TEAM SHACHI:合言葉は「名古屋から強いパワーを届ける!」 活動10周年を飾る新アルバム発表 10年後は「ママ友」に?

改名後初のフルアルバム「TEAM」について語った「TEAM SHACHI」の(左から)坂本遥奈さん、秋本帆華さん、咲良菜緒さん、大黒柚姫さん
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改名後初のフルアルバム「TEAM」について語った「TEAM SHACHI」の(左から)坂本遥奈さん、秋本帆華さん、咲良菜緒さん、大黒柚姫さん

 愛知県出身のメンバーで構成される4人組ユニット「TEAM SHACHI(チームしゃち)」。2012年4月に「チームしゃちほこ」として名古屋城前で路上デビュー後、2018年10月に改名し、今年活動10周年を迎える。グループの成り立ちや、改名後初のフルアルバムとなる新作「TEAM」について、また今後の抱負などをメンバー4人に聞いた。

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 ◇初シングルはポルノグラフィティの新藤晴一が作詞

 改名に際して、新たなテーマを掲げて活動を始めたTEAM SHACHI。グループのコンセプトについて、メンバーカラー・紫の大黒柚姫(おおぐろ・ゆずき)さんは、「super tough strong energy positive exciting soul from nagoya=すごく強いパワーを名古屋からお届けするよ、というスローガンで活動しています」と紹介し、青担当の咲良菜緒(さくら・なお)さんは、「楽曲はラウド・ポップ・ブラスの三つの柱を軸に制作しています」と説明する。「ブラス民」と呼ばれるブラス隊や「バンド民」と称するバンドメンバーがライブに参加し、パフォーマンスもパワーアップしている。

 改名後初のCDシングルで新アルバム「TEAM」にも収録されている楽曲「Rocket Queen feat. MCU」は、ロックバンド「ポルノグラフィティ」の新藤晴一さんが作詞、ヒップホップグループ「KICK THE CAN CREW」のMCUさんがラップパートの作詞&歌唱を担当している。

 赤担当の秋本帆華(あきもと・ほのか)さんは、MCUさんのラップについて「リズムも難しいし、普段使わないようなワードが入っていて、さすがラップを極めている方の詞だなって。チームしゃちほこの時からラップが入っている曲はあったんですが、レベルが一回りも二回りも上がったなと思います」と魅力を語る。MCUさんは「ラップ民」という仲間として、同曲以外にもアルバムに3曲、ラップ詞を提供している。

 また、歌の録音の際には新藤さんが立ち会い、大黒さんは「レコーディングをしながら歌詞がどんどん変わっていって。『2分ちょうだい』って言ってスタジオのブースを出て、戻って来たらもう歌詞が出来上がっているんです。歌ってみたら、『じゃあこっちの方がいいね』みたいな感じで、当日ギリギリまで一緒に作り上げてくださいました」と制作を振り返る。黄緑担当の坂本遥奈(さかもと・はるな)さんは、「印象的な英語や単語がいっぱい並んでいて、そういうのも今まであまりなかったし、一つ一つのワードが残るから、さすがだなって。TEAM SHACHIの新しい可能性が見えた楽曲です」と声をはずませる。

 ◇新作は「学校トップのイケメンたちが集まったみたいな」精鋭ぞろい

 アルバムは、CDシングル「Rocket Queen feat. MCU/Rock Away」をはじめ、配信リリースされたデジタルシングルやライブで披露していた楽曲に、新曲をプラスして構成されており、「TEAM SHACHIの名刺代わりにもなるアルバム」と大黒さんは紹介する。坂本さんは「デジタルシングルの表題を飾っていた曲が多いだけあって、アルバム曲にしてはそれぞれの“個”が強い。『学校トップのイケメンたちがみんな集まっちゃった』みたいな、強い楽曲が集まったなという印象です」と楽しそうに語る。

 テレビアニメ「ドールズフロントライン」のエンディングテーマ「HORIZON」も収録されており、アニメ好きの秋本さんは「すごくうれしい」と笑顔で語り、「世界で1800万回ダウンロードされているゲームが原作で、この曲のMV(ミュージックビデオ)にも、今までにないぐらい英語のコメントが多くて。これまで私たちを知らなかった方にも触れてもらえるきっかけができたなと思います。曲の世界観もすごくカッコいいです」と喜びをかみしめる。

 咲良さんは「番狂わせてGODDESS」という楽曲を一推しに挙げ、「TEAM SHACHIの一番のアンセムになってほしいという願いが込められていて、爆発力というか勢いがすごくある曲。『チームしゃちほこ』の時の『抱きしめてアンセム』という曲があるんですが、それが本当に一体感が生まれる曲なんですね。TEAM SHACHIとして、それを超えるぐらいのものを、という思いを託していて、“ライブの鉄板曲”を担ってほしいと思っている大事な曲です」と力を込める。

 一方、大黒さんは違ったタイプの曲について触れ、「『Rainbow』は、メルヘンな感じの可愛らしい楽曲。今まで、戦闘力が高いというか“攻め”の曲だったり、背中を押すような曲が多い中で、並べて聴いた時に、お互いに映えるんじゃないかなって。TEAM SHACHIは“カワイイ”に振り切った楽曲が珍しいので、意外性としてもぜひ聴いてもらいたいです」とプッシュする。

 ◇コロナ禍を反映した曲は「すごく刺さる」

 また、現代の応援歌ともいえる「JIBUNGOTO」や、ロックバンド「Base Ball Bear(ベースボールベアー)」の小出祐介さんが“お互いの距離感”をテーマに作詞をした「HONEY」など、コロナ禍から生まれた楽曲も並ぶ。

 この2年間、ツアーが中止になるなど、グループの活動にも影響があったといい、大黒さんは「ファンの方とも交流が全然できないし、ライブも思うようにできなくて、悔しい思いもたくさんしました。なので、こういう楽曲はすごく刺さります」といい、坂本さんは「『できないことは仕方ない。その中でどう楽しいことをしていこうか』という、ポジティブでプラスの面を考えられた2年間でもあったので、そういう意味で歌詞にも注目して聴いてほしいです」と話す。

 秋本さんは「今の私たちが持っているすべてを詰め込んだアルバム。根本にある“ラウド・ポップ・ブラス”にプラスアルファした、カワイイ、カッコイイ、ダンスミュージック、パンク……いろんな面を聴くことができます!」とアピールした。

 ◇釣り好き、重い女!? 素顔が垣間見えるソロ曲

 ソロ盤には各メンバーのソロ曲も収録。秋本さんの曲「まってるね」は、昨年、フルマラソンに参加した時の経験を自ら歌詞につづり、フルマラソンの完走経験を何度も持つシンガー・ソングライターの川嶋あいさんが作曲を手がけた。作詞については「メンバーの『ゴールで待ってるね』という言葉が私の背中をすごく押してくれたので、それをそのままタイトルにして、マラソンをしている時の思いや、前日までの『できるかな』という気持ちを書きました。基本的に私は、考えはポジティブなんですけど、自信がないんですね。そういう性格も歌詞に表れています」と素の一面をのぞかせる。

 咲良さんの曲「One way LOVE…?」は、打ち込みサウンドのミディアムアップ・ナンバー。「グループではラウドポップをやっていてバンドサウンドが多いので、ソロでは打ち込みがいいなって。歌詞は片思いを楽しんでいる感じの女の子の恋愛ソングになっているんですが、私はイメージカラーがブルーというのもあって、恋愛ソングとか、そういうピンクっぽいイメージとは真逆なんです。なので、今回はそういった面も出せたらと思いました。こういう恋愛のワクワク感って独特だし、きっと楽しんだろうな、いいなって思いますね」と照れた表情を見せた。

 大黒さんの曲「One-One-Love」は、自身の愛犬に向けたメッセージソング。「テーマは“愛”。家族や友達、恋人にも当てはめて聴いてもらえて、誰もが共感できる曲になっていると思います。ただ、自分っぽい色も出したくて。私は結構、愛が深めというか、重い女なので(笑い)、ストレートで重い愛を歌詞にして、それをサンバ調の曲に乗せて歌っています」と笑顔で語る。

 坂本さんの曲「Bunny」は、「私は、ライブではダンスだったり、普段、ラップも担当していて、カッコいい面を見せることが多いんですけど、プライベートでは、のほほんとしていてマイペース。なので、そういった面を出せたらと思って。バンドサウンドだけど、のんびりした時に聴ける曲を」というコンセプトで制作された。歌詞には、独自のアイデアを盛り込み、「恋愛がテーマなんですけど、私は趣味で釣りがすごく好きで、実は釣り用語がめちゃくちゃ入ってます。お目当ての男性に対しての女の子目線の歌詞になっているんですけど、実はお魚さん相手の曲としても聴けるんです」と明かした。

 ◇「おばあちゃんになってもみんなでお茶したい」

 2022年はグループにとって路上デビュー10周年という記念すべき年。咲良さんは、「始めた当初は、10年も続けているとは思っていなかったし、CDを出すということも想像していなかった。10年間、同じ人たちと同じグループでずっと活動をしているというのが、いまだに信じられない」と心境を語る。満10年を迎える4月を目前に、秋本さんは「本当にいいタイミングでアルバムを発売できた。10周年のいいスタートダッシュが切れると思います」と意気込む。

 さらなる10年後の展望を尋ねると、坂本さんは「10年先も新しいことに触れていたい。自分から新しい場所に出向いて、いろんなことを吸収できていたらいいなと思います」と語り、咲良さんはグループの未来について、「“ジャズバージョン”だったり、“大人ライブ”みたいなことができるようになっていたら」と意欲を見せる。また秋本さんは「末永く私たちの曲を愛してもらえたら……。みんなの生活の中にずっといてほしい」と深いグループ愛をにじませる。

 そんな中、大黒さんが「もしかしたらママ友になっているかも(笑い)。10年間、いろんなことを一緒に乗り越えてきた仲間なので、10年後と言わず、いつまでも仲良しでいられたらいいなと思います。おばあちゃんになっても定期的に会って、みんなとお茶したいです」と話すと、他の3人も「しよう! しよう!」と笑顔でうなずいていた。

 (取材・文・撮影/水白京)

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