トロン:レガシー:製作のショーン・ベイリーに聞く「映像はもちろん音響も非常に重要だった」

「トロン:レガシー」のPRのため来日したプロデューサーのショーン・ベイリーさん
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「トロン:レガシー」のPRのため来日したプロデューサーのショーン・ベイリーさん

 ディズニーが最新の映像技術を駆使し、3D(三次元)の立体映像でコンピューターの中という仮想空間でのダイナミックなアクションが展開する「トロン:レガシー」(ジョセフ・コジンスキー監督)が17日、公開された。20年前、突然姿を消した大企業エンコム社のCEO、ケヴィン・フリン(ジェフ・ブリッジスさん)。その息子サム(ギャレット・ヘドランドさん)は、父の共同経営者から、父からと思われるメッセージを受け取り、父が構築に成功したコンピューター内部の理想の世界に入り込む。そこは、クルー(ブリッジスさん2役)という独裁者がすべてを支配した世界で、サムは人類存亡をかけたコンピューターとの戦いに身を投じていく……というストーリー。来日したプロデューサーのショーン・ベイリーさんに話を聞いた。(毎日新聞デジタル)

ウナギノボリ

 −−「トロン:レガシー」が3Dに最もふさわしい題材だと思いました。製作にあたって気を付けたことは?

 今回、とにかくこの作品、最高品質の3Dにしたいと考えました。82年のオリジナル作は、当時パイオニア的な存在だったと思いますし、当時の技術を駆使して最先端の映像が作られたと思いますので、今回も3D映像として、いままで誰も見たことのないような革新的なものを実現するために綿密に計画しましたし、才能あふれる人たちが必要でした。

 −−映像ももちろん素晴らしかったんですが、音響面も素晴らしいと感じました。音響面で例えばアトラクション的な体感させようという意図とか、目指したものがあったら教えてください。

 そうやっておっしゃっていただけるととてもうれしいですね。というのは、ビジュアルはもちろん大事なんですけど、音というものは非常に重要な部分で、五感を刺激するサウンドを狙ったんです。サウンドエンジニアとかスカイウォーカーサウンドの本当に優れた技術者を使っていますし、音楽はダフト・パンクを起用しています。新しい世界に入り込むためにはビジュアルだけでなく、やっぱり耳で聞くサウンドがとっても大事だと思いますので、その指摘はうれしいです。

 −−物語が父と子のきずなという人間ドラマの部分が描かれていると思うんですが、テーマとして織り込もうとしたことはなんでしょうか。

 今回、二つのテーマを盛り込んでいるんです。一つは今、あなたがおっしゃったヒューマンドラマの部分です。息子と父の話ということで、そのきずなとか関係を描いています。もう一つは今のデジタル時代という中で、本当に人間的なコミュニケーションや関係って持てるのかという、いわば“デジタルと人間性”というものを探求する非常にいい機会だと思ったんです。

 −−本作はシリーズになりそうな題材です。次作の製作が期待できるのであれば、ぜひ企画されている内容や、何年後どのようなストーリーになりそうかというところを伺えないでしょうか。

 今回、とにかく全力でこの「トロン:レガシー」に懸けました。まずはとにかく見ていただいて、観客がどのように反応してくださるかですね。もっと見たいという要望がたくさんあれば、われわれとしてはもっともっといろんなところに行けるし、いろんな可能性を秘めていると思っています。

 −−ディズニーの3Dの戦略で他社と異なる部分はどういうところでしょうか。

 ディスニーではやはり違う世界、本当に見たことないような別の次元や世界に観客を連れていけるような、そういうもの(題材)だったら3Dで作りましょうとなるわけで、「アリス・イン・ワンダーランド」もそうでしたし、今回の「トロン:レガシー」もそうでした。来年の「パイレーツ・オブ・カリビアン」の新作もそうです。もう一つ、哲学としては、最高の品質、クオリティーの高いもの。競合の会社の中には、ちょっと焦って3Dにしてしまったり、最高ではないような品質が少し落ちるようなものを作ってしまったところもあると思うんですが、やはりアイデアが3Dにふさわしいかどうか、そしてまた本当にクオリティーの高いものができるかという二つのことが大事です。

 <プロフィル>

 俳優のベン・アフレックさんやマット・デイモンさんらと00年に創設したライヴプラネット社の中心的役割を果たした後、2008年創設のアイデオロジー社代表を経て、ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャー・プロダクションのプレジデントに就任。ウォルト・ディズニーとタッチストーンが手がけるすべての実写映画の企画・製作を統括指揮する。製作を手がけた作品に「完全犯罪」(99年)、「卒業の朝」(02年)、「マッチスティック・メン」(03年)、「ザ・コア」(03年)など。

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