落語家の笑福亭鶴瓶さんが5年ぶりとなる一門会を地元・大阪で開く。タレントとして活動する筆頭弟子の笑瓶(しょうへい)さんをはじめ、直弟子、孫弟子13人を鍛えようと企画した。鶴瓶さんに聞いた。(毎日新聞デジタル)
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−−5年ぶりの一門会なんですね。
最初はまだ5人しか弟子がいなかった85年。この時に「堪忍袋」(の鶴瓶版)を作ったんですよ。88年には「地震」「ゆく年くる年」「腰巻き」で三題噺(さんだいばなし、三つの題から即興で噺を作る)をやっているんです。ようこんなこと考えたなあ。これがきっかけで「ざこば・鶴瓶のらくごのご」(92~98年、朝日放送)をやるようになったんです。でも85年からやってたんですね。大阪で弟子を落語に貢献させなあかんという思いがあったんですね。
−−今回は「AKB48方式」だそうで?
腰の手術で1週間入院していたんですが、その間、弟子みんなの落語を2席ずつテープで聴いたんです。頭おかしくなりますよ(笑い)。かなり差ができてるんですね。一門会には(できのよかった)上から4人に出てもらおうと。それが「AKB48方式」ですわ。後半は(柳家)喬太郎(の噺)を聞いてやりたくなった「錦木検校(にしきぎけんぎょう)」をやります。
−−兄弟子でも出られないことも?
ギリギリまで弟子には知らせません。兄弟子であろうがトップに出てくるかもしれないし。口調だけ(桂)枝雀師匠に似てるだけのやつがいるんですが、電話で言いましたよ。「まねてもいいけど、口調でなくてやり方をまねた方がいいよ」と。僕らも師匠にけいこつけてもらわなかったですから、自信は今でもないんですけど。毎日毎日こっちの方がいいんじゃないかと思いながらやってるんです。
−−弟子を教える難しさとは?
僕らは落語の腕を教えるわけではないけれど、ちゃんと精神を教えたい。でも、(拳で胸をたたき)ここ(心)を教えるというのは難しいですね。もう弟子は取らないです。もう今、ものすごく(弟子入り希望が)来るんですよ。取らないって言ってるのに。就職難だから(笑い)。それもありますよ。で、最後は相談に乗らなしょうがないんですよね。
*……「笑福亭鶴瓶一門会」は4日午後4時、大阪市中央区・森ノ宮ピロティホール(JR大阪環状線森ノ宮駅)。前売り券は完売。当日の立ち見チケットは午後3時から発売。問い合わせはキョードーインフォメーション(電話06・7732・8888)。
*……東京では兄弟子、笑福亭松喬(しょきょう)さんの還暦落語会に出演する。「笑福亭松喬還暦落語会」は23日午後3時、東京・新橋演舞場(東京都中央区)。笑福亭松喬、柳家さん喬、柳家権太楼、笑福亭鶴瓶、笑福亭三喬。問い合わせは松竹芸能(電話03・3545・1544)。
<プロフィル>
しょうふくてい・つるべ 1951年12月23日、大阪市生まれ。京都産業大中退。72年2月、六代目笑福亭松鶴(しょかく)に入門し鶴瓶を名乗る。タレントとして幅広く活動。02年、春風亭小朝との「二人会」をきっかけに落語により力を入れるようになり、03年、小朝、林家こぶ平(現・正蔵)、春風亭昇太、立川志の輔、柳家花緑と落語界の活性化を図るために「六人の会」を結成。自ら独演会を積極的に開き、東西落語界の交流にも尽力する。08年、上方落語協会(桂三枝会長)の副会長に就任した。今年、2人目の孫が誕生。テレビ・ラジオはNHK「家族に乾杯」、テレビ大阪「きらきらアフロ」、CBC「スジナシ」、ニッポン放送「日曜のそれ」、毎日放送ラジオ「ヤングタウン」など多数の番組にレギュラー出演。中でもTBS系「A-Studio」(金曜午後11時)は自らゲストについて綿密な取材をした上でゲストに迫るという手法が好評だが「週に3日かかるんですよ。大変ですわ」と苦笑い。