キネマ旬報ベスト・テン:主演男優賞の豊川悦司「やっと一人前に近づけた」

「第84回キネマ旬報ベスト・テン」表彰式に出席した(左から)桜庭ななみさん、安藤サクラさん、寺島しのぶさん、豊川悦司さん、李相日監督、吉田修一さん、角替和枝さん
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「第84回キネマ旬報ベスト・テン」表彰式に出席した(左から)桜庭ななみさん、安藤サクラさん、寺島しのぶさん、豊川悦司さん、李相日監督、吉田修一さん、角替和枝さん

 「第84回キネマ旬報ベスト・テン」(キネマ旬報社主催)表彰式が20日、東京都内で行われ、主演男優賞の豊川悦司さん、主演女優賞の寺島しのぶさんらが出席。「必死剣鳥刺し」「今度は愛妻家」などでの演技が評価されての受賞となった豊川さんは「キネマ旬報の映画賞は、ぼくの中では本当に特別な存在。このトロフィーを持っていることが本当にうれしい。これでやっと俳優として、一人前に近づけたのかなと思う」と喜びをかみ締めた。

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 「キャタピラー」で、主演女優賞に輝いた寺島さんは、「映画を愛するいぶし銀の方たちに選ばれた賞に選出されたことは、本当にうれしい。(賞レース)最後の映画賞ですから、そこでゴールができたような気持ち。『キャタピラー』が自分から離れていくのが、なんとなくうれしくも、なんとなくせつなくもある」としみじみ。新人男優賞の生田斗真さんは「本当に権威のある賞をいただけてうれしい。デビュー作の『人間失格』が公開されたのが、ちょうど1年前。そして今日、こうしたすばらしい賞をいただいて、2月20日という日を自分は一生忘れないだろうなと思っています」と笑顔で語った。

 「悪人」で日本映画作品賞とともに日本映画監督賞にも選ばれた李相日監督は「ほうぼうで『しつこい。しつこい』と言われましたけど、俳優さんが演じている以上のもの、俳優さんの“はらわた”みたいなものまで見せたいと思ったんです。それには、ぼくの稚拙な技量ではしつこく撮るしかなかった。人間としてのすごみを出してくれた俳優やキャスト、本当にみんながくれた賞だと思う」と喜びを語った。

 表彰式には新人女優賞の桜庭ななみさん、助演女優賞の安藤サクラさん、助演男優賞の柄本明さんの代理で妻の角替和枝さんらも出席した。同賞は映画誌「キネマ旬報」の延べ119人の選考委員が選出、今年で83回目を迎える米アカデミー賞より1回多いという長い歴史を誇っている。(毎日新聞デジタル)

 受賞作品は以下のとおり。(敬称略)

 日本映画作品賞:悪人(李相日監督)▽外国映画作品賞:息もできない(ヤン・イクチュン監督)▽文化映画作品賞:ショージとタカオ(井手洋子監督)▽日本映画監督賞:李相日監督(悪人)▽外国映画監督賞:ヤン・イクチュン監督(息もできない)▽読者選出外国映画監督賞:ヤン・イクチュン監督(息もできない)▽脚本賞:吉田修一、李相日監督(悪人)▽主演女優賞:寺島しのぶ(キャタピラー)▽主演男優賞:豊川悦司(必死剣鳥刺し/今度は愛妻家)▽助演女優賞:安藤サクラ(ケンタとジュンとカヨちゃんの国/トルソ/SRサイタマノラッパー2~女子ラッパー☆傷だらけのライム)▽助演男優賞:柄本明(悪人/桜田門外ノ変/ヘヴンズ ストーリー/雷桜 ほか)▽新人女優賞:桜庭ななみ(最後の忠臣蔵/書道ガールズ!! わたしたちの甲子園)▽新人男優賞:生田斗真(人間失格/ハナミズキ ほか)▽読者選出日本映画監督賞:中島哲也(告白)▽キネマ旬報読者賞:川本三郎(キネマ旬報「映画を見ればわかること」の連載により)

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