12月14日に最終回を迎えたNHKの大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」で主演を務めた横浜流星さん。60年以上の歴史があり、錚々たる顔ぶれが名を連ねる“大河ドラマ主演”に、放送開始時点で28歳という若さで挑んだ横浜さんだが、2025年は、映画「国宝」(主演は吉沢亮さん)の大ヒットなどを追い風に、“駆け抜けた”1年だったのではないだろうか。ここでは、本人はもちろん、「べらぼう」関係者の発言を通して、俳優としての魅力に迫ってみたいと思う。
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横浜さんは1996年9月16日生まれ、神奈川県出身の29歳。元々は空手少年で、2011年には空手の国際大会で優勝した経験を持つ。2014〜15年放送のスーパー戦隊シリーズ第38作「烈車戦隊トッキュウジャー」で俳優として注目を集めると、2019年の連続ドラマ「初めて恋をした日に読む話」(TBS系)で演じた、ピンク髪の“ゆりゆり”こと由利匡平役で人気は爆発。以降、映像界に欠かせない存在となっていった。
2024年11月公開の主演映画「正体」でも高い評価を得ると、その勢いのまま2025年1月に「べらぼう」の放送がスタート。3月の「第48回日本アカデミー」賞最優秀主演男優賞(『正体』で)を挟んで、6月には歌舞伎界の御曹司を演じた映画「国宝」が公開。同作は興行収入が邦画実写作品の歴代1位となるなど、大ヒットを記録した。
「べらぼう」は、大河ドラマで初めて江戸時代中期を舞台に、日本のメディア産業やポップカルチャーの礎を築いたとされる蔦屋重三郎(略して“蔦重”)の生涯が描かれたが、横浜さんがクランクインしたのは2024年6月ごろ。「国宝」のクランクアップ後、わりとすぐだったという。
「べらぼう」の撮影開始から約半年がたった2024年12月に横浜さんに話を聞く機会があったが、「まだまだ自分には足りてないところばかり。まだまだ足りないからこそ、満足したらそこで終わりだと思うし、より向上心を持って、日々生きています」と語っていたのも印象的。
さらに「自分たちの仕事ってすべてが芝居に生きるから、『これって蔦重がやりそう、作品に生かせそう』と、とにかくインプットの時間を大切にしています」と明かすと、「格闘技ってすごく人間が出るのですが、よりリアルを追及したくなって、その裏側を見たり知ったりするのが最近の自分の中でのマイブームにもなっている。格闘家の皆さんも表に立っているけど、自分たちみたいな表現とは違う世界で生きていて、より人間くさく、自分を繕わずいるじゃないですか。そういうときに、『本当に人間ってこうなったら、こういう感情になるんだ』『こういうふうな表情するのか』と思って、『これは芝居に使えるな』となるんです」と、大好きな格闘技からも何かを得ようとしていた。
そんな横浜さんの姿は「べらぼう」関係者の目にはどう映ったのか。
「惚れるというか、かっこよさだけじゃないというか、取り組み方がすごいストイック」「勉強不足は一瞬で見抜かれるので、“勝負している”感じがしています」と教えてくれたのは、演出の一人、深川貴志さん。
「一緒に台本作りをしていないはずなのに、一緒に作ったような感覚になるときがあるんです。あるシーンに対して、『こういうせりふがあるのだけど、ここでそのせりふを言うために、ここ(手前の別のシーン)でこう感じておきたいよね』みたいなことを、これほどしっかり考えてくる方がいるんだなと。自分が出ていないシーンもよくご覧になっていますし、考えすぎると良くないこともあるのですが、考えすぎても表現できているのが、すごい」と絶賛していた。
脚本を手がけた森下佳子さんが、横浜さんに対して抱いていた印象は「捨て身」。
「剥(む)き出しにして“ごろん”と差し出す、という印象があって、それは最後まで変わらずでした。普段、そんなにおしゃべりではないと思うので、あんなにずっとしゃべっている蔦重として生きるのは、彼にすごく負担をかけたところもあったんじゃないかなと思っています」と労を労いつつ、「外側から役に入るというよりも、内側から役を作っていくという方法論を取られていると思って、いろいろと考えてくれて演じてくれた」と感謝。その上で「最初から捨て身で、最後まで捨て身だったなって。求道者みたいな、最初から最後までそんな感じでした」と話していた。
制作統括・藤並英樹チーフプロデューサーは「正体」「べらぼう」「国宝」で、俳優としての評価がさらに高まったことが自信や追い風となり、「横浜さんが目指している、役に対するある種のストイックさや向き合い方が、より確固たるものになってきた」と感じたという。
「『べらぼう』も後半では、自分の年齢を超えて、40〜50代の役を演じていて、難しかったと思うのですが、ものすごくていねいに声の出し方や立ち居振る舞い含めて表現してくださいましたし、時代劇というジャンルが、彼が持っている身体的なポテンシャル含めて、すごく合っているなと思えた」とも話す藤並さん。
さらに「『べらぼう』では、珍しく太陽みたいな明るい役を演じてもらったのですが、『こういう横浜流星、いいじゃん!』と思えたし、横浜さんってすごく笑顔が可愛らしいなと思っているので、それが1年を通してより魅力的に感じられたのかなと思っています」と結論づけた。
「べらぼう」では、たびたび「国宝」後を思わせる歌舞伎っぽい表情、仕草を見せてくれた横浜さん。前述の「格闘技」しかり、「歌舞伎」しかり、貪欲に芝居に取り入れ、役へと昇華する姿勢は今後も変わることはないだろう。2026年には30歳となるが、30代もさらに高みを目指す横浜さんの姿を目にすることができるのではないだろうか。
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