注目映画紹介:「ボックス!」 ボクシングに懸ける高校生たちを描く 後味のいい青春映画

映画「ボックス!」の一場面。(C)2010 BOX! Production Committee
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映画「ボックス!」の一場面。(C)2010 BOX! Production Committee

 08年8月に発表された百田尚樹(ひゃくた・なおき)さんの小説を、映画「デトロイト・メタル・シティ」(08年)の李闘士男(り・としお)監督が、市原隼人さんと高良健吾さんを主役に迎えて映像化した「ボックス!」が22日、公開される。天才ボクサーと気弱な優等生のスポーツ青春映画だ。

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 東京から来た気弱な転校生・ユウキこと木樽優紀(高良さん)は、ある日の下校途中、英語教師・高津耀子(香椎由宇さん)と乗った地下鉄でチンピラにからまれる。そこへさっそうと現れて助けてくれたのが、ユウキの幼なじみで同じ高校に通うカブこと鏑矢義平(市原さん)だった。懐かしの友との再会を喜び、その雄姿にほれたユウキは、自分もカブと同じボクシング部に入部することにする。怠け者だが連戦連勝の天才ボクサー・カブと、きまじめに鍛錬を積み重ねるユウキは、いつしかライバルになっていく……というストーリー。

 舞台は大阪。“浪花っ子”の心意気が息づいており、さわやかというより熱い。ボクシングにのめり込んだ仲良し高校生2人が、切磋琢磨(せっさたくま)しながら成長していく。その間には、敗戦による挫折や力関係の逆転といったつらさも味わうが、決してひねくれず、友を信じ、友のために戦うという、スポーツ青春ドラマの王道を行く筋書きになっており、後味がいい。

 市原さんが、持ち前の“熱い”演技で天才ボクサーになりきれば、高良さんも、メキメキと頭角を現す練習熱心なユウキを好演。さらに、ボクシング部のマネジャー役で谷村美月さんが出演し、3人の若手俳優を、筧利夫さん、清水美沙さんらが手堅くサポートする。

 市原さんと高良さんは、クランクイン2カ月前からボクシングの指導を受けたという。そのかいあって、試合シーンでの殴り殴られ、倒し倒されの白熱ぶりはなかなかのもの。市原さんとロックバンド「RIZE」のコラボレーション「RIZE with 隼人」による主題歌「LAUGH IT OUT」にも注目だ。22日からヒューマントラストシネマ渋谷(東京都渋谷区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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