三谷幸喜:50歳機に大感謝祭 来年、4ジャンルに新作7本発表「ぶれずにやってこられた」

「三谷幸喜大感謝祭」について発表した三谷幸喜さん
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「三谷幸喜大感謝祭」について発表した三谷幸喜さん

 脚本家の三谷幸喜さんが、来年50歳という節目の年を迎え「三谷幸喜大感謝祭」と銘打ち、舞台4本、映画1本、ドラマ1本、小説1作と、4ジャンルで新作7作品を発表することを22日、明らかにした。三谷さんは「50歳が到達点であるとは思っていません。何か新しい出発点になったらと思います。20代のころと比べたらテクニックはありますが、本質的な部分は変わっていません。むしろここまでぶれずにやってこられたという自負があります」と83年の劇団「東京サンシャインボーイズ」旗揚げから舞台、映画、ドラマと多数のヒット作を送り出してきた脚本家人生を振り返った。

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 「来年はコメディーではなく、笑い以上に人間の本質に切り込んだものをやりたい」と話す。舞台では、1月7日から東京芸術劇場で上演される藤原竜也さん主演の「ろくでなし啄木」を皮切りに「国民の映画」(3月・パルコ劇場~)「ベッジ・パードン bedge pardon」(6月・世田谷パブリックシアター~)「90ミニッツ」(12月・パルコ劇場~)の新作4本を上演し、すべて三谷さんが演出も手がける。

 「ろくでなし啄木」は27歳でその生涯を閉じた歌人・石川啄木(藤原さん)の素朴な文学青年像と、その一方で語られている男女関係や金銭にルーズな一面を描く。三谷さんが脚本を手がけた04年の大河ドラマ「新選組!」で藤原さんとともに共演した中村勘太郎さん、吹石一恵さんが、啄木に振り回される男女を演じる。ナチス政権に立ち向かったドイツ映画人を描く「国民の映画」は、三谷さん自ら舞台化を熱望した企画。小向文世さん、白井晃さんのほか、三谷さんの舞台初出演となる段田安則さん、風間杜夫さんらベテラン俳優が多数出演する。野村萬斎さんが、ロンドン留学中の夏目漱石を演じる「ベッジ・パードン bedge pardon」では、下宿先の女性(深津絵里さん)との心の交流を描き、三谷さんは「萬斎さんの現代人でありながら現代になじんでない感じを出したい」と話す。「90ミニッツ」は、「笑の大学」での好演が高く評価された西村雅彦さん、近藤芳正さんによる2人芝居の新作。

 来秋公開の映画「ステキな金縛り」は三谷さんが「今一番気に入っている女優さん」と評価する深津絵里さん主演のファンタジーコメディー。深津さん演じる三流弁護士のエミが、妻殺しで捕まった男の弁護を頼まれる。男はアリバイとして、ある旅館の一室で落ち武者(西田敏行さん)の幽霊が一晩中のしかかり、金縛りに遭っていたと話す。旅館を訪れたエミはその幽霊に遭遇し、裁判で証言するように依頼する……という法廷サスペンス。阿部寛さん、浅野忠信さん、竹内結子さんらが共演。三谷さんは「5本目の映画で、本当に作りたかった理想のものになった」と新作に自信をみせている。

 そのほか、WOWOW開局20周年を記念した90分のスペシャルドラマ「ウォーキング・トーキング」では、1シーン1カットで山道を散歩する夫婦の会話劇を撮影し、演劇と映像のドッキングを実現。織田信長の後継者を決める「清洲会議」を題材にした20年ぶりの書き下ろし小説「KIYOSU」(幻冬舎)は、来秋発売予定。

 三谷さんは「どちらかというと自己顕示欲の強い方ではないので、みんなにおめでとうと集まってもらうのは本来は苦手なんです。たまたま来年いろんな仕事が重なったんです。僕の仕事のモチベーションは感謝ということ。自分がここに来るまでに影響を受けた映画やテレビや舞台や本に対する感謝、作品を作る時に手伝ってくれたスタッフや俳優さんたちへの感謝、お客さんに対する感謝、いい作品を作ると思う僕に感謝してくれといういろんな意味を含めまして『大感謝祭』と名づけました」と今回の企画のテーマについて話した。タイトルロゴはイラストレーターの和田誠さんが担当した。(毎日新聞デジタル) 

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