オクラ~迷宮入り事件捜査~
第11話 バディ終焉!最後のねつ造
12月17日(火)放送分
2022年1月期のおもなドラマ主題歌を紹介。今年の冬ドラマは、人気バンド「King Gnu」や3人組ユニット「Perfume」の新曲、歌い手のAdoさんや5人組ダンス&ボーカルグループ「Da-iCE」の新曲など、バラエティーに富むアーティストの楽曲がそろった。冬ドラマで注目の主題歌をピックアップした。
あなたにオススメ
「豊臣兄弟!」では池松壮亮が! 大河ドラマ“秀吉俳優”史を振り返る
菅田将暉さんが主演する“月9”ドラマ「ミステリと言う勿(なか)れ」(フジテレビ系、月曜午後9時)の主題歌は、King Gnuの新曲「カメレオン」(2月28日配信開始、3月16日シングル発売)。そこはかとない哀感を醸し出すメロディアスなナンバーだ。
ドラマは、田村由美さんの同名の人気マンガが原作。友達も彼女もいない、カレーをこよなく愛する大学生・久能整(くのう・ととのう、菅田さん)が、さまざまなアクシデントに遭遇しながらも、膨大な知識と独自の価値観に基づく持論で、いつしか解決に導いていく。社会で当たり前とされている考えやルールに疑問を呈し、自らの見解を述べる久能の言葉は、人々を「既成概念」から解放し、深く納得させられる。「真実は一つじゃない」というテーマを軸に、会話劇としての面白さもあり、爽快感も得られる。
楽曲「カメレオン」は、そんなドラマの世界観に寄り添い、時の経過、瞬間で次々と変わっていく人の表情や気持ち、その不可思議さを表現。主人公の久能は、自分にかけられた身に覚えのない殺人容疑をはじめ、バスジャック、爆弾予告といった数々の事件の真相を、持ち前の観察眼と理論で明らかにしていく。曲は、問題が解明され、一つの結末に至ったクライマックスで静かに始まり、流麗なボーカルが、どこかほっとするような穏やかな空気をもたらしてくれる。
清原果耶さんの主演ドラマ「ファイトソング」(TBS系、火曜午後10時)の主題歌は、Perfumeの新曲「Flow」(3月9日シングル発売)。浮遊感のあるサウンドと優しい歌声が特徴のミディアムソングだ。
ドラマは、空手日本代表の夢に破れたヒロイン・木皿花枝(清原さん)、一発屋のミュージシャン・芦田春樹(間宮祥太朗さん)、花枝をいちずに思い続ける幼なじみ・夏川慎吾(Sexy Zoneの菊池風磨さん)の3人が繰り広げるヒューマンラブコメディー。花枝がずっと心の支えにし、空手の試合前に必ず聴いていた勝負曲「スタートライン」(原曲はPerfumeの「STAR TRAIN」)は、実は芦田が作ったかつてのヒット曲だった。そんな2人が運命的に出会い、付き合い始める……というストーリー。
花枝はある病気を抱え、「これが人生最後の恋」と決めていた。一方、次のヒットを出せずに崖っぷちに立たされた芦田は、良い曲を書くためのきっかけをつかみたいと思っていた。2人はそれぞれの理由で、期間限定の“恋の取り組み”を試みる。「Flow」は、逆境にいる花枝たちの喜びや悲しみも合わせて、包み込んでくれるような温かさを包有している。
浜辺美波さんが主演を務める「ドクターホワイト」(カンテレ・フジテレビ系、月曜午後10時)の主題歌は、Adoさんの新曲「心という名の不可解」(アルバム「狂言」に収録)。2021年の「第72回NHK紅白歌合戦」に初出場して支持を集める音楽クリエーターのまふまふさんが作詞・作曲・編曲を手がけ、疾走感あふれるナンバーに仕上がっている。
ドラマは、社会性は皆無だが、豊富な医療知識を持つ正体不明の女性・雪村白夜(浜辺さん)が、総合診断協議チーム「CDT」に加入し、的確な病名診断で患者の命を救っていく、という医療ミステリー。「それ、誤診です」と医師たちの判断を覆すシーンが痛快なのと同時に、白夜の秘められた過去が明らかになっていく展開も注目される。
力強くも繊細な歌唱が印象的な楽曲は、医療ワードを用いながら、記録やデータでは表せない人間の感情の奥深さや、その心の機微を感じ取れるのは同じく人間の心である、と訴えているように感じられる。それはまさに、数値や過去のケースからではなく、白夜が患者の症状を実際に目にして真の病名を見抜く、という劇中の場面ともシンクロする。さらに、オープニングとエンディングの2回、曲が流れることで、人の命というテーマや、白夜の隠された謎に迫っていく緊迫感を増幅させ、物語にぐっと引き込む役割を担っている。
佐々木希さん主演の「ユーチューバーに娘はやらん!」(テレビ東京系、月曜午後11時6分)の主題歌は、昨年末に「日本レコード大賞」を受賞したことでも話題のDa-iCEの新曲「SWITCH」(2月16日発売のミニアルバム「REVERSi」に収録)。リーダーでパフォーマーの工藤大輝さんが作詞を担当した、R&B風味のダンス&ポップチューンだ。
ドラマは、秋元康さん企画・原作によるラブコメディー。結婚式で新郎に逃げられた平千紗(佐々木さん)が、相手不在のままで決行した披露宴で、テレビ局員の榎本信(金子ノブアキさん)と、人気ユーチューバーのタックタック(戸塚純貴さん)に出会い、2人から同時に告白されることから物語が始まる。榎本とタックタックの間で揺れる千紗、その恋の行方が見どころだ。
タイトル「SWITCH」をはじめ、映像・ドラマ用語をちりばめた歌詞は、テレビマンやユーチューバーという劇中の登場人物の設定にもリンクする。なおかつ、2人の男性の間でさまざまな感情のスイッチが入ったり、気持ちを前向きに切り替えていくヒロイン像とも重なり、仕事や恋に奮闘する千紗の心情を後押しする。
このほか、阿部寛さん主演の「DCU」(TBS系、日曜午後9時)の主題歌は歌手のLizabet(リザベット)さんのデビュー曲「Another Day Goes By」(配信中、3月9日シングル発売)、高畑充希さん主演の「ムチャブリ!わたしが社長になるなんて」(日本テレビ系、水曜午後10時)は7人組ボーイズグループ「ENHYPEN(エンハイプン)」の日本オリジナル曲「Always」、波瑠さん主演の「愛しい嘘~優しい闇~」(テレビ朝日系、金曜午後11時15分)は4人組バンド「神はサイコロを振らない」の新曲「イリーガル・ゲーム」(配信中、3月2日発売のアルバム「事象の地平線」に収録)。
また、吉田鋼太郎さん主演の「おいハンサム!!」(東海テレビ・フジテレビ系、土曜午後11時40分)のオープニングテーマは歌手の和田アキ子さんの楽曲「YONA YONA DANCE」(アルバム「WADASOUL 2」に収録)、成田凌さん主演の「逃亡医F」(日本テレビ系、土曜午後10時)の主題歌はシンガー・ソングライターの奥田民生さんの新曲「太陽が見ている」(配信中、3月9日シングル発売)が採用されている。
新人から大御所まで、幅広いアーティストの楽曲が並んだ冬ドラマ主題歌。個性豊かな音楽で物語を彩る冬ドラマを、今後も楽しみたい。(水白京/フリーライター)