夏休みオススメマンガ:“燃える”「ちはやふる」に“萌える”「ロッテのおもちゃ!」

夏に読みたい「燃える」マンガの「ちはやふる」(講談社)
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夏に読みたい「燃える」マンガの「ちはやふる」(講談社)

 夏真っ盛り、休みにじっくり楽しみたいマンガを、連載「本の王子様」でおなじみの「まんが王八王子店」のバイイングマネジャー・日吉雄さんにピックアップしてもらった。

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 猛暑だからこそ読んでほしい「燃える」マンガでは、全国の書店員らが選ぶ「マンガ大賞2009」を受賞した末次由紀さんの「ちはやふる」(講談社、1~9巻)。百人一首競技かるたに魅せられた少女・千早とその仲間たちの成長を描く青春ストーリーで、少女マンガながら、往年の少年マンガのような「熱さ」のある作品で、男性にもオススメ。自転車競技に懸ける少年たちを描いた渡辺航さんの「弱虫ペダル」(秋田書店、1~13巻)も熱い。自転車競技だけではなく、人間ドラマとしても読み応えのある作品で女性にも人気だ。

 一方「萌える」マンガでは、「ロッテのおもちゃ!」(アスキー・メディアワークス、1~4巻)。「バカとテストと召喚獣」(井上堅二作)のイラストでもおなじみ葉賀ユイさんのファンタジー学園コメディーだ。妖魔界の王女・ロッテと、その後宮候補となった23歳の直哉たちが繰り広げるドタバタラブコメで、葉賀さんの萌えキャラとちょっとエッチなギャグでなごもう。

 暑さを笑って吹き飛ばすギャグマンガでは、くぼたまことさんの「天体戦士サンレッド」(スクウェア・エニックス、1~10巻)。人のいい悪役とガラの悪いヒーローが、川崎の町中で、とっても日常的な戦いを繰り広げる。ローカルネタ満載のギャグだが、ペーソスあふれる悪役たちがいい味を出している。宮本福助さんの「なごみさん」(講談社、1巻)は、和(なごみ)という可愛い名前を持ちながら、凶悪な顔を持った喫茶店のマスターが織りなすハートフルコメディー。見かけと違ってネコ好きで甘党で優しいなごみさんに哀愁を感じてしまう。

 うって変わってしみじみと「感じる」マンガでは、こうの史代さんの「夕凪の街 桜の国」(双葉社)。原爆投下から10年後、家族を失い、心と体に傷を負った女性・皆実の思い描いた「夕凪の街」と、皆実の弟の娘で被爆二世の七波の物語「桜の国」は、二人の女性を通して、「ヒロシマ」が淡々と切なく描かれる。田中麗奈さん、麻生久美子さんの主演で映画版もおすすめだ。改めて原爆の悲劇に思いはせてほしい。(毎日新聞デジタル)

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