71年に米スタンフォード大学で行われた監獄実験は、複数の男たちが看守と囚人に分けられ、14日間、刑務所と同じ環境で生活させられることで、どのような心理的変化が表れるのか、特殊な肩書や地位が与えられると人間はどのように変化するのか、それを調べるためのものだった。01年製作のドイツ映画「es[エス]」のモデルになった実験は6日間で中止。なぜ中止されたのか。そのてん末が、フィクションの体裁をとりながら描かれている映画「エクスペリメント」が4日から全国で順次公開されている。監督と脚本を担当したのは、人気ドラマ「プリズン・ブレイク」の生みの親であるポール・シェアリングさん。刑務所を扱い慣れている彼ならではの緊迫感たっぷりの心理スリラーだ。
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失業中のトラヴィスは、14日間で日給1000ドルの高報酬が支払われる実験に応募し、採用される。ほかに採用されたのは、説明会で言葉をかわした温厚そうなサラリーマンやグラフィックノベル作家など24人。彼らは、以前刑務所だったという施設で看守役と囚人役に分けられる。トラヴィスは囚人役だった。そして実験はスタートした……というストーリー。
看守の囚人に対する数々の仕打ちには何度か不快な気分にさせられた。人間の内側に潜む生(なま)の感情。誰にでも存在する心の闇。極限状態に置かれた人間が善人のままでいられるか、それとも化けものになるか。その様子が目の前で明らかにされていく。果たして自分ならどうなるかと考えずにはいられない。
サラリーマンのバリスを演じるのは、「ラストキング・オブ・スコットランド」(06年)でのウガンダの独裁者アミンを演じオスカーを獲得したフォレスト・ウィテカーさん。温厚なサラリーマンから、看守という肩書を得たことで残忍かつ攻撃的な人間に変わっていく、その豹変(ひょうへん)ぶりはさすがだ。一方のエイドリアン・ブロディさんが演じるトラヴィスは、庶民感覚で善悪を判断する良識人。観客が最も共感しやすいキャラクターだ。そんな男を、持ち前の“はかなげなキャラ”で順当にこなしていた。決して気持ちのよい話ではなく、気がめいるシーンも多いが、それを覚悟の上で観賞していただきたい。4日からヒューマントラストシネマ渋谷(東京都渋谷区)ほか全国で順次公開。(毎日新聞デジタル)
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