインに抜てきするなど「閃光のハサウェイ」は、チャレンジしつつ、最高のスタッフで最高の映像を目指した。
音響面も「ビーム音などもこれまでの『ガンダム』とは変えて、村瀬監督の考えているサウンド設計にシフト、音響面を笠松広司さんにまとめていただきました。ドルビーアトモスをネーティブで使っているアニメーションは『閃光のハサウェイ』くらいだと思います。劇場の音響ではないと100%のサウンドは体験できないので、ぜひアトモスもしくはドルビーシネマでも一度ご鑑賞ください」とこだわり抜いた。
「閃光のハサウェイ」は全3部だ。第1部は、こだわり抜き、時間をかけて制作したこともあり「今回は新しいことをしていますし、これ以上ないというところまで振り切ったので、第2、3部に向けて作り方を再検証しています」というから、さらなる進化を期待できそうだ。
「閃光のハサウェイ」は「逆襲のシャア」を一つの転機として、宇宙世紀の次の100年を描く新プロジェクト「UC NexT 0100」の一環でもある。「閃光のハサウェイ」以外の展開も気になるところだ。
「『UC』もまだ終わってませんしね。宇宙世紀0100年、ジオン共和国の解体の話をやらないと次にはいけません。ただ、(『UC』のの小説を手掛けた)福井晴敏さんは今、別の宇宙に旅立っていますしね(笑い)。『F91』に向かう時代をどうやって映像化するのかを考えています」
ターニングポイントとなった「閃光のハサウェイ」の公開が楽しみだが、さらにその先の展開にも期待が高まる。
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