放送中の木曜劇場「大奥」(フジテレビ系、木曜午後10時)で主演を務める小芝風花さん。2012年の俳優デビュー以来、持ち前の愛らしさで多くの視聴者を魅了してきた小芝さんの存在が、最初にクローズアップされたのは、ちょうど10年前の2014年3月に公開された映画「魔女の宅急便」だ。角野栄子さんの児童文学を基にした本作で、13歳の魔女見習いの少女・キキを演じ、翌年「第57回ブルーリボン賞」新人賞など受賞した。いまや映像界では引っ張りだことなった小芝さんの10年の“軌跡”を振り返る。
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小芝さんが実写映画版「魔女宅」で、ブルーリボン賞新人賞を受賞したのは2015年初頭で、17歳のときだった。同じ年の10月に放送が始まったのが、波瑠さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「あさが来た」で、小芝さんはヒロインの長女役に抜てき。ドラマには2016年の1月から登場し、“母に反抗的な態度を見せる娘”を熱演。お茶の間をにぎわせた。
そんな小芝さんが、次に大きなインパクトを残したのが、2019年1月期にNHKで放送された連続ドラマ「トクサツガガガ」。小芝さんにとって連ドラ初主演作で、隠れ特撮オタクの主人公の妄想から葛藤、興奮に奮闘ぶりまで体現。一歩間違えれば見ている側が“寒く”感じてしまうようなキャラクターを、愛らしく演じるだけでなく、コメディエンヌとしての才能を一気に開花させた。
同年の小芝さんの活躍は目覚ましく、出世作となった「トクサツガガガ」の後も、「恋と就活のダンパ」(NHK・BSプレミアム)、「ラッパーに噛(か)まれたらラッパーになるドラマ」(テレビ朝日系)、「べしゃり暮らし」(同)、「歪(ゆが)んだ波紋」(NHK・BSプレミアム)とドラマ出演が相次ぎ、12月にはNHKスペシャル「シリーズ 体感 首都直下地震」内ドラマ「パラレル東京」で、女性アナウンサー役にも挑戦。コメディータッチから、シリアスなテイストのものまで、俳優として“ふり幅”を見せた。
2020年以降に目を向ければ、続編や劇場版も制作された「妖怪シェアハウス」(テレビ朝日系、2020年)に始まり、「モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~」(同、2021年)、「彼女はキレイだった」(カンテレ・フジテレビ系、2021年)、「事件は、その周りで起きている」(NHK、2022年)、「波よ聞いてくれ」(テレビ朝日系、2023年)と主演連ドラがずらり(『彼女はキレイだった』は中島健人さんとのダブル主演)。
上記の作品以外にも、単発ドラマや映画で主演を務め、主演ではなかったとしてもヒロインか、それに続く主要な役どころを担うなど、いまの映像界を語る上で欠くことのできない俳優の一人になったことがうかがえる。
中でも「波よ聞いてくれ」では、金髪がトレードマークの“超絶やさぐれ女”に扮(ふん)し、キレのあるマシンガントークを繰り広げる姿が放送時、大きな話題に。当初、小芝さんのパブリックイメージとはかけ離れた役のため、原作ファンなどから「合わないのでは?」と心配する声が少なからず聞こえていたが、ドラマの初回から、そのよどみないせりふ回し、絶妙な「間」で視聴者の心をグッとつかみ、「2024年 エランドール賞」新人賞へとつながった。
現在、「波よ聞いてくれ」から木曜劇場「大奥」まで、主演含むメインキャストとして4期連続でドラマにレギュラー出演中の小芝さん。数年前から朝ドラヒロインに推す声が上がっていたが、先日、朝ドラと並ぶNHKの人気作、大河ドラマへの出演が発表された。
作品は、横浜流星さん主演で2025年に放送されるNHK大河ドラマ「べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~」。小芝さんにとって、初の大河ドラマで、主人公の蔦屋重三郎(つたや・じゅうざぶろう、横浜さん)の幼なじみで、“伝説”の遊女・花の井(五代目瀬川)を演じる。
現在26歳で、4月には27歳の誕生日を迎えるが、バラエティー番組などで見せる、心なごむ愛らしさはデビュー当時から不変。一方で、俳優としてステップアップを続ける小芝さんの今後の活躍に、引き続き注目したい。