宇多田ヒカル:生放送で休止に言及「ゼロに近い状態に戻りたい」 トップアーティストの苦悩語る

J-WAVE「McDonald’s TOKIO HOT 100」のゲストとして登場した宇多田ヒカルさん
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J-WAVE「McDonald’s TOKIO HOT 100」のゲストとして登場した宇多田ヒカルさん

 年内をもってアーティスト活動を無期限休止することを発表した歌手の宇多田ヒカルさんが21日、J-WAVE「McDonald’s TOKIO HOT 100」(午後1時~4時54分)に生出演した。「人間活動」に専念したいと公式ブログで語っていた宇多田さんは、「アーティスト活動から一歩出て、ゼロに近い状態に戻りたい」と話し、自分で光熱費などを考えるなど生活の見直し、父親との対話、海外でのボランティア活動など、休止中にしたいことを明らかにした。

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 宇多田さんは「こんにちは、宇多田ヒカルです」と明るく番組に登場。司会のクリス・ペプラーさんに、今回の活動休止について聞かれると、「アーティスト活動とかしていると、周りも私がいいアーティストであることだけを一番に置いて守ってくれる状況で、私自身、全然自分の環境をよく分かってなかったっていうのもあって。その環境から一歩出て、ゼロに近い状態に戻りたいなと」と話し、続けて、「簡単にいうと、40~50歳ぐらいになって、マネジャーなしで何にもできないおばさんとかになりたくなかった感じ。(15歳でデビューし)大人になれてないっていうか……」と説明した。

 活動休止の期間については「決めちゃうとただ次の仕事をするまで待ってる期間になっちゃうから、そこはできるだけ周りの状況をゼロに近くして、余分なものを取っ払って、クリアに自分が見えるようになったときに、やれるようになると思う」と展望を話した。

 休止期間中には、「自分の生活環境とか、日本に住んでると難しいっていうのもあるんだけど、自分で光熱費を考えたり、月何万円で生活して、ちゃんと帳簿をつけてやりくりしてっていう誰でも当たり前にやっているようなことを今まで一回もしてないから、自分がいくら使ってるのかよく分かってなかったり、家賃いくらだっけとか、これって15、16歳だったらかわいいけど、どんどん“痛い”大人になっていくのはカッコ悪いなと。ちゃんと自分を客観的に見ないと」と、生活の見直しから始める意向を示した。

 番組中でペプラーさんの自身の亡き父親についての話題になると、宇多田さんは「親のことって、亡くなった後に初めて知ることがいっぱい出てくるって聞くんですけど、どうしても生きているうちに知っておきたいですよね。身近すぎて意外と大事な話をしなかったりするから、それも人間活動中の課題。特にお父さんとは仕事でしか会わないからそれも変えたい」と仕事以外での親子の対話を望んでいることを明かした。

 その他、「ボランティアを外国でやりたい。ゼロの状態で人と接したい。(音楽のような)得意なことばっかりやってると、バカになってる気がして。誰も私に指示できないし、音楽的にもこれはないんじゃないとか、私をしかる人、指導する人がいない。習いごととかフランス語勉強したり、人と接することがしたい」と、第一線を走り続けてきたアーティストならではの悩みも明かし、「普通なことが特別なことだと思う」と締めくくった。

 番組内では、24日に発売されるベストアルバム「Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.2」(EMIミュージック)に収録した新曲「Goodbye Happines」が放送された。同曲のプロモーションビデオは宇多田さん自身が監督し、ユーチューブで100万回以上再生され、話題を呼んでいる。宇多田さんはビデオについて「今のポップミュージックへのアンチテーゼ」と話した。公式ブログやツイッターで「心がない」と自身で批判していたユニバーサルが発売するベストアルバムについてのコメントはなかった。

 今回、宇多田ヒカル名義で公の場に登場したのは07年5月以来で、この日はおよそ350人のファンが六本木ヒルズけやき坂スタジオ前に集まった。宇多田さんは12月8、9日に、横浜アリーナ(横浜市港北区)で活動休止前の最後のコンサートを行う。(毎日新聞デジタル)   

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