小学生漫才コンビ「まえだまえだ」が、カンヌ国際映画祭で柳楽優弥さんが最優秀主演男優賞を受賞した「誰も知らない」(04年)や「空気人形」(09年)で知られる是枝裕和監督の新作映画「奇跡」に主演することが16日、明らかになった。「奇跡」は、11年3月の九州新幹線全線(博多−鹿児島中央間)開通に向けJR九州とJR東日本企画が企画した映画で、鉄道が好きだということで是枝監督に白羽の矢が立った。是枝監督は、自身の子どもが生まれ、「誰も知らない」とは違う子どもを描いた映画を作りたいと考えていたことから、完全オリジナル脚本で製作される。九州新幹線を題材にした感動作となる予定で、18日に福岡でクランクイン予定。
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是枝監督は脚本を書くにあたり、「オーディションで出会った子どもたちから得たインスピレーションで物語を作り、彼らと会って話したことで登場人物のキャラクターとせりふが生まれました。子どもと一緒に映画を作るのはとても刺激的でワクワクの連続です(スタッフはハラハラしていると思いますが)。『まえだまえだ』兄弟をはじめ、この時期の子どもたちが持っている『奇跡』のような輝きをフィルムに焼きつけるべく頑張りたいと思っています」と話している。
「まえだまえだ」の兄、前田航基君は「とてもうれしいですが、とても緊張しています。自分も役と一緒の小6なので、中学生になる前に(弟の)旺志郎と一緒に映画に出演できるのもうれしいです。監督はその日まで内緒といって、僕たちは台本をもらってません。その場その場で撮影するみたいなんで、どんな映画になるかとてもとても楽しみにしてます。どうやら桜島が噴火する話やないかと旺志郎としゃべってます。水着の衣装があったので水泳選手の話かな? 一生懸命頑張ります!」と想像をふくらましている。弟の旺志郎君は「代表作になるとマネジャーさんにいわれました。初めて映画に出るので めちゃめちゃうれしいです! 九州はゆっくり行ったことがないので楽しみです。九州はご飯もおいしいと聞いたので いっぱい食べたいです!」と撮影を心待ちにしている。
「奇跡」は、離婚した両親が仲直りし、再び家族4人で暮らす日を夢みる航一(航基君)は母親や祖父母と鹿児島で暮らしながら、福岡で父親と暮らす弟龍之介(旺志郎君)と連絡を取っては、家族を元通りにする方法に頭を悩ませていた。一方、彼らが暮らす鹿児島や博多は九州新幹線全線開通で沸きに沸いていた。開通式の日、博多から南下する「つばめ」と鹿児島から北上する「さくら」、二つの新幹線の一番列車が行き交う瞬間に奇跡が起こる。そんなうわさを聞きつけた2人は、まさに「奇跡」を起こすための壮大で無謀な計画を立て始める……というストーリー。母親役は大塚寧々さん、売れないミュージシャンの父親役でオダギリジョーさんのほか、夏川結衣さん、阿部寛さん、長澤まさみさん、原田芳雄さん、樹木希林さん、橋爪功さんらが出演する。
鉄道マニアだといわれている是枝監督だが、「出演していただく原田芳雄さんなどを前にして、とても『鉄道マニア』などと僕は言えません。“撮り鉄”でも“乗り鉄”でもありませんが、電車が通過する時の……すれ違う時のワクワク感というかゾワゾワ感をなんとか映画の中で描きたい。そう思っています」と話している。ギャガ配給で11年初夏に全国でロードショー予定。(毎日新聞デジタル)
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