プレスリリース詳細 https://kyodonewsprwire.jp/release/202311223206
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11月9日(木)、岡部の人工礁AT-Ⅴ型を利活用した“やさしい里海“形成を目指す実験結果を国際学会で報告
2023年11月24日
建設資機材事業や海洋事業を展開する岡部株式会社(本社:東京都墨田区、代表取締役 社長執行役員:河瀬 博英、以下「当社」)は、11月5日〜10日に広島で開催された第20回国際有害有毒藻類学会(ICHA2023)において、“やさしい里海“形成を目指した海水の攪拌実験結果の報告を行いました。
本学会は2年ごとに有害有毒藻類の研究者が一堂に会する世界最大規模の国際会議であり、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の要請を受けて1997年に設立された国際有害有毒藻類学会(International Society for the Study of Harmful Algae: ISSHA)を母体機関とした組織です。広島大会のテーマは「人と海の共存(HAB Science and Human Well-being)」とされ、仙台大会に続いて日本国内では28年ぶり2度目の開催となりました。本学会には40カ国、約500名の研究者・関係者が参加しています。
日本においては高度経済成長期に生じた海水の富栄養化に端を発し、気候変動等の要因も相まって起こる藻類の異常増殖である有害藻類ブルーム(Harmful Algal Blooms: HABs)の発生対策技術の開発は喫緊の課題となっています。当社の海洋事業部ならびに応用藻類学研究所(島根県隠岐郡海士町)では、会期5日目にあたる11月9日(木)に「沿岸海底に設置する人工礁(海水攪拌ブロック)を用いた有害赤潮発生抑制の可能性について」というテーマで、所長の板倉茂ならびに当社海洋事業部主任の柴田康弘が登壇し、元来は人工魚礁として開発され、改良を加えられたAT-Ⅴ型 攪拌タイプ(以下、「AT-Ⅴ型」)に対して新たに期待できる「海洋環境保全ならびに養殖漁業事業者のために対策が急務となっている赤潮の抑制効果」や、検証実験による水流攪拌効果の結果に関する発表を行いました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202311223206-O3-iOQFYoz2】
<オープニングセレモニーでは、当学会運営委員でもある板倉が制作した映像も上映された>
赤潮被害抑制施策において、魚類の主な斃死原因となる鞭毛藻類の増殖を抑制し、海洋生物の餌ともなる珪藻類を発芽させるためには海水の攪拌が重要なポイントとされています。これまでは、海底泥中に存在している珪藻類の種子を発芽させるために、漁船等に攪拌機材を取り付けて海底泥を直接掘り返すことで攪拌し、珪藻類の増殖を促進させることが主な手法とされてきました。しかし、効用範囲が限定的であり海底の自然環境への負荷等も否定できない上、その効果が1〜2週間程度で消尽するため、コスト(1回あたり10万円前後)の観点からも持続的な費用対効果を見込めないことが課題の一つとされてきました。
これらの課題に対し、当社では脱炭素、ブルーカーボンの実現ならびにSDGsの観点から、自然の力を利用して持続的に水流を攪拌し続ける自然環境に配慮した施策として、「海中に設置されたAT-Ⅴ型のみで自然海流の作用を利活用して海水を(サーキュレーターのように)攪拌することが実現できるか」の検証を行いました。AT-Ⅴ型は設置時および回収時以外ではメンテナンス不要であり、海洋環境への人工的なダメージの低減や、特に閉鎖的な海域での攪拌効果が期待されています。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202311223206-O4-s6zVBZ1x】
<AT-Ⅴ型の攪拌作用について発表する板倉>
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202311223206-O12-5NQEKLBn】
<空撮で観察された筋状の海流。各ブロックから下流に底層水の攪拌を示す筋状の流れが確認された>
発表当日には、当社の水流模型試験では30cm/秒の水流を想定していたものの、初回の実験環境(2023年8月22日、熊本県・有明海)では、想定よりもゆるやかな約15cm /秒という水流環境であり、かつ水質測定機による連続的なデータ取得が困難な環境で行われたことも公表されました。しかし、実際に16個 のAT-Ⅴ型を設置した海面を洋上からドローンで空撮した結果、AT-Ⅴ型設置位置の下流にあたるエリアにおいて筋状の海流の発生が確認され、海中に比べて水温が高く、藻類が高密度に存在する(水面に藻類等が浮上し、やや透明度の低い)海面に対し、海底付近の比較的透明度の高い海水流が押し上げられることで筋状の海水流が視認され、想定よりゆるやかな水流でも模型実験時と同等の効果が現場の海中において発揮されていたことなどを報告しました。
オーディエンスからは、「海中だけでなく、藍藻類によって湖や沼の水面に発生する青粉(あおこ)発生の低減にも効果が見込めるか」「水流への作用はよく理解できた。プランクトンや珪藻類への持続的な効用検証について、次の段階の調査にも期待したい」などのほか、海外水域内や、より閉鎖的な海洋環境である瀬戸内海海域や八代海(熊本県)での検証実験の実施などに期待したいという声も上がりました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202311223206-O8-0U0LW6Vb】
発表後、板倉所長は、「閉鎖的な環境であれば、微弱な水流でも促進効果が期待できる」とした上で、当学会で発表した実験結果を踏まえてAT-Ⅴ型の設置による海洋環境の変化や、赤潮抑制効果をもつ珪藻類の持続的な増殖促進効果のさらなる調査・観測を行い、本来「人為的に環境に手を加え、生産性を高める」とされている里海形成において、より環境の保全を優先した、自然本来の力を最大限に活用する“やさしい里海”の形成を目指し、沿岸資源の下支えとなるプランクトン類の生育環境保全の研究を重ね、さらなる詳細な実験を経て世界の海洋・漁業環境の健全化への貢献を目指すとコメントしています。
日本国内において赤潮被害は1960年代・高度経済成長期に主に瀬戸内海で問題視されて以来、現在でも喫緊の環境課題として重視されています。近年、これまで問題となっていなかった北海道においても赤潮の発生が報告されており、日本周辺の海洋環境や国内の養殖漁業事業者にとっては死活問題と言えます。当社は本件および同様の教育分野での地域貢献活動を通じ、当社が重点的に取り組む【SDGs目標「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」「12.つくる責任 つかう責任」「14.海の豊かさを守ろう」】らへの挑戦とともに、企業理念である「安全・安心の提供を通じて社会に貢献する」のさらなる実現を目指して邁進してまいります。
■ AT-Ⅴ型(攪拌タイプ)
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202311223206-O9-C5quWJ67】
意匠登録:1383104
高さ:2.5m
幅 :6.86m
奥行:5.94m
質量:9.80t
主構造部材:コンクリート
遮蔽プレート:鋼板をFRPにて被覆し防食加工
■AT-Ⅴ型の設置により期待できること
赤潮被害の発生抑制および海底泥の攪拌による海水の再懸濁効果
-1:あらゆる方向(360°)からの自然水流に対して海水攪拌作用を生じる
-2:前述の作用により、多方向への水流攪拌作用を生じることができる
-3:特に閉鎖的な環境において海水の攪拌効果を発揮し、海底泥を再懸濁させる
-4:海底に埋没している珪藻類の種子を水流攪拌によって掘り起こして発芽を促進する
-5:珪藻類の発芽・成長を促すことで、赤潮被害の発生要因の一つである鞭毛藻類の増殖を抑制する
自然環境への負荷低減(従前の漁船による底引きによる海底泥の攪拌作業課題とAT-Ⅴ型のソリューション)
従前課題-1:船舶での底引きであり、海底など、沿岸環境への負荷が否定できない
従前課題-2:燃料をはじめ人件費などのコスト(1回あたり10万円〜)
従前課題-3:底引きによる攪拌効果は1〜2週間程度で消尽することに対する、費用対効果の低さ
ソリューション ⇒ AT-Ⅴ型は設置時および回収時以外でのメンテナンスが不要のため、海洋環境への人工的なダメージ自体も低減することが可能。設置後の耐用は30年間を見込む。設置先の海底利用許諾および接地面の利用が可能であれば、10cm/秒程度の水流(特に閉鎖的な海域や水中環境)であっても攪拌効果※が期待できる。
※設置先の海底環境や水流環境よって効果の持続期間は異なります。
■板倉 茂(いたくら・しげる)/ 岡部株式会社 応用藻類学研究所 所長
1987年東京大学農学部水産学科卒業、同年4月に水産庁入庁。瀬戸内海区・赤潮生物研究室 主任研究官として勤務した後、独立行政法人水産総合研究センター 瀬戸内海区水産研究所・赤潮環境部/赤潮生物研究室 主任研究官、有毒プランクトン研究室長として勤務。2007年には水産庁・増殖推進部 研究指導課にて後進の指導にあたり、2010年に独立行政法人水産総合研究センター 瀬戸内海区水産研究所・赤潮環境部長、2012年に同研究所・環境保全研究センター長を歴任。広島大学大学院(生物圏科学研究科)非常勤講師、水産庁・増殖推進部 参事官(農林水産技術会議事務局併任)、国立研究開発法人水産研究・教育機構 研究所長(東北区水産研究所、西海区水産研究所、瀬戸内海区水産研究所)を経て現職。
■柴田 康弘(しばた・やすひろ)/ 岡部株式会社 海洋事業部 主任
2017年長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科卒業、同年4月に岡部株式会社に入社(海洋事業部配属)。大学在学時から応用藻類研究所を通して磯焼け対策を目的とした大型海藻の増殖に積極的に取り組み、海洋事業部では魚礁・藻場礁製品の営業と並行し、応用藻類学研究所での研究業務を兼務。本学会における当社実験では、有明海での調査に際しては調査計画立案、関係機関との調整を担当。
■岡部株式会社(証券コード:5959) 会社概要
1917年(大正6年)、東京・押上の地に創業。「安全・安心の提供を通じて社会に貢献する」を企業理念に、耐震・免震製品などの建設関連製品事業のほか、海洋事業も展開。技術開発により被害を減らすことでの防災・減災・国土強靭化への貢献や、環境に配慮した製品開発・製造など、日本発、世界に照準を合わせて展開。建設関連製品事業等を通じて人・社会・地球との共存共栄をはかり豊かな社会づくりに貢献します。
■岡部㈱ 公式SNS:「X(旧Twitter)」 @OkabearOfficial
センパイ社員といっしょにお仕事風景などをお届けしています(¯(エ)¯)
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202311223206-O10-avJSzj4R】
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