1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦め作品を紹介する「はじめの1巻」。今回は、村上かつらさんが「月刊!スピリッツ」(小学館)で連載している「淀川ベルトコンベア・ガール」(550円)です。
ウナギノボリ
「光る君へ」より昔! 最も古い時代の大河ドラマは? 1976年「風と雲と虹と」のあらすじ
高校に進学せず、大人と一緒に小さな工場で働く16歳の少女・瀬川かよの願いは、友達を作ることだった。ある日、黒崎那子という少女がアルバイトとして働くことになる。2人はだんだん会話を交わして次第に親しくなり、かよは、さまざまな経験を積み重ねていく……というストーリーだ。
高校にも進学せず、大阪・淀川べりの小さな揚げ工場で働く瀬川かよ、16歳。ひとりぼっちのかよの小さな願い、それは「ともだち」を作ることだった−−。一生に一度、かけがえのない16歳の青春が今、始まる−−!!
本作「淀川ベルトコンベア・ガール」は働く少女・かよを中心に、思春期の多感な少女達の青春を描いた成長物語です。とにかく主人公のかよがいじらしい!!の一言。いまどき珍しいぐらいピュアなかよの言動に、はらはらしながらも目が離せないこと請け合いです。
作者の村上かつらさんはデビュー作の「サユリ1号」以来、さまざまな青春マンガを世に送り出してきましたが、生きることの“痛み”を巧みに描くことについては、本作でも健在です。また、村上さんは昔、豆腐工場で揚げを扱うアルバイトをしており、その時の体験を活かしたディテールも見どころです。
これから、大人の階段をゆっくりと昇っていくであろうかよの成長ぶりに、お付き合いいただければ幸いです。
厳しい現実を前に悩み傷つく少女たちの姿が、ささやかな望みをかなえたいだけなのに何でこんなにうまくいかないんだろうかと胸を締め付けられる作品。社会の状況やコミュニケーションの形が変化し、同じ世代でも価値観や境遇に隔たりが生まれてしまう現代においても、人と人との間にはそんな違いを超えた触れ合いやぬくもりが必要なのだと考えさせられる内容です。この先も波乱に満ちた展開が待っていそうですが、かよちゃんが幸せになるまでは読み続けないわけにはいかないですよね。
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