注目映画紹介:「SP 野望篇」 すべてノースタントという岡田准一のアクションが見どころ

「SP 野望篇」の一場面 (C)2010 「SP」 プロジェクトチーム
1 / 1
「SP 野望篇」の一場面 (C)2010 「SP」 プロジェクトチーム

 フジテレビ系で07年11月から08年1月まで放送され、午後11時台の深夜枠ながら平均視聴率15・4%という高視聴率をマーク。その後、2時間スペシャルの総集編が放送された「SP警視庁警備部警護課第四係」。その人気ドラマが映画になった。しかも、今作「SP 野望篇」(波多野貴文監督)と来春公開の「同 革命篇」の2部作だ。「野望篇」は30日から全国で公開。

あなたにオススメ

 ドラマはアイドルグループ「V6」の岡田准一さんふんする機動警護班隊員の井上薫が、堤真一さん演じる上司・尾形総一郎のもと、五感の異常な鋭さを武器に、さまざまな要人の警護にあたる姿を描いたアクション作で、直木賞作家の金城一紀さんがストーリー構成と脚本を担当していた。ドラマの最終話で警護課理事官の西島が自殺。その陰に尾形の存在をかぎ取り、疑いを抱く井上。井上の疑念を察知する尾形。気まずい関係のまま、そこから1カ月たったという設定で「野望篇」は幕を開ける。

 冒頭から岡田さんは20分に及ぶアクションシーンを見せる。止まった車の上を軽やかに、そしてダイナミックに飛び越えたかと思うと、特殊警棒を見事に扱い、さらに路地裏での壁をけっての三角跳びなど、そのアクションの内容は実にバラエティーに富んでいる。ドラマ放送時から3年以上にわたって鍛錬を積んだという岡田さんの格闘技術は、すべてのシーンをノースタントでこなしたというアクション場面に見事に生かされている。

 ストーリーに目を向けると、ドラマから続く謎と映画で新たに浮かび上がった謎が入り交じる、その分、複雑さが増した。しかし今回は2部作の“序章”に当たるため、尾形の真意や事件の真相、そして井上と尾形の関係修復(修復されるかどうかは分からないが)は「革命篇」へと持ち越され、見ている側は不完全燃焼だ。特にドラマからのファンは、スピーディーなテンポ感に慣れている分、若干展開にモタつきも感じてしまうかも。尾形の出番が少なめなのも残念なところ。次回作での巻き返しに期待したい。なお、映画の世界にスムーズに入るために、事前にドラマをチェックしておくことをおすすめする。30日からTOHOシネマズスカラ座(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

映画 最新記事